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- 山口良一 福山知沙
財政委員会の活動からは「東京グリーン・ブルーボンド」を、都市整備委員会からは「TOKYO BRT」と非常用電源整備の行われた「東京とどまるマンション」、そして築地地区のまちづくりについても伝える。
東京都議会には9の常任委員会があるが、きょうは財政委員会と都市整備委員会の活動を伝えていく。
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自民党・河野雄紀氏が財政委員会について紹介。ここは財政局・主税局・会計管理局・収用委員会の4つに分かれて財産の運用などの審議を進める役職となっている。都の予算編成、公有財産の管理、都税の徴収、会計制度の企画を担っている。
自民党・鈴木純氏は税や都民の財産となる都有財産が有効に活用されているかを確認していると言及し、都民のニーズを捉えているか・適切に反映されているかの確認は重要としている。少子高齢化が見込まれる中、将来を見据えた財産基盤の維持も求められる。時代に沿った税制を整える役割も持っている。
都の行政サービスは予算がつかなければ実行することができない。令和7年度東京都予算案は17兆8497億円であり、前年度比7.8%増加となった。一般会計の歳入は9兆1580億円で8.3%増となりと税収入は6兆9296億円と8.5%増。一般会計の歳出は9兆1580億円で8.3%増であり、政策のための経費である一般歳出は6兆8978億円で8.3%増となっている。財務局の北尾望氏は7年度予算について、不確実性が高まる中持続可能な都市の実現に向けてすべての人が輝く未来を切り開く予算と位置づけていると紹介し、ポイントはダイバーシティ・スマートシティ・セーフシティの3つのシティを進化させて世界で一番の都市を目指し、DXで業務の見直しを進め強靭で持続可能な財政基盤を堅持していくとしている。ダイバーシティを巡っては、子供1人1人に寄り添った支援を強化していくという。週休3日制やフレックスタイムの導入に向けた支援なども進める。令和7年度予算案は2月19日から開かれ3月28日に予定される定例会最終日に採決予定となっている。
都ファースト・成清梨沙子氏は財政委員会の課題について、東京都は現時点で財政の健全性を維持しながら物価高騰や少子化・自然災害・デジタル化などへの対策を展開してきたが、今後も少子高齢化の進展などに資金需要を抱えていることから賢い支出を徹底し、東京の未来に向けての投資を心がけていくと言及。
「税制」のあり方を議論するのが東京都税制調査会であり、都議会議員だけでなく大学教授なども参加して様々な意見を交換し都知事に報告する役割を持つ。主税局の齋藤敬氏は今年度の報告には脱炭素化に向けた自動車税製の見直しがあり、電気自動車や水素自動車の普及を前に、現在は約6割となるハイブリッド自動車を選択してもらえるように税負担を買えていくという。ふるさと納税を巡っては、被災地復興や地方に役立つとの見方もあるが、自治体によっては流出により行政サービスが維持できなくなると言う側面もあると言及。東京都ではふるさと納税による減収額が令和6年度は1899億円に上っているのが現状であり、本質の見直しがなされない中、全国では1兆1175億円がふるさと納税で受け入れられるなど年々納税額は多くなっているとしている。これを受けて制度廃止を含めた見直しを主張する方針としている。
財政委員会の課題について、財政委員員会理事の北口つよし(公明党)は「東京都の財政は令和5年度の決算で歳入が約8兆9000億円、歳出が約8兆3500億円。基金残高いわゆる貯金は令和5年度末で約2兆6000億円となった。また都が採用している複式簿記式の公会計制度の各種財務帳票を見ても、東京都の財政は健全であると考えらえる。その一方で、進行するこの少子高齢社会への対応や災害対策、医療・介護・福祉、気候変動対策、国際競争力の強化など、都は膨大な財政需要に対応していかなければならない。更にこの長期化する物価の高騰が、都民生活や東京の経済に深刻な影響を及ぼしている。堅実な財政運営に努めつつもこうした目の前の危機に対する施策を機動的に対応していかなければならない。こうした収支のバランスを議論しながら、都民を守るための施策を前へ進めるのが財政委員会の役割だと自覚をする」と話した。
東京都公債いわゆる都債は東京都が発行する債券であり地方債のひとつ。ゼロエミッションの実現などに向け今年度「東京グリーン・ブルーボンド」という都債が発行された。気候変動より更に緊急性が高い気候危機という言葉が叫ばれる今、持続可能な社会の実現は世界でもっとも重要な課題のひとつ。こうしたなか、東京都では環境施策を財源面から後押しするために「東京グリーンブルーボンド」(調達した資金の使途を発行前に公表)という取り組みを行っている。財務局主計部公債課長・橋口牧子に話を聞いた。東京都では調達した資金を環境事業に充てる東京グリーンボンドを2017年から発行。これに去年、海洋環境の保全などの事業を対象とするブルーボンドを加え、「東京グリーン・ブルーボンド」にバージョンアップした。個人でも環境施策に対する参加意識を持ってもらうため、一都三県に在勤・在学・在住の方を対象に毎年発行。ほぼ毎年販売初日に完売。集められた資金から、江東区の海の森公園を整備(3月28日グランドオープン)。そのほかの事業として、プラグインハイブリッド自動車などゼロエミッション・ビークルの導入、都有施設への太陽光発電設備の導入による再生可能エネルギーの活用、屋上などの緑化による省エネルギー化もそのひとつ。財政委員会ではさまざまな施策を財政面から推進するため議論を重ねていく。
財政委員会の課題について、財政委員会委員・中田たかし(立憲民主党)は「財政委員会で審査する財務局は予算の編成庁舎の建設契約、都債、そして主税局は税金の徴収。会計管理局はお金の支払いを所管している。財政委員会は東京都のあらゆる事業収入・支出、予算編成の面から総合的に審査しており、都庁の仕事を進める基本となる大切な機能を所管している。私たちは、現在の東京都民の皆さんに必要な事業をスムーズに行うことはもちろんだが、私たちの子どもの世代そして未来の都民の皆さんに負の遺産を残さないこと、人口が減っていく時代にどうやって健全な財政を維持していくか。たくさんの社会インフラの維持更新費用をまかなっていくかという点からも、しっかりと東京都民の皆さんの将来を見据えた議論をしていきたいと思っている」と話す。
DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略。東京都主税局が進めるDXへの対応のひとつがキャッシュレス納税。コンビニや銀行の窓口に行かなくても簡単に都税を納付することができる。主税局総務部企画調整担当課長の小池徹さんに話を聞く。キャッシュレス納税はスマホ決済アプリ、口座振替、クレジットカードなどによる方法がある。自動車税と固定資産税について納付方法を紹介。主税局では都税に関する子ども向けコンテンツの充実にも力を入れている。「タクちゃんとさがす税発見タックスタウン」を紹介。パソコン、スマホに言及。
財政委員会の課題について、財政委員会理事の清水とし子(日本共産党)が「財政委員会では都が発注する工事や委託事業の契約、入札などについての審議も行われる。『今暮らしが厳しい』『もっと手取りを増やしてほしい』という働く人たちの声と同時に、『賃上げしたくてもできない』という中小業者の声も寄せられている。そんななかで都にできることはある。例えば都が発注する工事や委託事業は年間約88000件。契約金額は約1兆7500億円に上る。そして競争入札に参加できる事業者の9割は中小業者。都が発注する仕事の予定価格を上げるだけでなく、下請け業者を含め現場で働くすべての人たちに適正な賃金が支払われるような仕組みを作れば、多くの人たちの手取りを引き上げることができる」と話した。
財政委員会委員長の河野ゆうき(自民党)が今後の課題について「今月から第1回定例会がスタートする。長引く物価高騰対策をはじめ少子高齢化への対応都市の強じん化やデジタル化の推進など重要課題が山積するなか、令和7年度予算は100年先を見据え、成長と成熟が両立した持続可能な都市へと発展し、すべての人が輝く明るい未来の東京を実現する予算と位置づけ審議が行われる。企業収益は堅調に推移しており、都税収入は増加傾向にあるが、今後の景気動向の不透明さを踏まえると、都の財政環境の先行きを見通すことは困難にある。こうしたなか、都民の皆様の安全・安心をしっかりと守りながら東京のポテンシャルを最大限に生かし、希望あふれる東京の未来を切り開いていくため大胆かつ着実な施策を積極的に展開していかなければならない。そのため本委員会では、強じんで持続可能な財政基盤を堅持できているかどうか、都民の皆様の期待に応えられる予算になっているかどうか、といったさまざまな観点から活発な議論を行ってくる」と話した。第1回財政委員会の様子を紹介。
令和7年第1回都議会定例会のスケジュールを紹介。2月19日開会など。本会議や委員会の模様は都議会ホームページでインターネット中継。委員会の模様は誰でも傍聴できる。傍聴券は議事堂2階の受付で開会予定時刻の1時間前から配布される。お問い合わせは03-5320-7111。03-5320-7141まで。
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都市整備委員会は、東京都の都市整備局とそれから住宅政策本部の2つの局を所管している委員会。都民の理解と共感を得るまちづくりや防災対策、交通ネットワークの推進、住宅政策として都民の住居環境の向上について議論するほか、住宅セーフティーネットである都営住宅についても所管して議論している。都市整備委員会の主な課題は、防災都市づくり、市街地整備事業、総合的な交通政策、住宅施策などとなっている。
都市整備委員会は、都市整備局と住宅政策本部を所管する委員会。都市整備局は都市防災の強化、民有地・都有地を活用したまちづくり、交通物流のネットワーク強化とともに、豊かな緑の保全と創出、美しい都市景観エネルギーの有効利用による低炭素都市の実現に向けて、各種事業を展開し、住宅政策本部は災害時の住宅確保、避難者・被災者支援、空き家対策、高齢者の住宅確保、都営住宅の整備と維持管理を進めている。本橋は、まちづくり、住まいづくりは都民サービスの基本であり、将来の東京の発展を支える基盤でもある。委員会での審議を通じて、都政を取り巻く環境変化に迅速に対応しつつ、将来を見据えた計画的取り組みを着実に進めていくよう全力で取り組んでいくなどとした。
去年1年間に日本を訪れた外国人は約3700万人(日本政府観光局)。コロナ禍前の2019年と比べると15%以上増え、過去最高となった。人の往来が一層盛んになるなか、東京都では臨海地域の足として新しい交通システムの運行を始めている。車体を2台つなげたような連結バスを採用した「TOKYO BRT」。BRTとは、「Bus Rapid Transit」の略で、バス高速輸送システムという意味。路面電車と比べて遜色ない輸送力を持つバスをベースにした交通システムだ。車内は段差がなく、車椅子やベビーカーなどもスムーズに乗降でき、ベビーカーは畳まなくても利用できる。虎ノ門や新橋といった都心と、晴海や有明などの臨海地域を結ぶ「TOKYO BRT」。運賃は220円で、現在交通系ICカードやクレジットカードのタッチ決済などが利用できる。開発が進む臨海地域で、増加する交通需要に対応するため、TOKYO BRTは整備されたという。車両には2種類あり、2台つながっている連節車両は従来のバスの1.5倍の輸送力を有する。1台で走行する単車車両は主に燃料電池バスを使用。水素を燃料とし、走行時にCO2や環境負荷物質を排出しない環境配慮型の車両となっている。都の担当者は、運行事業者と連携し、必要に応じて運行本数を増加するなど、輸送力を増強していきたいなどとした。
都市整備委員会は都市整備局、そして住宅政策本部2つの局を所管をし、東京都の予算がこの2局において適切に使われているかどうか、また各事業が正しく進められているかどうか、また関連するような都の条例が今の社会の情勢に適合してるかどうかといったことを委員会で議論し、質疑を重ねそして議決や承認を行っている。委員会の主な役割としては、東京都の各地のまちづくりの推進やまた再開発事業など都の都市計画を前へと進めている。街のバリアフリーの推進、建物の耐震化・不燃化などの防災施策も取り組んでいる。森口は、東京都は都営住宅含む公営住宅を持っており、困窮者に対する支援として住宅の整備、または管理といったことにも取り組んでいるなどと話した。
中央区・築地市場は、東京の台所として80年以上にわたり、都民の食卓を支えてきた東京都中央卸売市場の1つだった。その役割を終えたのは6年ほど前。約19ha、東京ドーム4個分にも及ぶ広大な跡地では今後、官民一体となったまちづくりが進められることになっている。築地地区まちづくり事業について、都市整備局都市づくり政策部築地まちづくり調整担当課長・渡辺正樹に話を聞く。築地地区のまちづくり事業は、水と緑に囲まれ、世界中から多様な人々を出迎えて、交流により新しい文化を創造・発信する拠点を形成することをコンセプトにしている。跡地に誕生する施設の中心には約5万人を収容できる全天候型超多機能型のスタジアムを建設。野球やサッカーなどの多彩なスポーツ大会や、コンサートや大規模な展示会などにも対応できる計画。加えて空飛ぶクルマ、また舟運ネットワークなど更には地下鉄新駅も見据え、広域交通結節点も整備される予定となっている。壮大なまちづくりは2030年代前半に大半の施設が出来上がり、それ以降まちびらきが行われる。すべての施設が完成するのは2030年代の後半を予定している。都の担当者は、築地のポテンシャルを生かしながら、まちづくりを進め、東京を象徴するような水辺の景観を形成するまちづくりを進めていく、文化の新しい発信拠点となることを期待しているなどと話した。
都市整備委員会の課題について、都市整備委員会理事・加藤雅之(公明党)は「当委員会にとって一つの大きなテーマは災害に強いまちづくり。特に木造住宅密集地域の改善に向けて、建物の不燃化・耐震化に補助制度を活用しながら取り組んでいる。また激甚化する集中豪雨など、風水害に対して地域の特性に応じた河川や調節池の整備や、東部低地帯では高規格堤防や高台まちづくりを進めている。更に東京には、約900万人がマンション等の共同住宅に住んでいる。震災時に避難所が混雑しないよう在宅避難をすすめるため、電源確保や簡易トイレの支援などマンション防災に力を入れている。都営住宅では居住者の高齢化が一層進み、共用部の維持管理に苦労している。都には抜本的な見直しを求めていく」と話した。
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2024年8月12日(10:05)