- 出演者
- 山下毅 上原光紀
先月28日~今月4日までの1週間の米の平均価格は5kgあたり4214円。前週より19円下落し18週ぶりの値下がりとなったが、去年同時期と比べて約2倍と以前高値となっている。こうした中で政府は米の流通円滑化のため備蓄米放出を行っている。先月までに行われた3回の入札で計31万トンが落札された。ただその多くはまだ消費者に届いていない。政府が放出した備蓄米は集荷業者・卸売業者・小売業者を経て消費者に届くが、1・2回目の入札で落札された約21万トンのうち小売業者に届いたのは先月13日の時点で計4179トンで、落札された備蓄米全体の1.9%にとどまっている。
自民・宮下氏は米価の現状について「備蓄米放出で米が店頭に並び、また価格が落ち着くことを期待している」などと話した。立憲・野間氏は「米が潤沢にあるのか疑問。流通の目詰まりも起きている。それに対して食料品の消費税を0にして家計の打撃を緩和させたい」などと話した。維新・池畑氏は「米不足は去年の7~8月からみられていた。政府の備蓄米放出は遅い」などと話した。宮下氏は備蓄米放出のタイミングについて「去年の段階で米は十分あった。加えて備蓄米は緊急時のもので米価高騰時に放出することは通常ない。ただ消費者に米が届いていない現状を踏まえ放出に至ったと理解している」などと話した。
公明・角田氏は米価の現状について「対策の遅れが米価高騰の一因だと思っている。今後は備蓄米の流通円滑化を考えていくべき」などと話した。国民・舟山氏は「米はどこも高い。そもそも供給量が足りないことを政府は認めるべき」などと話した。共産・紙氏は「政府は備蓄米が早く店頭に届くまで責任を持つべき」などと話した。れいわ・八幡氏は「去年の段階で米がないことは明確だった。今日は政府与党の失政を反省する会」などと話した。宮下氏は米の供給量不足について「再調査で米は消費を上回る量があると分かった。通常とは違う米の流通の流れになっていることが米価高騰の根本原因」などと話した。
コメの価格高騰が続く中で政府は備蓄米の買い戻し期間を原則1年位内から原則5年位内に延長し、7月までに毎月10万トン放出して優先売り渡し枠を設けるなどの改善策を示した。自民党の宮下議員は「ルール緩和によってこれまで入札参加をためらっていた業者が参加することになり、優先枠を設けることで流通改善に大きく期待が持てる」など話し、維新の池畑議員は「備蓄米の放出は緊急対策として行っているはずなので、ECサイトを活用するなどして直接集荷業者から消費者に届ける仕組みづくりを行うべき」など話した。国民民主党の舟山議員は「政府の調査では流通業者が価格を上げすぎているとの指摘もあるので、こうした部分も対応してもらいたい」など話し、立憲民主党の野間議員は「現在は流通の間に様々な業者が入っているので、この流通過程についても見直しを考えなければいけない」など話した。公明党の角田議員は「消費者の手元に早く届くことを目標に出荷の前倒しなどを求めてきていて、価格については流通段階のコストを調査した上で必要な対策を講じたい」など話し、れいわの八幡議員は「流通段階の問題ではなくそもそも生産段階でのコメ不足が原因で、現在の政府の改善策は選挙対策だとしか思えない」など話した。共産党の紙議員は「コメの高止まりは供給量の不足が根本原因で、今回の改善策で卸を通さないというのは小売店の精米やパッケージ化のコストが増えて結局あまり値段は変わらないのではないか」など話した。
コメの価格に大きく影響するのがコメの受給バランス。おととしから生産量が需要量を下回っており、輸入米を拡大する動きも出ているが高い関税がかかる。こうした中、イオンが先週カリフォルニア産のコメを来月6月から販売すると発表した。また政府からもアメリカからの輸入を拡大する案が出ている。一方、各地のJAでは農家に前払いする概算金を去年比で3~4割ほど引き上がる動きが広がっている。コメを確保しやすくことが狙いだが、価格がされに高騰する可能性も指摘されている。
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コメの輸入拡大についてのトーク。池畑氏は日本維新の会としてはコメの輸入は進めるべきではないという考えだとした。紙智子氏は日本はコメを輸入するような状況ではないと思っているとした。輸入米が毎年77万トン入っており、新潟県の生産が59万トンのため、それ以上に入ってきていると指摘。輸入自由化が農業を疲弊させてきたし、離農する人を増やしてきたなどと指摘。角田氏は100%自給できる生産基盤を守っていくことが大事とし、備蓄米の放出により不測の事態に大丈夫なのかという意見もあり、一時的に輸入を増やしてもいいのではないかなどとし、丁寧な議論が必要などと話した。石破総理からはコメの輸入を増やすことも選択肢の1つだという話しもあったが、自民党としてはコメは199%自給を維持すべきとの考えだとした。
コメ価格の高騰はなぜ起きたのか、その背景にあるコメ政策の課題を議論。コメの需要量は食生活の多様化などを背景に右肩下がりの状態が続いている。こうした中、政府はコメの値崩れを防ぐために生産調整を行い、生産量を抑制してきた。この政策は生産者の意欲を削ぐなどの批判もあり、2018年に終了。コメの消費が減り続ける中、国はその後も転作を促すなどの政策をおこなってきた。こうした中、先月政府は食料の安定供給や輸出拡大を図るため、コメの生産量を増やす方針を打ち出した。新たな農業基本計画の中で2023年に791万トンだった生産量を2030年に818万トンにするとしている。また、コメの輸出量も5年後に7倍以上にする目標を掲げている。国内の需給が逼迫した際には、輸出用を国内向けに充て、需給を安定させる狙いもある。角田氏は国が需要の予測を立ててそれに基づき産地が計画を立てて生産しているがその仕組みがうまく機能しなくなっているのが価格高騰の要因だと指摘。野間氏は農業の所得が低いことを指摘し、生産の部分で農家がある程度の所得を得た上で生産をすることが必要と指摘。
池畑氏は不測の事態でも国民が飢えることがないように農家を守っていく生産力を上げていく必要があるとした。宮下氏は需要に応じた生産ということが必要だとした。紙氏はゆとりある生産を促していくべきだとし、ゆとりある備蓄米にすべきとした。農家をどう支えていくかについて、池畑氏はJAだけに頼らず販路の多様化が必要だと指摘。公明党角田氏は農家を守るという視点だけでなく、農家を育てるという視点も不可欠だとした。
コメの安定供給には何が必要か。農家への価格保証、所得補償、担い手育成などへの積極財政が必要であり、とにかく大幅な予算の増額だというのがおおよその意見となった。