2025年10月28日放送 23:00 - 23:29 NHK総合

未来予測反省会
「日本のクマは絶滅する」

出演者
長谷川忍(シソンヌ) 影山優佳 
(オープニング)
今回は…

今回反省する未来予測は「日本のクマは絶滅する」。山に行けばあちこちで目にする「熊に注意」の看板。森の中ではクマに出くわすかもしれないと言われ続けたのだが、遡ること1991年、この都市に発行された絶滅のおそれのある野生生物について記された「レッドデータブック」。そこには絶滅のおそれのある野生静物として、日本各地のクマの名前があった。“絶滅の危機”が叫ばれて30年あまり、クマは絶滅どころか全然減っていない。しかも近年は市街地にまで出没し、民家にまで侵入。人への被害も増え、なぜ今クマの出没が増え人への被害が増えているのか。

キーワード
日本の絶滅のおそれのある野生生物(1)改訂 レッドデータブック札幌市(北海道)環境省盛岡市(岩手)
オープニング

オープニング映像が流れた。

日本のクマは絶滅する
日本のクマは絶滅する

本日反省する未来予測は「日本のクマは絶滅する」。お越しいただいたのは過去に未来予測をした間野勉。1991年の未来予測は「これまでのやり方を今後も続けてゆけば、道北地域のみならず、さらに広汎な地域でヒグマの衰退・絶滅がおこることが予測される」となっていた。いっしょに反省する専門家は40年近く野生生物の生態・保護管理について研究している大井徹と昼夜撮影可能な動物陽超小型カメラを開発した森光由樹。 北海道では1960年代以降はクマの個体数が減っておりそれが80年代になってわかってきたという。

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クマ
なぜクマを捕獲してきたのか?

北海道のアイヌによる狩猟や東北地方のマタギによる狩猟があったが、クマを絶滅に追い込む個体数に影響を与えるものではなかったという。一番大きいのは森林を切り開いて農耕地化・市街地化していきクマの住処が減っていったことであった。クマの捕獲数は右肩上がりに増えていき、1950年代の後に起きた決定的なことは1962年に北海道の十勝岳が噴火して大規模な降灰が起きたという。これによってクマの食べ物が失われ、沢山のクマが人里に出没して家畜を襲ったり自衛隊が出動して子どもの通学をサポートしていた。1966年に北海道で「春グマ駆除」を開始し、 北海道以外では別の理由でクマによる被害が増えていた。当時安定した木材供給を目的として全国的に植林が進められていたが、クマによって「木」が被害にあっていた。針葉樹の外皮を剥ぎ木と皮の間にある形成層を食べるクマ剥ぎが起き、材質が悪化して売り物にならなくなっていた。そのため林業関係者がクマを害獣とみなし駆除が進んでいったという。1950年代と70年代を比べると捕獲数は2倍になっていた。

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クマ六甲山兵庫県北海道十勝岳林野庁環境省自衛隊
“捕獲”から一転 “絶滅”の危機に

しかしある時から「クマを根絶する」流れに変化が。1975年にワシントン条約が発効し、絶滅のおそれのある野生生物を保護となり日本でも自然破壊に対する反省からむやみに野生動物を捕獲して絶滅させることがないようにしないといけないとなっていた。間野勉は80年代に北海道大学の学生でヒグマ研究グループに所属していたという。クマを捕獲して発信機をつけて行動を調査していたがクマの痕跡が見当たらなくなったが、狩猟者に聞き取りに行くと 「クマなんて減ってねえ」「お前何しに来た?」「クマはいっぱいいる」とのこと。だが70年代以降はクマ類捕獲数は増えておらず、狩猟者がクマを捕ろうとしてもなかなか捕れなくなっていた。「減ってる」と認めると捕獲禁止されるんじゃないかとなり言いたくなかったという。きちんと話をすると「確かに昔の方がいっぱいいた」となっていた。そして「そのまま同じことを続けていったら最後は本当にいなくなってしまうだろう」となったという。国もかなり危機感を持っており、1966年にIUCNが中心となり絶滅の危機にある世界の野生生物をリスト化したレッドリストが発行され環境庁は日本版のレッドデータブックを作ろうと計画した。沢山の研究者や専門家を集め、本格的に調査を開始し全国の至る所で「急速に消滅に向かう恐れがある」とはっきり書かれていた。 2012年には環境省が九州のツキノワグマの絶滅を宣言。四国もわずかな個体数が生き残っているのみとなっていた。そして1980~90年代に右肩下がりで減少していった。

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クマレッドリスト北海道大学日本の絶滅のおそれのある野生生物(1)改訂 レッドデータブック環境庁環境省生物科学
“保護”で数が回復…そしてまた“捕獲”へ

保護によりクマの数は回復したが過程で個体数も増加していった。その後のクマの捕獲数を見てみると、2023年には9000以上に増えていた。34年前の未来予測はハズレてしまったが間野勉は「“絶滅する”予測が外れてよかった」とのことだった。

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クマ環境省
なぜクマが増えたのか?

「なぜクマが増えたのか?」についてはクマは「特定鳥獣」として都道府県が保護管理の責任を負うが、クマの正確な個体数を把握できなかったからだという。被害を起こす野生動物はクマだけではなく、農作物の被害に関してはシカ・イノシシが圧倒的に多いとのこと。そのため役所はシカ・イノシシの被害対策に追われているとのことだった。現在ではクマの出産間隔や出生率などからクマの個体数を割り出したり、自動撮影カメラを森に仕掛けクマの出現データから個体数を調べる方法も行われている。

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イノシシクマシカ農林水産省
増えた理由は“日本の過疎化”?

また日本では地方の人口減少“過疎化”が進み、人が地方から撤退して都市部に流入。かつては住宅地の間に農耕地があり奥の森林でクマは暮らし畑や田んぼなどが緩衝帯となっていたが、森がどんどん回復し今やうっそうたる森林になっていく。そのため「過疎化でクマに“生活圏”を取られてしまった」とのこと。

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クマ
山から人里へ…クマのエサ事情

クマは雑食で首元にカメラを装着すると、ヤマボウシという果実や甲虫類の幼虫を食べていた。山の中で秋はクリなどの堅果類を食べ、最近はメロンやスイカなど食べるものの選択肢が増えているという。

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ヤマボウシ
クマにナメられる人間たち

クマは人間を怖がっていたはずだがクマは頭がよく学習し、以前のように捕獲されなくなったことでクマが人間をナメるようになったとのこと。2019年には北海道札幌市南区で約1か月間ヒグマが住宅地に出没していた。最初は赤色灯・サイレンなどに反応して怯えたりしていたが、だんだん無害だと認識していき庭の果物やトウモロコシを食べあさっていく。専大北上高校の校舎内にクマが侵入していた。クマの出没件数は確実に増えており、2023年度は過去最高となっていた。

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クマ北上市(岩手)専修大学北上高等学校札幌市(北海道)港区(北海道)
出没を防ぐカギは“人間への恐れ”

「クマを出没させない方法は?」についてはまた「クマが人間を怖がるようにする」とのこと。現在は沢山クマ捕獲されているが、銃を使った捕獲だけではなくワナも多いという。北海道では銃とワナが1:1の割合で山形県では「有害捕獲は箱ワナに限る」となっていた。またクマ被害を恐れる人がいる一方で自然保護や動物愛護の立場から「殺す必要があったのか?」という意見も多いとのこと。

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クマ環境省
クマと人間が共生していく方法は?

「クマと人間んが共生していくには?」について。アメリカの本土ではクマに壊されない構造のゴミ箱が設置されていた。またクマから身を守るスプレーの講習もされ、行政が地域住民に研修会を実施しクマに対する理解や知識向上を促進していた。AIがクマの研究・対策に寄与する可能性が出てきており、何度も人里におりてくる個体を画像から識別する研究が行われているという。長野県軽井沢では「ベアドッグ」を使った対策があり、激しく大きな声でクマが接近する前に追い払うとのこと。2004年から導入し、被害が大幅に減少するなど効果をあげている。街に出没したクマを捕獲した後、山に放ちそれをベアドッグが追いかけてクマが再び出てこないように山奥へ追い込み訓練士から指令が入るとベアドッグは戻ってくるという。

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クマネバダ州(アメリカ)
共生する未来はやってくるのか?

「日本人とクマが共生する未来は?」について。クマと共に暮らす知恵が失われてしまったんじゃないかとなっており、先住民のアイヌの人たちがは「キムンカムイ(山にいる神)」とヒグマのことを尊敬しているが「ウェンカムイ(悪い神)」という言葉があって論理的・科学的にクマを見ていたという。狩猟が日本でかつてのアイヌのようにできるかは別の話だが「将来どう共存するか」のヒントがあるとのことだった。

(エンディング)
エンディングトーク

間野勉は「先送りはできず、今のまま放置すると今後はますます大変になるという予測が出かねない」と話した。

次回予告

「未来予測反省会」の次回予告をした。

(番組宣伝)
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