- 出演者
- 長谷川博己
オープニング映像。
都心から南に350キロ、太平洋に浮かぶ絶海の孤島・青ヶ島。珍しい二重カルデラ構造は、”死ぬまでに見たい絶景”に選ばれたこともある。島の北側部分だけに人が住み、157人の日本一小さな村がある。走る車は品川ナンバー、管轄は警視庁で”東京都”だという。佐々木村長が苦難の歴史を教えてくれた。1956年まで日本で唯一島民に選挙権が与えられなかった。交通や通信手段が確立されていないことなどが理由だった。そんな島の命運を左右するのが、4年に1度の「東京都議会議員選挙」。全体の投票率は5割に満たなかった中、青ヶ島は8割を超え全ての自治体で1位だった。
東京23区に隣接する三鷹市、約19万人が暮らすこの町はベッドタウンとして人気。今回の都議選では、現職2人に8年間議席がなかった自民党の新人が挑んだ。三鷹市は1割程が農地で367人が農業に携わっている。元アメフト日本代表の岡田啓太さんは大手ゼネコンに務めていたが、9年前に岡田農園の一人娘と結婚し婿入りして農業の道に入った。師匠は義父の源治さん、源治さんは300年続く農家の14代目で「JA東京むさし」の元支部長を務めていた。JAの組合員は1000万人以上、自民党最大の支持母体として政治に大きな影響力を与えてきた。しかし、JA改革を訴えていた小泉氏が農水大臣に就任し、JAを通さない形で備蓄米を放出した。一方JAは大量に購入していた備蓄米の流通が遅れ、批判が殺到し両者の関係は変わりつつある。
6月8日、自民党の選挙事務所ができていた。新人の亀岡さやか候補、祖父は元農水大臣だという。JA系の政治団体からの推薦状もあり、支援が約束された。そこへ、源治さんと啓太さんも駆けつけた。岡田親子が政治に関心を持つ理由は、東京都の予算として承認された「都市農業活性化支援事業」。560万円のビニールハウスは、360万円を助成金で賄った。無人販売所も助成金で作ることができた。岡田親子は農家を守ってくれる政治を求めていた。
6月13日、都議選告示日。亀岡候補が追う現職も動き出していた。都民ファーストの会・山田浩史候補と、立憲民主党の中村洋候補。ライバルたちが生活困窮に焦点を当てる中、亀岡候補は農業の大切さも訴えていた。
岡田農園が跡継ぎを得て新たに始めた一つが、キッチンカー。啓太さんが運営している。キッチンカーで三鷹の農産物をアピールし、地元で作った野菜の販売会も行っている。地域住民との関係を長年大事にしてきた源治さんは、15代目となる啓太さんに少しでも多く農地を残そうとしている。しかし、東京で広大な農地を次の世代に引き継ぐには相続税という大きなハードルがある。そのため三鷹の農地も年々減少している。そんな中、跡継ぎとして奮闘するJA青壮年部の面々。今や啓太さんはそんな若手農家の中心的存在。この日、馴染の店に集まったのは啓太さんの先輩農家たち。近況報告をし合う中、話しは都議選のことに。農家としての意見と、子どもの親としての意見があるという話しになり、3人の娘がいる啓太さんもまだ誰に入れるか迷っていた。
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- 三鷹(東京)東京むさし農業協同組合
選挙戦最終日に土曜日、歩行者天国となった駅前の通りに亀岡候補の姿があった。亀岡候補が向かったのは地域のJA。そして、投開票日当日。亀岡候補の選挙事務所を尋ねると、早々に当選したのは立憲民主党と都民ファーストの会の現職2人。自民党の8年ぶりの議席奪還とはならなかった。今回の選挙で啓太さんは、政治への関心を強めたという。
連合東京の会長・斉藤千秋さんは、選挙運動が始まった初日から慌ただしく動き回っていた。駆けつけたのは立憲民主党候補の応援。その後、すぐに車に飛び乗り次に向かったのは国民民主党候補の応援。連合は日本最大の労働組合の中央組織で、現在は立憲民主党と国民民主党の最大の支持母体。訴えているのは物価高や手取りアップなど、生活者目線の政策。今年の春闘では歴史的な賃上げを獲得したが、その影響力に陰りが出ている。組合員数はここ30年で100万人も減少し、数の力が失われつつある。そんな連合に追い打ちをかける事実として、前回の衆院選で若手の組合員は支援する立憲・国民と同じくらいの割合で自民党に投票していた。そんな中、若者を取り込むために作ったのが、政治への関心を引くための動画。
投開票の翌日、結果は都民ファーストの会が勝利。自民党が過去最大の惨敗をきした一方、連合が支持した立憲と国民が躍進した。
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参院選の前哨戦と言われた今回の東京都議会議員選挙。都議選では11の島だけの選挙区がある。島部と呼ばれ、有権者は約1万9000人。その内の一つ伊豆諸島最南端の島・青ヶ島。二重カルデラという稀有な地形、人口157人の日本一小さな村・青ヶ島村。有権者は126人。1950年代の映像では、桟橋がないため島を出る時には沖合に停泊する大型船まで小舟で移動していく。不便な交通手段などが理由で戦後しばらくは島民に選挙権がない時代があった。今では1日1往復のヘリコプター便や、桟橋や港の整備も進み日々定期船も就航している。島の物資は船便頼りで、島の生活に直結する選挙が4年に1度の都議選。絶海の孤島で港も小さく、船の就航率は5割程度ですぐに欠航。港を案内してくれたのは、青ヶ島村の村議長・菊池正さん。今も港の拡張工事が進められているが、村の税収は約4700万円で都や国の予算が不可欠だという。島にその予算を引っ張ってきたのは、この地域で40年間議席を維持してきた自民党の都議たちだった。島民にとっては、国政選挙より都議選の方が生活を左右する重要な選挙。ところが半年前、都議会自民党で発覚した「裏金問題」。中でも裏金の不記載額が1番多かったのが、島部選出の三宅正彦都議だった。
5月上旬、背広姿の菊池さんがやってきたのは東京都議会。重要な会議に出席するためだという。会議室で待っていたのは、三宅都議。後援会である「三宅会」の年に1度の会合。裏金問題があっても例年と変わらず、様々な島の議員たちが陳情に来ていた。投票まで一月半、青ヶ島に今回の都議選に国民民主党から出馬する伊藤奨候補が降り立った。伊藤候補は三宅島を拠点に企業し、観光協会の理事などを歴任した。立ち寄ったのは地元の焼酎工場、特産品の「青酎」を作っている。ここでも立候補予定だと自己紹介するが、一筋縄では行かないことを行く先々で思い知らされる。伊藤候補に助け舟を出したのは、佐々木加絵さん。登録者20万人を超える、人気のYouTuberで日々島の魅力を発信している。青ヶ島で生まれ1度は島を出たものの、実家の民宿を手伝うため6年前Uターンしてきた。観光客の呼び込みに一役買っているという。世界でも貴重な地形を持つ島のガイドも務め、青ヶ島を観光地として盛り上げていこうとしている。
この日は、島に移住して来た人たちを伊藤候補に率い合わせた。今回の選挙で過疎化が進む島に新しい風を吹き込むことができるのか、移住者たちが頼みの綱だった。6月13日都議選の告示日がやってきた。菊池さんが貼っていたのは、今回裏金問題で自民党非公認となった三宅候補のポスター。島にある掲示板は3カ所、どの候補者よりも早く貼っていく。その頃、島部選挙区で最大の票田・伊豆大島では、この島出身の現職三宅候補が長年の実績を語っていた。東京都からの事業や交付金が地元の経済を回している、青ヶ島だけでなくそれぞれの島が都議に期待するものは大きい。選挙戦がスタートしても交通の便が悪い青ヶ島に候補者が来ることはほとんどないが、伊藤候補は再びやってきた。早速、郵便局前のメインストリートで演説会を行う。演説を聞きに来た島民の中には、村議長の菊池さんの姿もあった。
太平洋に浮かぶ人口157人、日本一小さな青ヶ島村。国民民主党の伊藤候補は、都議選の期間中唯一島にやってきた。そこへ、長年自民党の候補を応援してきた村の議長・菊池さんの姿が、自分は”三宅派”だと言いつつも何をするのか聞くと言う。演説会が終わるやいなや、菊池さんはそそくさと立ち去ってしまった。天候悪化が予想されるため、急遽島を出ることになった伊藤候補。船が来るまで有権者と話しをしていると、青ヶ島の人気YouTuber佐々木加絵さんが生配信にやってきた。この動画は1週間で約1万8000回再生された。青ヶ島での滞在時間はわずか3時間、次の島へと向かう。
活火山の青ヶ島、島の至る所から”ヒンギャ”と呼ばれる地熱蒸気が上がっている。その蒸気を活かして作るのが特産品の「ひんぎゃの塩」。作っているのは、山田アリサさん。一緒に食卓を囲むのは、地元の中学校に通う生徒たちで島への留学生。山田さんと同居する子どもたちは村唯一の中学校に通っているが、その学校は3年前「在校生ゼロ」で廃校の危機になった。山田さんはこれまでに7人の留学生を島に呼び込み、廃校を回避してきた。このプログラムは、今年度から村の正式な事業となった。島と子どもたちの未来を守るため、誰に投票すべきか山田さんもいつになく迷っていた。
迎えた投開票日、三宅候補が当選。非公認としていた自民党はすぐに追加公認、青ヶ島では三宅候補が53票、伊藤 候補は36票だった。YouTuberの佐々木加絵さんは、島は素晴らしい自然や人がいっぱいいる、そういう人たちの背中を押してくれる人がいいと話した。島留学を推し進める山田アリサさんは、誰に入れたかは「教えない」としたが、未来を託して投票したと話した。
エンディング映像。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。「日経平均株価 4万円台回復」。
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