2025年6月9日放送 5:45 - 7:05 テレビ東京

モーサテ
【グローバル市場化する日本国債市場】

出演者
矢内雄一郎 佐々木明子 平出真有 藤井由依 滝田洋一 井出真吾 谷栄一郎 
(ニュース)
気象情報

全国の天気予報を伝えた。

モーサテサーベイ
モーサテサーベイ 6月6日~8日

モーサテに出演する専門家が経済の先行きを独自の分析で予想する。調査は6月6日から8日にかけてインターネット経由で実施し、35人から回答を得た。日経平均株価の6月13日(金)の終値の予想は、中央値38000円で先週末の終値から260円ほど高い水準。朝日ライフ アセットマネジメントの武重佳宏氏は「G7サミットでの関税交渉を控え、上値の重い展開になる」としている。岩井コスモ証券の林卓郎氏は「アメリカ景気や関税政策への警戒緩和を支えに、日本株の出遅れ見直しへ」と分析。ドル円相場の今週末の終値の予想は、中央値144.75円。三菱UFJモルガン・スタンレー証券・植野大作氏は「米中首脳の電話会談で動き始めた通商協議の進展期待が、ドルの下値をサポートする」としている。今回のサーベイで「日経平均株価が年内に4万円台を回復するか」を聞いたところ「回復する」と答えたのは24人、「回復しない」は9人。三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩氏は「アメリカと相手国との関税交渉が一定程度進展し、かつアメリカで10~12月期に2回の利下げが実施され減税の景気浮揚効果への期待も高まる流れになれば、回復の余地は広がる」としている。東海東京証券の佐野一彦氏は「回復しない」として、「アメリカのリセッション入りや円高を想定しているため」と回答。

プロの眼
日本国債市場のグローバル化

大和証券の谷栄一郎氏は「日本国債市場は日本の投資家だけで決まるという村的感覚が強かった。この認識を切り替えないといけない。」と説明。5月末に「日本の30年国債(超長期の金利)が一時3.2%近くまで上昇し史上最高になった」との報道があった。谷氏は「日本の金利上昇が世界の金利上昇に広がっていくような状況にまで陥った。グローバル市場で一般に使われる複利でみると40年金利は3.3%まで、30年金利は3%までしか上がっておらず、4%近くは行き過ぎだと思う。」などと話した。日本の超長期が急騰した理由について谷氏は「端的に言って需給が弱かった。」と分析。足元を見ていくと金利は低下気味で落ち着いたと見て良い。谷氏は「反転のきっかけは、日本の財務省が発行計画を修正する見込みの報道が出たこと。」と説明した。金利が急上昇する前の2%前後の水準に低下する可能性は低い。谷氏は「生命保険会社の買いが減る一方で、外国人投資家が2兆を超える買いになっている。」と説明。先週木曜日の30年国債の入札も注目されたが、結果を見ると欧州系の証券会社が落札1位になった。谷氏は「外国人の目線で見て安いかどうかを並べてみないといけない。」と意見を述べた。主要先進国(アメリカ、スイス、ドイツ、イギリス、日本、フランス)の30年国債利回りを比較。環境が変わる中で、日本の財政の悪化懸念はまだある。アメリカもムーディーズの格下げで金利が急騰した。谷氏は「海外投資家がどう見てどう動いてくるのかをすごく気にしないといけないように変わった。」などと語った。

グローバルアウトルック
レアアース輸出規制 狙いは?/実質GDP成長率予想 上振れ/2024年度税収 前年度比5.7%増

中国のレアアース輸出規制は、6月5日の米中首脳の電話会談のテーマにもなった。中国商務省は一部申請を許可して規制を緩めつつある。滝田編集委員は今回の狙いは対米圧力とアメリカと世界の分断だと指摘。海外メディアによると中国はEU向けの輸出規制緩和に動いている。一方、アメリカに対しては9日にロンドンで予定されている米中の閣僚級会議を経て決断するとして、明らかに濃淡をつけている。中国は世界のレアアース生産量の7割を占めている。レアアースはEV生産などには欠かせないので、中国が蛇口を閉めるとフォードが工場の一時操業停止に追い込まれたり、ヨーロッパでもEVの関連部品の生産が止まったりしている。1992年、当時中国の最高指導者だったトウ小平が南巡講話の中で「中東に石油あり、中国にレアアースあり」と述べている。1973年の第4次中東戦争のとき、アラブ産油国は石油輸出の禁止措置を行った。当時の田中内閣は外交をアラブ寄りに展開。習近平が同じようにアメリカ側か中国側か踏み絵を迫る手段としてレアアースを使っているのではないか。2010~11年、領土問題で日中関係が悪化した際、中国は日本に対し、レアアースの輸出を制限した。日本ではリサイクルや代替技術の開発、調達先の多様化を進め、結果、中国レアアースの価格が下がり、需要も低迷した。2015年には日米欧がWTOに提訴、中国はレアアース輸出制限の協定違反で敗訴。今回問題になるのは、替えのきかないレアアースもあること、トランプ関税に不満を抱く新興国が中国になびくリスク。6月15~17日にカナダで開かれるG7サミットで西側諸国が結束を固められるかが試金石。井出真吾は日本が自力でなんとかするところを期待したいなどと述べた。

これまでトランプ関税などで混乱しているにも関わらず、アメリカの25年4-6月期の実質GDP成長率予想は強い数字が出ていた。滝田編集委員はトランプ関税を控えてアメリカに駆け込み輸入が起こったと分析。その反動で輸入がぐんと減っているので、GDPを押し上げた。アメリカに輸出している国にとっては輸出が減ることになるので、世界経済の下押し要因にもなりかねない。キーワードは「アメリカ上向きゃ、世界は下向く?」」。3月と4月、中国からアメリカへの輸入は13%減だが、ヨーロッパからの輸入は40%も減っている。アメリカは5月のISM非製造業景気指数が好不況の分かれ目である50を下回り、実質GDP成長率予想も+3.8%に下がっている。ADPが発表した民間雇用が+3.7万人まで減ったが、労働省の雇用統計では+13.9万人と土俵際の踏ん張りを見せている。谷栄一郎はアメリカ経済が本当にそんなに悪くなるのかと考えている。アメリカの物価はあまり上がらず、あまり景気は落ちないのではないかとみている。

2024年度税収は今年4月までの合計で3.3兆円増。昨年3.3兆円分の定額減税を行っているが、結果的に倍返しになった。うち消費税が+2.0兆円で、これはインフレによる名目経済の拡大が原因。滝田編集委員は「庶民にとっては課税と言っていい」と分析。インフレ課税分を国民に還元する必要が出てくる。

マーケット・シグナル
株主提案で企業価値は変わる?

かつては月末に集中していた株主総会だが、6月に開催予定の主な株主総会カレンダーを見ると分散が進んでいる。今週は豊田自動織機やトヨタ、キーエンスなどの総会が予定されている。テーマは「株価停滞で攻防激化、株主提案で企業価値変わる?」。三菱UFJ信託銀行がここ数年の6月総会のデータをまとめたグラフによると、提案した社数、議案数ともに5月29日時点の集計データで過去最高を更新。このうち機関投資家の議案数は129となっていて、過去最高に迫る。社数と議案数はさらに増加すると予想されている。株主提案が増加している背景に、株式分割で株主提案をするのに必要なコストが低下していることがある。日本で株主提案を行使するには、総議決権の1%または300個以上の議決権を6カ月以上継続して保有することが求められ、これは法人も個人も同じ。東京証券取引所が株主投資に必要な金額を引き下げるよう要請していて、これに対応するため株式分割をする企業が相次いでいる。野村HDでは社名を「野村証券グループ本社」に、三菱UFJFGでは「三菱UFJフィナンシャルグループ」にするよう定款変更を要求する株主提案がなされた。いずれも不祥事が起きたことを理由とした株主提案だが、今企業は様々な視点から改革を迫られる状況になっている。

もう一つ、今年の株主提案数は増えた背景にありそうな要因が軟調な株式市場。2024年の日経平均株価は年前半、史上最高値の更新などで盛り上がっていたが、年後半にかけては勢いがなくなり、ボックス相場となった。その傾向が今年も続いている。運用成績が振るわないファンドにとってはアピールが必要。三菱UFJ信託銀行の下田紘郎上級調査役は「資金の引き上げリスクを避けるために投資先の株価が上がるような株主提案を増やしている側面もある」とみている。日本は主要国に比べると株主提案がしやすい。欧米は金額の基準が定められている。アメリカは配当額の決定などは提案できず、決議には法的拘束力がない。日本は提案内容に制限がなく、決議には拘束力がある。株主提案の権利を厳格化しようと会社法の改正を議論する動きも出ている。大和総研政策調査部は「日本は株主提案がしやすくアクティビストにとって最も魅力的な株主提案制度を持つ国」と指摘。2024年は株主還元に関する議案が、6月総会における機関投資家の提案議案のテーマの半分近くを占めていた。2025年はガバナンス関連の議案が急増し、役員選解任をテーマとした議案も増えている。中長期目線での経営力向上を意識した提案の割合が高まっている。具体的な株主提案と見ると、豊田自動織機はトヨタグループによるTOB価格が安すぎるとの指摘が出ているので、TOBに関する株主の質問も注目されそう。太陽HDは佐藤英志社長含めた取締役2人の解任案が出ている。佐藤社長について会社側は再任案を出していて、筆頭株主のDICや創業家などは反対の意向。総議決権のおよそ4割が反対に投じる可能性があり、緊張感のある総会になりそう。

6月に開催された総会で株主提案を受けた企業のうち株価上昇率が日経平均を上回った企業の割合を示した。2021年は59.5%、2022年は63.8%、2023年は51.8%、2024年は51.7%。株主提案が必ずしも中長期の企業価値向上につながっていないことが伺える結果になった。2021年総会で株主提案を受けた東洋製缶GHD、日経電計、日鉄ソリューションズの株価はこの5年で2.5倍近くに上昇。株主提案はいずれも否決されたが、3社は定期的に自社株買いを発表。企業の聞く姿勢も重要だが株主の側にも企業の中長期の成長を意識した対話姿勢が求められる。

(ニュース)
気象情報

きのうは沖縄で梅雨明け、九州北部と四国で梅雨入りの発表があった。関東は、きょうにも梅雨入りの発表があるかもしれない。

赤沢氏 関税見直し変わらず要請

アメリカの関税措置を巡る5回目の閣僚協議を終えてきのう帰国した赤沢経済再生担当大臣は、石破総理に協議内容について報告し、一連の関税措置の見直しを強く求める姿勢に変わりはないと強調した。赤沢大臣は、アメリカ側との協議で、「貿易の拡大」と「非関税措置」、「経済安全保障上の協力」の議論を継続していると説明した。今月中旬のG7サミットに合わせた首脳間での合意を視野に交渉を続ける考えを示した。

レアアース輸出を一部認可

中国商務省は7日、規制しているレアアースの輸出について、一部の申請を認可したと発表した。今後レアアースの輸出が緩和される見通し。5日に行われた習近平国家主席とアメリカのトランプ大統領の電話会談などを受けて輸出管理を緩め始めた可能性もある。

不法移民巡り衝突 LAに州兵派遣

アメリカ西部ロサンゼルスで、不法移民の一斉検挙に対する抗議デモがあり、ホワイトハウスは7日、トランプ大統領が州兵2000人を派遣する覚書に署名したと発表した。派遣は、抗議活動の参加者による暴力行為などに対処するためとしていて、およそ300人がすでに到着した。ヘグセス国防長官は「暴力行為が続く場合は、海兵隊も動員する」と述べた。一方、カリフォルニア州・ニューサム知事は、州兵の動員について、「事態を意図的にあおりエスカレートさせる」などと批判している。

井出真吾さんの著書プレゼント

井出真吾さんの著書「井出真吾の投資相談質 63のQ&Aでわかる安心運用」を抽選で5人にプレゼント。

きょうのポイント

谷栄一郎さんは、「最適関税という言葉をベッセントさんがときどき使うが、大国が関税をかけると輸出側が値下げする、だからアメリカに不利にならなくて、アメリカの景気が悪化しない可能性がある」などと述べた。

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