- 出演者
- 長谷川博己
オープニング映像。
都内の鮮魚店では美味しそうな海の幸が並ぶ。日本では昔から海産物は大事な食材だが価格は上昇するばかり。価格上昇の要因は色々ある。深刻な人手不足に地球温暖化の影響でとれる魚が減少。また世界的な魚ブームもあり、熾烈な争奪戦が起きている。日本の水産物生産量は、40年前のピークから、生産量は7割に減少。安定した生産量が見込める養殖を増やすことが課題。宮城県・女川町は養殖ギンザケは国内生産量のおよそ8割を生み出している。ギンザケ養殖漁業者の阿部壮大さんは、毎日朝と夕方には沖に出てエサを与えている。エサへの食いつきで魚の健康状態をチェック。ギンザケが海水温20℃を超えると食欲が落ちて死んでしまう。そのため養殖であっても安定供給が難しい。この窮地に水産業の復活を掲げる企業が京都大学に誕生した。切り札はこれまでの常識を打ち破る最先端技術にある。その先頭に立つのが梅川忠典さん。
京都大学でここ数年、梅川さんは企業を目指す母校の後輩たちに向けて講義を依頼されていた。品種改良について語っていたがこれを水産業で目指すのがリージョナルフィッシュ。梅川さんは2014年に設立した会社で、品種改良した稚魚の販売を軌道に乗せようとしている。現在従業員210人、国内10拠点がある。リージョナルフィッシュは地魚のことで地域の魚を守り新たな名産を生み出したいという願いから名付けられた。会社の強みは、最先端の解析技術を用いた品種改良。生後14か月ギンザケに1匹1匹タグを入れていき、個体番号が表示されように。尾びれを採取していたが、ここに新たな地魚を生み出すヒントがある。採取した尾びれは抽出装置にかけて、DNAを採取していた。抽出したDNAをこの装置にかけると、全ての遺伝子情報、ゲノムを解析できる。ゲノムとは生体の体や機能を司る全ての遺伝子情報のこと。そのゲノムを解析することで1匹1匹を見極め掛け合わせることができるが、格段に早く品種改良ができるようになった。
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- ギンザケリージョナルフィッシュ京都大学
京都市内の施設にあるリージョナルフィッシュのラボ。現在取り組んでいるのは高い海水温に強い高水温耐性ギンザケ。一刻も早く実用化が求められている。開発を任されているのは服部ヒカルド修平さん。ブラジルの大学で鮭鱒類を研究していた。梅川さんが期待を寄せる逸材。この日やってきたのは京都府内にある、鮭養殖の研究施設。ゲノム解析で選び抜いたギンザケが養殖されている。ここで育てられているギンザケは、通常よりも2度から3度ほど高い水温にも耐えることができ、それを親にして稚魚を生産する。リージョナルフィッシュの本社オフィス。この日梅川さんと服部さんは高い水温に耐えられるギンザケの今後の開発方針について話し合っていたが、初めての海での養殖を考えていた。宮城県・女川町でこの日、品種改良をしたギンザケを水揚げする。リージョナルフィッシュは、宮城漁協の協力を得て沖合300mに生け簀を作り実証実験を続けてきた。ここで800匹のギンザケを養殖している。水揚げするのは200匹で、冬の冷たい海での半年間の生育状況を確認する。このプロジェクトが軌道にのれば、宮城県が誇る地魚のギンザケが抱える問題を解決できる。
温暖化に対応できるギンザケを待ちわびる人々がいる。セブン-イレブン・ジャパンの商品開発部の担当者が視察にやってきたが、地球環境の変化は、コンビニの食材調達にも不安を与えていた。セブン-イレブン・ジャパンはリージョナルフィッシュに出資しているが、将来の魚の安定調達を見据えてのこと。さらに名だたる大企業も続々と出資し、NTTグループと合弁で巨大な陸上養殖施設を建設中。27年3月には稼働予定だという。東京・中央区の調味料大手のミツカンも出資企業の一つ。水あげから4日後に、女川町で養殖したギンザケが持ち込まれた。梅川さんが訪ねたのは経営幹部の吉永智征さん。用意したのは刺身と焼き鮭。その味は評判だったが、安定供給だけでなく、付加価値までつけることができる技術に期待を寄せている。
梅川さんは京都大学経営学を学んだあとに投資機関に務めた。多くの日本企業の経営に関わる中で、水産業に可能性を見出したという。困っている課題には海水温が上昇し、養殖の名産品が育てられないとギンザケなどを安定生産ができるようにもっていきたいと短いスパンの中で考えているという。そのために農産や畜産で起こったような品種改良を魚の世界にも広げていきたいという。
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欲望と進化という映像が流れた。
最先端技術で品種改良に挑む梅川さん。この日向かったのは、国内某所にある特別な研究施設。大小130ほどの水槽があった。ここで育てているのは全てゲノム編集されたカワハギ。交配を繰り返す従来の方法とは違い、ゲノム編集では遺伝子を変化させ品種改良をする。そのために閉鎖環境で陸上養殖に限られている。他にもゲノム編集された黄金ヒラメ、サバなどの養殖も行っている。ゲノム編集の最前線である京都市内の研究施設。リージョナルフィッシュの最高責任者の木下政人さん。食用の魚でゲノム編集を成功させたとして知られている。これまでメダカなどを使って35年にわたり遺伝子の働きを研究してきた。ゲノム編集ではまず受精したばかりの卵を採取し、それを顕微鏡にセットして針を刺してゲノム編集の液を注入していく。注入したのは遺伝子情報を含む特殊な酵素。DNAの狙った部分だけを切断し除去する。これにより変異がおこることで一部の機能を抑制する。これがゲノム編集。木下さんが食用の魚で最初に成功したのはマダイ。ゲノム編集したマダイは、筋肉の発達を抑制する遺伝子を除去し、体が膨らんでいる。筋肉の発達がとまらずに肉厚になり食べられる部分が1.2倍に。この技術によって新たな魚をつくれるように。肉厚のマダイは厚生労働省に届け出をしたうえで販売している。また成長速度が2倍のヒラメやトラフグも販売。
このゲノム編集は大豆などで使用される遺伝子組み替えとはどう違うのか?農薬に強い大豆を作る場合に農薬に強いバクテリアの遺伝子を外から入れる。ここが大きな違い。3月下旬、東京・霞が関。観光庁の集まるこのエリアに梅川さんがやってきた。農林水産省にやってきたが、食の分野に革新的な技術で注目される企業4社のトップが招かれ、農産局長を交えた意見交換会が行われた。梅川さんはゲノム編集技術を使った養殖の有効性を訴えた。
北海道・函館市は日本屈指の観光都市で、その人気を支えているのが豊富な北海の幸を生み出す漁業。近年は後継者不足や海洋環境の変化による漁獲量の減少などで地域経済は深刻な打撃に。そんな漁業関係者が出席するイベントに梅川さんの姿が。ゲノム編集という言葉に抵抗感を覚える人は少なくないと、壇上に呼びかけたが、それを払拭したいと考えている。イベント後には地元の漁業関係者が梅川さんを訪ねてきたが、ここでも新技術に対する懸念の声が。梅川さんはゲノム編集に不安をもつ人がいる中でこだわりに、ゲノム編集を用いた食品に表示義務はないが、リージョナルフィッシュではあえてわかるようにしている。
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- リージョナルフィッシュ函館市(北海道)
東京・神保町。この日待ち合わせしていたのはベースフードのCEOの橋本舜さん。橋本さんは一日に必要な栄養の3分1がとれるという完全栄養食を開発。新しい食のカタチを提案するフードテックベンチャー騎手の1人。ビジネスについて話し合った。
3月下旬の京都市。食用の魚の品種改良に成功したとして知られるリージョナルフィッシュの木下さんの姿が。一般の参加者を募り、ゲノム編集とはどういうものかを知ってもらうためのイベントを開催。ゲノム編集した魚への不安を払拭するためには一人でも多く理解者を増やすしか無い。この日、用意したのは食欲を抑制するDNAを除去することで、成長速度を2倍に早めたトラフグ。同じく成長速度を早めたヒラメが用意された。肝心のゲノム編集には様々に意見があり、地道な活動を続けるしかない。そんな中、リージョナルフィッシュに追い風が。総理官邸に招かれた梅川さんだったが、食に関する分野で画期的な技術をもつ会社があつめられた。水産大国日本の復活は国の悲願。期待を寄せている。一時間ほどの面会で、梅川さんは自分の思いを伝えられて良かったと答えた。
福井県・若狭湾。海水温の上昇は鯖街道で名を馳せたこの地域にも影響を与えている。今は使用されている多くがノルウェー産だという。5月21日に福井県・高浜町でイベントが開催され、梅川さんの姿があった。高い水温に耐えられるマサバはリージョナルフィッシュが改良して地元で養殖されたもの。エサや育て方を変えたマサバを食べ比べ、味やニオイ、食感などを評価してもらう。今回はゲノム解析を参考に選びぬいたものをかけ合わせることで開発した。マサバの品種改良は関西電力・県と共同研究している。
「ガイアの夜明け」の次回予告をした。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。円下落161円台 為替介入は?
