- 出演者
- 佐々木明子 真山仁
経済小説「ハゲタカ」を始め、様々な人間ドラマを描く小説家真山仁がミライを切り開く開拓者に迫る。世界初、冷蔵でも冷凍でもない第3の鮮度保持技術「ZEROCO」が誕生した。今週は真山が色流通の革命児に切り込む。
オープニング映像。
真山が訪れたのは東京・渋谷にある研究所。本日の開拓者がZEROCO社長の楠本修二郎。楠本は国内外に80店舗を展開する「カフェ・カンパニー」の創業者だ。20年以上に渡って日本にカフェ文化を根付かせてきた。楠本が今挑んでいるのはこれまでになかった食品の”鮮度保持”技術。白菜は半年、梨は1年保存できるという。ZEROCO最大の特徴は温度・湿度の徹底管理。氷点下に冷やす従来の冷凍では、食品に含まれる水分が氷の結晶になる。水は凍ると膨張するため、冷凍の過程で細胞に傷をつけてしまう。一方ZEROCOは食品の表面から中心まで0℃に冷やす。凍らないギリギリの温度を維持することで細胞を傷つけないという。さらに、湿度を100%近くに保つことで食品の酸化を防止し、新鮮なまま長期保存が可能になった。これまで湿度0℃・高湿度の環境を作ろうとすると結露が発生し、凍結とカビの発生原因になっていた。ZEROCOはその環境で結露が発生しない特殊な環境を作り出すことに成功した。詳細は企業秘密だという。ZEROCOの導入を見据え、大手食品メーカーなど約10社が検証実験を行っている。
第3の鮮度保持技術「ZEROCO」。長期保存された食品を試食する。今回試食するのはサラダと茹でたジャガイモと寿司。レタスは2カ月前のものを用意したが、4~5ヶ月くらいは新鮮なままだという。サラダは2~7カ月の間ZEROCOで保存したもの。真山は「大根の鮮度はそこで売ってるのを買ってきたもの。素材の味がして美味しい。レタスは歯ごたえがある」などと話した。ジャガイモは2週間冷蔵保存したものと、6カ月ZEROCOで保存したものを食べ比べる。真山は「冷蔵庫のほうも十分美味しい。ZEROCOの方はジャガイモが甘くなっている」などと言った。ZEROCOには鮮度保持だけでなく、野菜の甘味や旨味を引き出す秘密がある。ZEROCOは寒冷地で古くから受け継がれてきた「雪下野菜」から着想を得て開発された。雪の中は温度約0℃・高湿度となっている。雪下野菜は寒さから身を守るため糖分を蓄えるため甘味と旨味が増すという。ZEROCOは日本の伝統的な保存方法とテクノロジーの融合で誕生した。
農作物が豊作であっても、過剰に市場に出回ると値崩れを起こしてしまう。そのため農家は廃棄を余儀なくされた。それをZEROCOで保管すれば、採れたての状態で長期間保存でき、捨てる野菜を減らせるという。更に必要なタイミングで農作物を供給でき、不作のときでも価格の高騰を抑えられる。そんなZEROCO。北海道や沖縄など全国8カ所に巨大な保管庫を建設する計画が進んでいる。
ZEROCOが保存できるのは食材だけではない。味を維持したままの保存が難しかった和食まで。ZEROCOで一度芯まで0℃にしてから更に冷凍庫で保存した寿司を真山仁が試食。日本が誇るさまざまな食の可能性を広げるべく新たな壁に挑もうとしている。それは、鮮度の問題で難しかった海外輸出。日本の食を海外へ輸出するためZEROCOの機能を備えたコンテナや、トラックの開発も始まっている。早ければ年内にも完成する予定。
これまでカフェなどの飲食店を経営してきたZEROCO・楠本修二郎社長。日本の一次産業に目を向けるきっかけになったのが東日本大震災だという。生産者と1つのチームとなり一次産業を盛り上げたい。楠本を奮い立たせたのは、日本の食を未来へ繋ぐ熱い思いだった。ZEROCO・楠本修二郎社長が「色々な地方の問題が一気に地震で顕在化した瞬間でもあった。それを機に、日本の食のシーンをどう1つのチームにしていくか」などとコメントした。
小説家・真山仁が問う「ブレイクスルーとは?」。ZEROCO・楠本修二郎社長が「食に携わる人たちがワン・チームになること」などとコメント。
- キーワード
- ZEROCO