2024年2月12日放送 16:45 - 17:58 NHK総合

解体キングダム
重要文化財を後世に 築320年の古刹を解体せよ

出演者
 - 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。去年12月16日から316年前、過去最大規模の宝永噴火が起きた。蘇った寺があった。その寺が解体されようとしている。相手は重要文化財。ハイテクと伝統が驚きの融合を果たす。

重要文化財を後世に 築320年の古刹を解体せよ
築320年の古刹を解体・修理せよ

神奈川県鎌倉市。去年8月、城島と伊野尾がやってきたのは光明寺。光明寺が開かれたのは鎌倉市時代。本堂は1698年に建て直された。迎えてくれたのは僧侶・大谷慈通さんと工事責任者の嘉代正信さん。光明寺を解体しながら元に戻していくという。本堂の建物を覆って中で重要文化財の解体・改修工事をしている。本堂は約320年前に建立され、江戸時代から昭和にかけて50~100年サイクルで何度も改修されてきた。龍の彫刻が施された部材は場所によって木の色が異なり、補修された痕が残っている。工事が始まったのは2019年11月、工期は10年。重要文化財の建物を後世に残すことが目的。痛みがひどい部分は新しい材木を足して補修する。部分の多くは当初材。

キーワード
光明寺鎌倉市(神奈川)
難関ポイント1 重要文化財の部材を取り壊すことなく取り外せ

難関ポイント1は重要文化財の部材を壊すことなく取り外せ。創建当初の部材をできるだけ残す今回の解体工事。鴨居は創建当初からある部材。当初、鴨居は内法長押という部材に和釘で固定されていたが、工事際に洋釘で補強された。宮大工の山本さんによると、繰り返し補修が行われたことで解体がいっそう複雑になっているという。鴨居の取り外しなどをする専用工具・鴨居ジャッキを使う。釘のサビにより、無理に釘を抜こうとすると部材が壊れてしまう。洋釘を慎重に切断していく。釘を切った瞬間、鴨居が動いた。創建当初に打たれた和釘は長年潮風を浴びて腐って無くなっている。身長に釘を外していき鴨居が取り外された。

キーワード
光明寺
解体マメ知識 文化財・修復物語

10年をかけて行われる光明寺の解体工事。最大の特徴は解体後に修復して建て直すこと。そこには文化財ならでは難関がある。修復する際には文化庁が定める基準に乗っ取らなければならない。極力部材を再利用し、当時の技法・仕様を再現するよう定められている。いつ、どのように作られたのか調査するのは文化庁から委託された専門家に委ねられている。叩いたときの音で木の密度を調べ、キリを差して内部の腐敗状況を調べる。再び使えるかどうか木の健康診断を行う。解体する部材は2万点以上。果てしない作業が進められる。

キーワード
光明寺文化庁
難関ポイント2 花母屋を傷つけることなく取り外せ

去年11月上旬。創建当初の部材を極力残さなければならない今回の工事。この日は屋根部分の解体を見せてもらう。最も軒先に近い鼻母屋を取り外す。端の部分はシロアリに食べつくされていた。鼻母屋は長年、シロアリたちの棲家になっていたようだ。強度が下がっているので無理に力をかけると壊れてしまうので慎重に作業を行わなければならない。難関ポイント2は花母屋を傷つけることなく取り外せ。鼻母屋はとなりの部材と洋釘で組み合っているので、無理に釘を抜こうとすると鼻母屋を傷つけるおそれがある。そこで、上下から鼻母屋を叩き、釘ごと浮かせた後に鼻母屋だけを沈めることで釘の頭を出す。出っ張った釘をバールで抜く。シロアリに食い荒らされた接合部分はジャッキで固定して持ち上げながら釘の頭を出していく。ミッションは大成功。

キーワード
シロアリ光明寺
築320年の古刹を解体・修理せよ

光明寺の解体工事。一般的な足場は建物の外側を囲うように設置されるが、部材のわきに宮大工が立つ必要があるので部材の間を縫うように足場が設置されている。足場を組むために最新の技術を使用している。足場の設置を担当したのは豊能文子さん。点群データを使用したという。点群データとは物体などを大量の点の集合体データで表現したもの。点群データの計測に使うのはカメラ。最初の7秒で画像データをとり、30秒で点のデータをとる。計測した点群データを使えば距離を測ることも可能。データを用いれば部材同士の距離や角度など従来の方法では記録できない情報まで残すことができるため、今後の復元工事にも活躍が期待されている。

キーワード
光明寺

次は本堂の中心部分。本堂の中心にある内陣と呼ばれる場所にやってきた。振動を与えると壁画の塗料が剥がれてしまう可能性があるという。内陣では壁画の保存・修復作業が行われている。剥落止めという装飾の保護作業が行われていた。にかわという動物の骨や皮を煮出して作る天然の接着剤を使用する。今回の改修工事で新たな発見があったという。保管庫にあったのは天女の絵。解体前、本尊は内陣の中で厨子と呼ばれる場所に収められていた。調査のため、厨子の内側の壁をはがしたところ、幅1.5m、高さ90cmの天女の絵が出てきた。

キーワード
光明寺
解体マメ知識 光明寺物語

光明寺は1698年に本堂が建立された。この頃、幾多の災害が江戸の町を襲った。大火事、元禄地震、宝永噴火。宝永噴火により火山灰が関東全域に降り注いだ。農作物がとれなくなり、生きていくことさえ困難な時代。光明寺も存続の危機を迎えた。光明寺の修復に関する記録には元禄地震による被害が記されている。そんな中で立ち上がったのは寺の僧たちだった。江戸の町で行ったのは出開帳。寺の秘仏を公開して寄付を募った。現在の価値で1億5000万円もの寄付が集まり、1770年に本堂は修復された。

キーワード
元禄地震光明寺富士山鎌倉歴史文化交流館
築320年の古刹を解体・修理せよ

光明寺の解体作業中に見つかったのは江戸時代に流通していた寛永通宝というお金。見つかったのはさい銭箱があったあたりの床下。さい銭箱があったあたりを解体する。根太という床板を支える部材を取り外す作業をする。部材はかなり傷んでいる。作業は根太と根太を固定している和釘を抜き、片側を引っ張り傷んだ柱との接合部から取り外す。職人は大型のバールなどを使い取り外しに成功。城島が床下で偶然見つけたのは瓦の破片とスリッパ。

キーワード
光明寺

お昼どきの休憩所にお邪魔した。皆さんそれぞれのお弁当を食べていた。豊能さんは入社後、熊本空港の建設に従事し、入社3年目に夢だった伝統建築の部署に異動。豊能さんは自分の好きなことで目標も少しずつ達成できるようになってきたのでやりがいを感じているという。

キーワード
光明寺熊本空港
難関ポイント3 ゆだんだ虹梁を傷つけずつり上げろ

去年11月下旬。この日解体するのは虹梁という巨大な梁。320年の歴史を誇る創建当初の部材で傷つけることは許されない。天井クレーンを使い釣り上げる。虹梁の両端にある差母屋を取り外す必要があるが、作業が一筋縄ではいかないという。差母屋と虹梁は蟻落しという仕口で組み合さっている。今回の接合部には隙間があり、無理やり持ち上げると虹梁に傷をつけてしまうおそれがある。難関ポイント3はゆだんだ虹梁を傷つけずつり上げろ。隙間の調整をしてから、慎重にクレーンで引っ張る。クレーンのベルトの位置を調整しながら、左右のバランスを均等にして引き上げ、虹梁のつり上げに成功した。

キーワード
光明寺
(エンディング)
エンディング

エンディング映像。光明寺の解体工事が終わるのは1年後。その後、5年かけて修復される予定。

キーワード
光明寺
NHK+

NHK+で配信。

キーワード
NHKプラス
次回予告

解体キングダムの次回予告。

(番組宣伝)
プレミアムシネマ

プレミアムシネマの番組宣伝。

鶴瓶の家族に乾杯

鶴瓶の家族に乾杯の番組宣伝。

© 2009-2024 WireAction, Inc. All Rights Reserved.