- 出演者
- 所ジョージ 阿部健一(セバスチャン) 佐藤真知子 三浦一馬(シイナ) 五島麻依子(大吟嬢)
オープニング映像。
ありとあらゆる工業製品に使われているのが接着剤。石器時代には接着剤として天然アスファルトが使われていた。原料を加工して作ったといえる材料としては「膠(にかわ)」。今回の舞台は極寒の群馬・嬬恋村。俳優・石田剛太は膠を完成させることができるのか。
石田剛太はこれまでに石鹸や丸木舟を作ってきた。今回は古代接着剤作りに挑むという。
- キーワード
- 石田剛太
2月中旬、石田剛太がやって来たのは群馬・嬬恋村。平均気温は氷点下5℃、あえて寒い場所で接着剤作りに挑む。専門家の意見や文献をまとめた指示書を基に作業する。膠は4500年前のエジプトの壁画で絵の具をくっつけるための接着剤として使われていた。墨や日本画の絵の具を定着させ、耐久力を高める役割があり、バイオリンなどの木製の楽器作りでも強力な接着力が重宝されている。さらに温めれば再接着できる特性から修理にも適しており、文化財の修復にも使われている。まずは大型哺乳類の皮を入手。群馬県における農産物への動物の被害は約3億2000万円。その被害の55%が嬬恋村で発生しているという。今回は増えすぎた数を調整するために狩った冬毛が生えたオスの鹿の皮を使用する。次に肉や脂肪を皮から取り除く。膠を作るのに使うのは真皮に多く含まれるコラーゲン。ナイフを使って肉や脂肪を取り除いていく。続いては皮を川に漬ける。微生物の作用、皮自体が持つ自己分解酵素の作用で組織がゆるんで毛が抜けやすくなるという。皮が腐らないようにするため、寒い時期に作業をする。石を乗せて動物に持っていかれるのを防ぎ、皮全体が水に漬かるようにする。
皮を引き揚げ毛を取り除く。水温が低かったため微生物や酵素があまり作用せず毛は抜けなかった。計4週間、川に浸けた皮は簡単に抜けるようになっていた。次の工程は皮を洗浄し細かく切って90℃で3時間煮る。接着力が高い膠にするためにはゼラチン分子が短くなりすぎないよう温度と時間を調整する必要がある。さらにザルで皮を取り除き布で濾し、羊羹状に切って乾燥させ完成。
乾燥した膠を接着剤として使うためには半日~1日かけて水を吸わせる。プルプルの状態に戻ったら水と一緒に加熱する。膠は乾燥させることで何年も保存して、好きな時に使うことができるようになる。水と一緒に加熱すると、すぐに液状になった。溶かした膠を木片に塗ってくっつけてみた。手で力いっぱい引っ張ってもとれなかった。水に溶けたゼラチンは温度が低下し、乾燥するとコラーゲンのような絡み合った繊維状に復元する。液状のゼラチンが物体の隙間に入り込み、個体に変化することで接着力を発揮する。膠で接着した木材にお湯をかけてみると、きれいに剥がれた。
「所さんの目がテン!」の次回予告。