- 出演者
- 弘中綾香 入山章栄
オープニング映像が流れた。
今回のテーマは「日本の超大手企業がディープテックで描く未来でスタートアップがさらに輝く!?」。NTTの川添さんは、研究者界隈では大変有名な方だという。1985年、民営化したNTT。川添さんは2年後の1987年に入社。以来時代の最先端の通信技術を牽引。今年6月までは副社長を務め、現在も最新技術の研究に関わっている。その川添さんが、今度は通信の変革を通じてスタートアップを支援しようとしている。
- キーワード
- NTT
NTTといえば国内の電話会社というイメージが強い。昔は固定電話収入は約80%を占めていたが、2024年度時点で約6%となっている。いかに新しいビジネスやサービスを社会の変化や技術から見つけ出さないといけないという。そういう意味でディープテックに注目して支援するのが重要だという。ディープテックが生まれる条件として、支えるインフラが必要だと考えており、インターネットを次の時代の新しいものに変えていくのが重要なことで、まさにIOWNだと思っているという。
IOWNというのは、光をもっと使うことで、高性能と低消費電力を満たしたITインフラを作っていく試み。現在の通信ネットワークは、途中で電気へ変換して通信が行われいるが、IOWNは電気へ変換することなく光だけで通信を行うという新しいネットワーク。光通信の強みとは、遅延の低下、データ容量UP、消費電力の低下。IOWNの光回線を使った実証では、東京と大阪に離れたピアノのリモートデュオが出来ていた。演奏者は、普段より上手くできたという。東京と大阪を光回線で繋いだら約700kmあり、遅延時間を計ったら、ステージで言うと約3m離れた演奏者と演奏者の遅延時間と一緒だったという。IOWNを使ってスタートアップと協業が始まっている。兵庫県神戸市のメディカロイドは、国産として初めて量産化された手術支援ロボットhinotoriを製造。NTと協業しているのは、遠隔手術の取り組み。現在日本では、地方と都市部の医療格差が拡大しているという課題があり、遠隔で都市部の医師が手術を支援することが考えられている。今年2月には、回線距離で約30km離れた青森県内の病院を繋いだIOWNの実証実験が行われた。すると同一の手術室のような環境を実現。NTTのような大きな企業が持っているディープテックを活用したスタートアップが今後も増えてくるという。入山さんはこういうのをシリアスネットワークと呼んでいる。手術や自動車は0.何コンマが決定的なミスや事故を起こす可能性があり、既存のインターネットは十分にいけてないという。これをIOWNができると遅れがなくなるので、シリアスな部分で革命が起こるという。金融の投資も通信環境に有利不利があるという。
2023年にグーグルで研究していた技術者が日本で設立した「Sakana AI」。創業から1年で約300億円を資金調達した世界で大注目のAIスタートアップだが、実はNTTがどこよりも早く可能性を発見した話が。Sakana AIが日本に来て最初に訪れたのは川添の自宅だったという。共同創業者CTOライオン・ジョーンズは今の生成AIの土台「トランスフォーマー」技術を開発した。なんで日本で起業したいのか質問したところ、「日本語が素晴らしい。日本語を研究することが次のAIの研究だ!」と言われ、NTTが一番初めに出資したという。現在、NTTはSakana AIとも協業し、日本語処理に優れた生成AI「tsuzumi」を展開。実用化を通じて消費電力の削減など社会課題の解決を目指す。
支援の理由3:社内の意識改革。
静岡県磐田市で新しい取り組みが行われている。施設内に並んでいるのは巨大水槽。水槽で育てられていたのはシロアシエビ(バナメイエビ)。陸上養殖でシロアシエビを養殖。NTTは中期経営戦略の中で循環型社会の実現をグループとしてやっていくことを宣言している。その流れでフードインフラも守るという観点で養殖を進めている。陸上養殖を行うのに重要なのが海の環境を再現する技術。NTTは養殖事業を始める前から水温や塩分濃度をモニタリングできるセンサー技術を全国の養殖施設に提供していたため、その技術を活用して養殖事業の計画が始まった。しかし、NTTにはバイオテクノロジーの技術がなかった。そこで白羽の矢が立ったのが京都大学発のスタートアップ・リージョナルフィッシュ。魚の品種改良や人口稚魚などの養殖技術を研究している。リージョナルフィッシュが稚エビを育て、それをNTTが育てて販売するという陸上養殖での協業をスタートさせた。現在、エビ以外にもヒラメやサーモンの養殖も始めている。今後、様々な外食チェーンに卸す予定。
NTTは東南アジアのスタートアップを対象としたピッチコンテストも主催。入山は基調講演と審査員を務めている。「AWS(Amazon Web Services)」は世界で広く採用されているAmazonが提供するクラウドサービス。AWSがあまり知られていない頃からアメリカでスタートアップを集めてビジネスモデルの発表会をやっていた。それでクラウドはAmazonを使おうと世界中に広まった。川添は「IOWNのような新しいサービスを知ってもらって、いろんな場所で創出していきたい」と話した。
6月下旬、ディープテックのスタートアップ支援施設「SAKURA DEEPTECH SHIBUYA」がいよいよ本格始動。世界28カ国の応募のなかから選ばれたのは、日本から1社、海外から9社の合計10社。スタートアップのメンターを務めるのが、マサチューセッツ工科大学の2名。半年間のプログラムで成長に注目!
エンディングトーク。川添雄彦は、冗長なところもあるかもしれないがアナログで感じられるものもたくさんあるんじゃないかと思ったなどとコメントした。
エンディング映像が流れた。