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オープニング映像。
獣医師の齊藤さんは釧路を拠点にして30年余、多くの野生動物の命を救い、自然保護の活動にも力を入れてきた。この日は風力発電の羽にぶつかり負傷したオオワシを治療していた。釧路湿原国立公園の一部は国際的に重要な湿地と認められ、日本で初めてラムサール条約に登録された。園内の特別地域は法律で守られ手つかずの自然が残されているが、特別地域の外にはソーラーパネルが立ち並んでいた。国立公園の周辺では太陽光発電の施設の建設が相次いでおり、釧路市北斗のメガソーラー建設予定地は国立公園の飛び地から数百mの場所にあった。
メガソーラー建設予定地は約4.3haの民有地で、6600枚のパネルが設置される予定。齊藤さんは、多くの人に判断してもらおうと工事の様子をSNSに投稿した。事業者は大阪に本社を置く日本エコロジーで、全国で太陽光発電事業を展開している。釧路市でメガソーラーを建設する場合、工事を始めるには希少生物の生息調査が求められる。対象の一つであるキタサンショウウオは、繁殖期である4月中旬~5月中旬に水の中に卵があるかないかを見て生息の有無を確認する。日本エコロジーは繁殖期とは違う時期に調査し「キタサンショウウオは生息していない」と釧路市に報告していた。さらに森林法違反にあたる伐採をしていたことがわかり、工事は一時中断された。その後複数の法令違反が発覚し、土壌汚染対策法に関わる土壌調査が行われていなかったこともわかった。
太陽光発電の年間発電量は年を追うごとに右肩上がりとなっている。普及のきっかけは東日本大震災の福島第一原発事故だった。国は太陽光発電などへ舵を切り、震災の翌年に再生可能エネルギーで作った電気を電力会社が買い取る制度を作った。当初の買取価格は現在の約4倍となる1kWhあたり40円ほどで、事業者に高い利益が見込める仕組みだった。一方で現在に至るまで太陽光発電施設の設置を直接規制する国の法律はなく、釧路市は対応の限界を感じていた。
熊本・阿蘇では1000年以上続く野焼きや放牧など、歴史ある景観を誇ることから世界文化遺産の登録を目指している。山都町の山間にあるJRE山都高森太陽光発電所では、20万枚のソーラーパネルが立ち並んでいた。2022年から稼働し、2万世帯分超の電力を供給している。国立公園の外側ではあるが、景観を損ねるという声があがっている。牧野組合の組合員たちは、当時は次の世代に荒れ地を残すより良いと考えメガソーラー建設の話に飛び込んだという。建設を止めるには法的根拠を示さなければいけないため、山都町も対応の難しさを感じていた。
齊藤さんのSNS投稿をきっかけに去年10月、野口健が日本エコロジーが計画を断念したメガソーラー建設予定地を訊ねた。野口は、日本は厳しいルールができる前に突っ走ってきてしまったところがあると話した。かつて釧路湿原では市街地の造成や水害対策の工事など様々な開発が進められ、100年で3分の1が失われた。
ことし1月に問題となっている釧路市の建設予定地を訪れた北海道の鈴木知事は、法令遵守は大前提で違反した場合は勧告、従わない場合は中止命令を出していくと話した。この時、日本エコロジーが着工前に行うべきだった土壌調査が行われていた。今月、3地点からヒ素はホウ素など基準値を超える有害物質が検出したことが明らかになり、より詳しい調査が必要となった。国はメガソーラー規制を強化する法整備を進めている一方、2040年までに太陽光発電の比率を23~29%まで増やそうとしている。
次回予告。
