- 出演者
- 矢内雄一郎 平出真有 藤井由依 古旗笑佳 今村卓 石川久美子
今週末の日経平均予想・中央値は37800円、先週末の終値とほぼ同じ水準。野村総研・木内登英は37100円と予想。中東情勢の緊迫化やトランプ関税、アメリカ景気減速懸念、円高が悪材料としている。ドル円相場の今週末の予想・中央値は143.50円。146円と予想した三菱UFJモルガン・スタンレー証券・植野大作は日鉄のUSスチール買収で発生するドル需要への思惑が底上げするとしている。物価高対策として与党が検討している国民1人当たり2万円の給付が適切か?との問いに7割以上の人が「適切ではない」と回答。第一生命経済研究所・西濱徹は選挙対策としての拙速感は否めない、UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント・青木大樹は中長期の構造的な成長に向けた支援を強化スべきとしている。
テーマは「米中貿易戦争・中国がレアアースで反撃」。アメリカと中国は今月9日から10日にロンドンで貿易問題を巡る閣僚級協議を開き、5月の協議への合意を履行するための枠組み設置で一致した。丸紅経済研究所・今村卓は「交渉の焦点は戦略物資の輸出規制の緩和で関税ではない」「中国はレアアースの輸出規制を緩め、アメリカは半導体関連の輸出規制を緩和するほか中国人留学生のビザ取り消しを撤回する」「トランプ政権は中国への技術流出絵を警戒する立場だが、中国へ譲歩せざるを得なくなった」「米中協議は11月APECあたりに折り合いが付くのではとの見方」などと解説。中国のレアアースの世界シェアは8割強。フォードのほか、スズキやBMW、メルセデス・ベンツ、トヨタ・ホンダ・日産にもレアアース輸出規制の影響が飛び火。レアアース磁石はEVモーターや産業用ロボット、戦闘機、ミサイル誘導システムにも使用される。
マーケット担当の長江優子記者が企業の今後を先読みする。今日のテーマは「株主不満の豊田織機TOB 勝算と今後のトヨタ課題は?」。 豊田自動織機はトヨタグループからTOB(株式公開買い付け)による買収提案を受けている。このTOB価格を巡って、先週開かれた株主総会では株主からの不満が相次いだ。今日はTOBの今後を占うとともに、今後のトヨタ自動車の経営課題も考える。まずは豊田自動織機に対する買収提案の構図を確認。買収の主体は非上場企業のトヨタ不動産と、トヨタ自動車の豊田章男氏が出資する持ち株会社。ここにトヨタ自動車も優先株の出資をする。この持ち株会社が12月ごろに1株1万6300円でTOBを始め、最低42.01%の株式取得を目指す。トヨタ自動車保有の24.59%の株式と合わせ、臨時株主総会で株式併合を議決するのに必要な議決権の3分の2以上を確保する見通し。次に豊田自動織機の株価推移を確認。株式非公開化に関する憶測報道が出たことが影響し、TOB発表日の終値は1万8400円だったが、翌日は売りが殺到した。TOB価格についてトヨタ不動産・近健太取締役は「本源的価値を十分に考慮したもの。中長期保有の株主には十分なプレミアムをつけた売買機会を提供できる」などとコメント。しかし、10日に開かれた豊田自動織機の株主総会では、株主から「TOB価格が安い」、「今回のTOBは少数株主への配慮が少ないのでは?」などと不満が相次いだ。価格については、海外の機関投資家からも「安すぎる」という指摘が。TOB成立の鍵は、市場から買い集める株式の比率にありそうだ。豊田自動織機の株主にはトヨタ自動車以外に、今回の買収の主体となるトヨタ不動産、豊田通商、デンソー、アイシンの4社がある。4社で株式の17.58%を保有し、TOBに応じる意向を示している。実質的にトヨタグループが株式市場で最低限買い集める株式割合は24%ほどになる。 市場関係者は「トヨタ自動車はお金に渋く価格引き上げはなさそう。買い集める率も低くTOBは成立するのでは」などとコメント。
同じようにTOB価格が低すぎるという指摘が出たのが、ドラッグストア大手のツルハHDとイオン子会社のウエルシアHDの経営統合。この経営統合の過程では、イオンがツルハHDに対してTOBをする予定。この件を巡って、ツルハHDの株式を保有するイギリス系の運用会社「オービス・インベストメンツ」はTOB価格が低すぎると主張。2社の統合案は5月下旬の株主総会が可決されたが、オービスは「株式の買取請求権を行使する意向」としている。豊田自動織機の株主総会でも、株主から「TOB価格の妥当性について裁判になる可能性があると思う」などと指摘が。一方、株式市場からは トヨタ自動車の懸案は一段落したという声も出ている。
トヨタ自動車をめぐる最近の動き。1:豊田織機への買収提案を機に打ち合い解消が進む。2:日野自動車と三菱ふそうの経営統合が最終合意。この経営統合で日野と三菱ふそうを傘下に持つ、持ち株会社を作るが、ダイムラーの議決権ベースの持ち株比率は26.7%に対し、トヨタ自動車は19.9%にとどまった。日野はトヨタ自動車の持ち分適用会社から外れる。3:総会での豊田会長の再任再生比率が96.7%に(去年は72%)。このように見ると、関税の件は残っているが、株式市場が懸念していたガバナンスや経営上の課題は一段落したことになる。次に対処すべき課題について、複数の市場関係者から寄せられたのは「収益力の低下」。トヨタ自動車の業績推移を確認。売上高の増加は続くものの、営業利益率は2024年3月期をピークに低下。こうした状況下で今後の鍵となりそうなのが、2025年7月にトヨタ自動車のCFOに復帰する近健太執行役員。 トヨタ自動車の重要案件に色々な立場で 関わっている。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹氏は「近氏はCFO時代に損益分岐経営を貫いた人。収益力回復づくりに奔走すると思う」などとコメント。 関税という逆風がある中でも強さを再び示すことができるのか、次は本質的な「稼ぐ力」の向上と向き合う時期になりそうだ。
日本経済新聞とTXM系列5局が共同制作し、躍動する地域経済のニュースを伝える「ローカルビジネスサテライト」。群馬県の町のパン屋さんが、年間売上高36億円の企業へと成長した理由とは。東京・恵比寿にあるダイニングレストラン「ブルーノート・プレイス」。こちらではある製品の活用が進んでいる。凍ったパンをオーブンで10分温めるだけで出来上がる、焼きたてパン。サラダに付くパンやサンドイッチ用のパンもすべて冷凍パンを活用。ブルーノート・ジャパン・エグゼクティブシェフの長澤宜久取締役は「手作りはやりたいが時間と手間がかかる。冷凍パンはすごく品質も良く『これは自家製パンなの?』と言われるぐらい」などと述べた。このパンは、一度焼き上げたものを急速冷凍した「焼成冷凍パン」。短時間で焼き上がることから人手不足の解消にもなる。冷凍パンの市場規模は約1800億円で、焼成冷凍パンがうち2割を占めている。(出典:株式会社矢野経済研究所「冷凍パン生地・冷凍パン市場に関する調査(2023年)」・2023年10月27日発表)。プロが認める焼成冷凍パンのパオイオニアが群馬・桐生市に。焼成冷凍パンメーカー「スタイルブレッド」では毎日約40万個のパンを製造し、全国4000社に販売。従業員数は400人。売上高はこの10年で3.5倍に。今では年間36億円を売り上げる。材料の小麦粉は主に群馬県産。日本経済新聞社前橋支店の岡田信行支局長は「群馬県は国内有数の小麦の産地。小麦を使った麺やパン、まんじゅうなどの生産が盛ん。昔から好んで食べる文化もあったことが背景にある」などと述べた。実は、群馬県から「日清製粉」、「築地銀だこ」など小麦を使った全国ブランドが多く誕生。スタイルブレッドも、地元の小麦を使って自社で培養でする「桐生酵母」という天然酵母がこだわり。アルチザンファクトリーチームの塚越祐葵工場長は「独特の風味や味を出すために『桐生酵母』を使っている」などとコメント。酵母も地元産で、低温で16~18時間発酵させる。焼き上がったパンは特殊な冷凍庫に入れ、-45℃で急速冷凍。冷やす時間は企業秘密。もとは1930年に桐生市で「桐生製パン所」として創立し、4代目の田中知さんが事業転換を図った。きっかけは26年前、30歳の時にアメリカで見た最先端の冷凍技術。2006年に焼成冷凍パンに特化した事業を始め、2018年には個人向けの販売も開始。シンガポールへの販路も獲得。 20億円を投じた新工場をことし立ち上げ、事業拡大を目指す。
東京都心の中継映像を背景に全国の天気予報を伝えた。
イスラエルとイランの交戦が激化する中、イスラエル軍は15日、イランにある武器製造拠点付近にいる市民に対し、ただちに退避するよう求める声明を発表。イスラエル軍は声明で「イランの武器製造拠点の付近にいると命を危険にさらすことになる」警告し、さらなる攻撃を示唆した。イランのメディアによると15日、中部・イスファハンなど3都市で爆発があった。イスラエルへの報復攻撃に使ったミサイル施設が狙われたとみられる。また、首都テヘランでは2つの石油施設が攻撃され、大規模な火災が発生。一方、イラン側も反撃を強めていて、イスラエル北部や中部では14日夜から15日未明にかけ、新たなミサイル攻撃により10人が死亡。イランのアラグチ外相は15日、「核開発をめぐるアメリカとの協議が合意するのを阻止するためイスラエルが先制攻撃」したなどと述べ、非難した。また、アメリカが攻撃を支援しているとし、責任を追うべきだと訴えた。アメリカのトランプ大統領は15日、自身のSNSにイスラエルとイランについて「取引すべきで取引するだろう」と投稿し、停戦の合意を求めた。また、ロイター通信によるとトランプ大統領はイスラエルが立案したイランの最高指導者・ハメネイ師に対する暗殺計画について反対していたという。トランプ氏自身が反対を直接伝えたかは不明だが、イスラエルのネタニヤフ首相と頻繁にやりとりをしているという。
小泉農林水産大臣は実態との乖離が指摘されるコメの収穫量などの統計データについて、今日午後にも見直しの方針を発表すると明らかにした。小泉大臣はきのう、福島県内を視察し、コメ生産者などと意見を交わした。南相馬市ではコメ農家などから「農水相が発表するコメの統計データが現場の実感と異なる」との声が上がった。コメの統計を巡っては農水省が2024年産米の作況指数を「平年並み」としたことなどについて、生産・流通現場からも正確性が疑問視されている。こうした声を受け小泉大臣は、統計の見直しの方向性をきょう午後にも発表する考えを明らかにした。小泉農水大臣は「政策の基盤となるデータ統計に対する信頼を回復しないことには中長期のコメ政策は立案できない」などと述べた。
6月のミシガン大学消費者信頼感指数の速報値は60.5と6カ月ぶりに上昇し、市場予想の53.5を大きく上回った。1年先の期待インフレ率は大きく低下し、5.1%となった。調査担当者は「高関税への衝撃やその後数週間にわたってみられた政策の不安定さから、消費者はある程度落ち着きを取り戻した」と指摘している。
トランプ大統領は13日、日本製鉄によるUSスチールの買収計画を巡り、パートナーシップを承認する大統領令に署名した。アメリカ政府は日本製鉄と国家安全保障協定を結び、米政府が「黄金株」を保有することや、日鉄が2028年までに約110億ドルを投資することなどが盛り込まれた。日本製鉄はUSスチールの普通株式を100%取得して完全子会社化し、買収を速やかに成立させる予定。
世界情勢が大きく動く中、今週は日本では日銀の政策会合もある。世界中の中央銀行はどこもそうだが、関税交渉の不確実性が高い中で踏み込んだ示唆がし辛いのは日銀も同様。日本は物価に関して比較的堅調な伸びを示す指標も出てきており、どのようなニュアンスを出してくるかは注目。G7で特別に変なことが起きないことを祈るのみ。アメリカのトランプ政権の先行きが今後の注目点になりそうだ。アメリカは世界への関与を減らそうとしている。関与の低下に各国が反応を始めており、イスラエルが最たる例。中国やロシアも利用しようという動きになってきている。日本もビジネスも、変わるアメリカに対応していくことが必要になる。シカゴ/日経平均先物は37900円となっている。