- 出演者
- 魔裟斗 伊野尾慧(Hey!Say!JUMP)
去年2月、東京・赤坂の現場に伊野尾慧と魔裟斗が訪れた。今回解体するのは国際新赤坂ビル。西館は空きスペースが2つに分かれているため解体作業を行うには狭すぎるという。その結果、都心の解体ならではの難関が立ちはだかる。今回の工事ではビルの壁面に大型のタワークレーンを設置する計画。タワークレーンの腕の部分であるジブの長さが最低でも46m必要なのだがどうやって敷地の中で組み立てるかが問題。地下駐車場へのスロープのほか樹木も点在しているためジブの先端が敷地の外に突き出てしまい地上で組むのは困難だという。難関ポイント1 極狭スペースで巨大タワークレーンを組み立てよ。ビルを建てるときは建物がないので地上で組めたが解体は制約だらけになってしまう。
タワークレーンが日本で使われるようになったのは戦後の復興が進む1950年代。初期の国産タワークレーンは地上から四隅をワイヤーで張り支える構造でした。60年代に入ると高層ビルの建設にも適したタワークレーンの開発がスタート。高さ634mの東京スカイツリーもタワークレーンなしでは到底不可能な産物でした。今回赤坂で組み立てられるタワークレーンは建物の脇に自立するマストクライミング方式。このタワークレーンは自分で成長してのびていく。マストと呼ばれる柱を自らつりあげジブの手前の穴に差し込む。マストは縦横2m、高さ6mでボルトで固定されるとそこをのぼってどんどん高くなる。役割を終えると逆の要領で自らマストを抜いて低くなっていく。
2か月後、伊野尾と魔裟斗が再び現場にやってきた。46mの巨大タワークレーンがきょう完成するという。屋上には奇妙な光景が広がっていた。目の前にあったのは組み立てられないといっていたはずの46mのジブ。屋上の真ん中には小型のタワークレーン。頭上にはタワークレーンがジブなしで置かれていた。これぞ解体ミステリー。伊野尾は短いジブで小型タワークレーンを組み立ててからジブを延長したと推察した。
タワークレーンの建設が始まったのは2月下旬。まず操縦室まわりが組み立てられた。ビルとの距離はわずか15cm。敷地が狭いため操縦室が旋回できるギリギリの距離に設置された。続いてジブの組み立て。小分けにされたパーツを繋ぎ合わせていく。敷地を目一杯使って約32mのジブが組み立てられた。夜9時、ジブを接続する作業に取り掛かる。打ち合わせを行う作業員たちも緊張の表情が浮かぶ。タワークレーンの操縦席は敷地の真ん中にあり取り付ける際には先端が道路にはみ出さざるを得ないという。さらに電線が四方にあり注意が必要。クレーン車でゆっくりジブをつりあげ、下からロープでジブを引っ張り重さ10トンの鉄の塊をゆっくりと回転させる。最大の難関、道路にはみ出しての作業。開始から4時間、接続が完了した。完成したクレーンはマストを差し込みながら上へ上がっていった。32mジブのタワークレーンが完成。続いて屋上に小型のタワークレーンが建てられた。さらに足りない14m分の延長用ジブもつりあげた。最後に小型クレーンをつかって32mのジブの取り外しが行われた。延長用ジブと合体し地上では作れなかった46mのジブが屋上で完成した。タワークレーンにジブを接続するのはとび職人たち。職人が立つのは飛込み台のようなジブの接続部分。リーダーの小倉さんが介錯ロープをジブに取り付けスタンバイ完了。
長さ46m、重さ12トンの巨大なジブが静かに吊り上げられる。ジブの接続部に控える高所チームは上から異常がないかを確認する。このままジブを旋回させると先端から垂れ下がったワイヤーが足場に引っかかる可能性があった。屋上いっぱいの巨大ジブ。チーム全員で助け合う。職人とオペレーターの見事な連携で隙間にピタリとハマった。ジブをつなぎ合わせるピンを打ち込む大役を任されたのはインタビューで高い所が苦手を話していたマツフジさん。ジブは見事に接続。続いて、ジブを上下させるためのワイヤーの取り付け作業にとりかかる。手すりも何もない網の上でワイヤーを受け渡す。ワイヤーを張り終えたら残るピンを打ち込んでジブを完全に固定。最後に小型クレーンから吊るされたフックを取り外す。強風に苦しめられながらも作業は終了。開始から4時間半のことだった。
去年6月、解体は順調に進んでいた。現場ではハイブリッド階上解体が行われていた。一般的な階上解体は屋上に吊り上げた重機で床や外壁を解体し下へ下へと下りていく工法。一方、ハイブリッド階上解体は重機にタワークレーンを組み合わせて行う。床は重機で解体し、外壁はクレーンで地上に吊り降ろす。分業して進めることで工期の大幅な短縮が見込めるという。今回、タワークレーンが解体するのは鉄の柱と外壁部分。長さ12m、重さは6トン。この外壁を見えない地上に吊り降ろさなければならない。タワークレーンのオペレーターはオペレーター歴26年の砂川さん。タワークレーンのジブの先端にはカメラがある。これが吊り荷を確認する唯一の方法。
解体ミッション開始。まずは外壁の玉掛け。強風が吹いても落下しないよう、クレーンでしっかり吊る。そして、鉄骨を3000℃の炎で切り離し、外壁を吊り上げることに成功。外壁は一旦屋上で外装パネルなどを取り外してから地上に吊り降ろす。吊り荷とモニターを交互に確認しながらジブを倒していく。オペレーターの視界からは完全に鉄骨が消えた。長さ12m、重さは6トンの外壁が地上に吊り降ろされた。こうしてビルはその姿を消した。
エンディング映像。
NHK+の告知。
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解体キングダムの次回予告。