- 出演者
- 長谷川忍(シソンヌ) 影山優佳
今回反省する未来予測は「人工冬眠で寿命が延びる」。「2001年宇宙の旅」や「エイリアン」などSF映画に登場する定番といえば人工冬眠である。宇宙船での長距離移動の際、人体を低温状態に保ち老化を防ぐ装置となっている。これはあくまでSF映画の話と思いきや1969年には「人工冬眠によって人間の寿命は大幅に延びる可能性がある」という未来予測があった。クマ・シマリスなどは冬の食糧不足を乗り切るため冬眠するのでこれを人間に応用できれば老いることなく若さを保てて遠く離れた星にも行けるかも、と人類は夢の技術に期待を膨らませた。それから半世紀以上が過ぎ、クマもシマリスも冬眠する中冬眠している人間は1人もいなかった。
オープニング映像が流れた。
本日天国からお越しいただいたのは過去に未来予測をしたロバート・プレホダ。1969年の未来予測は「老化のコントロール 人工冬眠あるいはその両者の相乗効果によって人間の寿命は大幅に延びる可能性がある」というもの。いっしょに反省する専門家は人高騰民研究のトップランナーである砂川玄志郎と長年に渡って老化研究に取り組んできた中西真と医療倫理学者の浅井篤。
ロバート・プレホダは10代の頃から寿命を延ばすことに関心を持ち、老化を克服する研究や人工冬眠を実現するための研究書を出版していた。1967年に世界初「人体の冷凍保存」に関わることになり、カリフォルニア大学で心理学を教えていたジェームズ・ベッドフォード教授の遺言に従い彼の人体を冷凍保存した。ロバート・プレホダは哺乳類を冷凍保存から蘇生できた例はないため人体の冷凍保存には反対で寿命を延ばすには冬眠と老化のコントロールが必要と考えたとのこと。
1996年のデンマークの一卵性双生児の研究では「老化の原因は遺伝ではなく約80%が生活環境」であることがわかった。1961年にレナード・ヘイフリックという細胞生物学者が発見した細胞は増殖できなくなった細胞として老化細胞と名付けていた。そのため「老化のコントロールはいまだ実現せず」となった。
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- レナード・ヘイフリック
種として何歳まで生きられるかというのが最大寿命となっているが、最大寿命は120歳ではないかということがわかってきているという。女性が男性より長生きなのかについてはわかっていないとのこと。
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健康寿命という考え方は平均寿命と健康寿命の差は約10年あるが、健康寿命と平均寿命の差をいかに0年にするかが大事ではないかと考えられている。老化は体の機能低下による衰退でシャチ・ミジンコ・グッピーといった魚は死亡率は加齢とともに上がっているだろうとなっている。世の中の生物はみんなこうではないかと思っていたが、ワニ・トカゲ・サバクガメは年をとっても死亡率が上がらないのではないかとのことだった。カメは老化しないとされており、モエギハコガメの死亡率は年齢を重ねても横ばいとなっていた。哺乳類の中でもハダカデバネズミは老化細胞が体にたまらないという特徴があるという。
ヒトの老化細胞は歳を取るとたまっていき、機能が低下すると考えられている。老化しない生物は老化細胞が自然に死滅しているのではないかとのこと。そのため老化細胞を取り除けば健康寿命が延びるのではないかという。老化細胞の生存に欠かせない酵素はGLS1で阻害剤で老化細胞や炎症を起こす細胞が選択的に弱まって死んでしまうのではないかと見出した。老齢マウスにGLS1阻害剤を投与し棒につかまっている時間を計測するとつかまっている時間が長くなったという。ヒトは老化速度がはやい生物で生殖年齢を超えてしまうといい遺伝子を残すことができないので除かれてしまうことを選択したのかもしれないとのこと。
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冬眠とは代謝・体温を落とした状態で睡眠と一番違うのは体温が下がることである。砂川玄志郎は小児科医で重傷な子供を診る立場にいたが、たまたまある論文に出会って人工冬眠の研究を始めようと思ったという。その論文は「マダガスカル島のキツネザルの冬眠研究」でフトオコビトキツネザルはマダガスカル島に棲んでいるが1年の中で乾季があってエサがなくなるので冬眠するとのこと。そのため霊長類のサルが冬眠するなら人間もできるのではないかと考え、冬眠の世界の研究に足を踏み入れたという。しかし「冬眠のメカニズムは未解明「人工冬眠」研究も進まなかった」が反省ポイントとなった。
マウスを冬眠に近い状態にする神経回路を発見し「冬眠様状態」と呼んでいるが、マウスは数時間だけ休眠をするという日内休眠が知られておりその神経回路を発火(刺激)すると冬眠に近い状態に入るということがわかりその神経細胞は「Qニューロン」と呼んでいるという。哺乳類は体温を36~37℃を保つ仕組みは備わっており、設定温度・熱生産となっているが冬眠動物はこの2つを下げることができるため低体温状態にすることができる。「Qニューロン」もマウスに対して非常に近いことをやっていることがわかったという。マウスの体温を37℃から30℃に下げると普段37℃の体温が30℃まで下がったことで室温28℃の環境を暑く感じるようになっていた。これが冬眠に近い状態であり「冬眠様状態」と呼んでいるという。かなり寒い室温(12℃)でようやく熱生産を始めるとのこと。この発見には筑波大学の櫻井武教授の貢献が大きく、偶然にQニューロンを刺激すると低体温になることを発見したという。
実用化への懸念や課題について浅井篤は「セーフガードを固めて進めて行けたら…」と話した。
実現すれば救急車で患者を病院まで運ぶ時間を稼げるのではないかという。臓器移植にも有効ではないかとのことで冬眠状態に誘導できれば安全に保てて全身麻酔でも代替・サポートができるのではないかとのことだった。医療分野意外では宇宙で火星に行くには往復で約2年半かかるが、冬眠で食料や酸素を減らした分たくさん人を連れていけるという。
老化制御と人工冬眠の相乗効果について、中西真は冬眠と老化の関係はよくわかっていないので本当にできたら興味があるところだと話した。また浅井篤は社会保障や老老介護の問題に対応して長寿が実現したらよいとのことだった。
人工冬眠で寿命が延びる未来はまだまだ先だが、いつどの時代を生きるかを選べたりそんな未来が来るのなら未来予測をした意味があったのではないかとのこと。
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- ロバート・プレホダ
影山優佳は「「未来予測反省会」が未来永ごう続くように人工冬眠…」と話した。
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