2023年11月19日放送 10:05 - 10:50 NHK総合

明日をまもるナビ
(102)大規模火災 日本でも注意を

出演者
塚原愛 
(オープニング)
オープニング

今年8月ハワイのマウイ島で大規模な火災が発生。死者と行方不明者は約100人以上で少なくとも2200棟の建物が損壊した。こうした大規模な火災は日本にもあり、2016年12月に新潟県・糸魚川市の中心部で火災が発生し鎮圧までのかかった時間は10時間。約150棟の建物が焼けたが、火災を広げたのは飛び火だった。大きな被害を齎す大規模な火災は空気が乾燥するこれからの時期は注意が必要で大規模火災のメカニズムに迫り備えを考えるという。オープニング映像が流れた。

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ハワイ(アメリカ)マウイ島糸魚川市(新潟)
(明日をまもるナビ)
日本でも警戒!大規模火災

日本でも大規模火災に警戒し注意すべきポイントをスタジオトーク。火災は自宅でも起きる身近な災害でストーブやコンロの消し忘れやタバコの火の不始末で畳や布団を焦がした方もいた。日本では1年間に火災が3万5222件もあり1日平均で100件もあった。全火災の月別の出火別件数票を見ると冬から春にかけて高くなっている事が分かる。冬から春にかけての方が火災の件数が増えるか専門家に聞いてみると「1つは乾燥していて水分がないから火がつきやすい」「2つ目は冬のシーズンのため暖房器具を使う機会が増える」のが理由の2つだと話している。専門家は「通常は1から2軒で留まるケースが多いが家の中で初期消火に失敗したら本格的に火災になり消防に通報をするが、消防への通報が遅れて消防隊員の到着が遅れると隣の家に延焼し悪条件が重なると大規模火災になる」と話している。

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大規模火災の要因 強風による飛び火

大規模火災につながる要因について紹介。強風と飛び火により大規模な火災となった事例は今年の8月に起きたハワイのマウイ島の火災で棟内の複数で起きた火災が一気に拡大し観光地のラハイナは約880万平方メートルが消失。これまでに97人の死亡が確認され要因とされているのは強風による飛び火だった。この日ハワイ諸島の南をハリケーンが通過していた影響で風速約25mの強風が吹き風に飛ばされた火種が飛び火となり直ぐに燃え広がっていた。日本でも同じような強風による飛び火が原因で被害が拡大した例があり、その1つは新潟県の糸魚川市で起きた大規模な火災だった。2016年12月22日の昼前に街中の飲食店から出火し、消防は地元周辺で火を食い止め消火活動を行っていたが直ぐに燃え広がっていた。1000人が消火に当たったが火は燃え続き10時間後に鎮圧。約4万平方メートルが消失し、約150棟が被害を受けていた。燃え広がった原因は強風による飛び火で当日は日本海にある低気圧の影響で暖かく乾いた風が街へ吹き下ろしていた。最大瞬間風速は24.2mでこの風が飛び火を誘発し、火元から離れた場所に次々と火災を発生させた。都市の放火が専門の水上点睛主任研究員は飛び火による火災にあった家屋の多くで屋根が焼失していた事に注目し、理由を探るため消失したエリアに多かった昭和初期に建てられた家の瓦屋根を用いて再現実験を行った。当日とほぼ同じ分速で火の粉を飛ばすと瓦同士の隙間から火の粉が侵入し、10分後には瓦の下の木の部分に火がついていた。飛び火による火災を防ぐには瓦に限らず屋根の防火対策と定期的なメンテナンスが必要とされている。強風が火の粉を飛ばして飛び火となって大規模火災になる例は糸魚川火災にも度々起きていた。例としては100年前の関東大震災で飛び火で次々と延焼火災の火元になる火災が増えて9万2000人が火災による被害を受けていると話している。

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大規模火災の要因 強風による飛び火/大規模火災を防ぐ 飛び火 警戒

強風による飛び火での大規模火災は糸魚川市大規模火災以外にも度々おきている。関東大震災も飛び火で延焼火災の火元になる火災が増え、9万2000人が火災による被害。糸魚川市の被災地域は、木造建築が約9割だった。1951年以降の都市大火発生件数。大火とは、建物の焼損面積が1万坪以上の火災。1976年以降の酒田市大火以降、2016年の糸魚川火災までずっとゼロ。1965~75年に消防力の整備を進めたため。糸魚川市大規模火災発生時にも、蓮華おろしと呼ばれる乾燥した強風が風速14メートルぐらいで吹いていた。10時35分時点では火元だけだった。1時間後には密集街区だったため初期消火ができず20棟くらい延焼したが、消防隊は包囲して放水していた。ところが、ほぼ同時刻、飛び火がおきて新たな出火点が出来てしまい、すぐにポンプ車を向けることは難しかった。酒田市大火以前は年数回大火が起きていたため、飛び火で広がることは常識だった。「飛び火 警戒」が大事で昔はやっていた。40年間やっていなかったため、消防隊ですら「飛び火 警戒」が頭から消えていた。糸魚川で飛び火着火した多くの家は、戦前の古い瓦だった。古い瓦の家は現代仕様の瓦に不燃シートをはるなどの対策が有効。

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乾燥が拡大要因 大規模な山火事

大規模火災につながる要因2つ目は、乾燥による出火リスクの増加。世界各地で発生する山火事。近年起こった大規模なものでは、2019~2020年にオーストラリアで発生したもの。空気の乾燥などによりオーストラリア各地で同時多発的に発生した。消火活動が追いつかず、日本の面積の半分近くに匹敵する森林や農地が焼きつくされた。約30人が犠牲になった。コアラやカンガルーなど、10億以上の動物が犠牲になったとされている。日本では、空気が乾燥する冬から春にかけて山火事が増える傾向にある。湿度の違いでどれほど燃え方が変わるのか。湿度30%春の空気の乾燥した気候と、湿度80%夏の空気の湿った気候を再現し、枯れ草の上に火種を置くと、湿った空気では10分以上経っても火が起きなかったが、乾燥した空気は3分で燃え上がった。2021年2月には、乾燥注意報が出ていた中、栃木県足利市で山火事が発生。懸命の消火活動にもかかわらず、167ヘクタールが焼失した。発生から23日目に鎮火した。

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大規模火災の要因 乾燥による出火リスク

気候変動で山火事のニュースも多くなっているが、山火事の出火件数は国内外とも増えてはいない。過去30年間のアメリカの山火事の発生件数は減少傾向にある。一方、1件あたりの平均焼失面積は増えている。大規模の山火事が7~8件起きただけで平均値を押し上げている。気候変動が植生の乾燥化にも影響して、大規模な山火事は増える方向にある。日本の山火事は、たき火・火入れが多く、全体の6割あまりが人為的なものによる。火の始末がまずくて山火事になるケースがある。徹底的に水をかけて火の始末をする、指定地域以外では火をおこさないという心がけをする。

1分 防災の知恵

災害時に突然乳幼児と避難所で過ごすことになったとしても、平時に自治体に確認しておきたいことがあるという。ポイントは「妊産婦・乳幼児向けの避難所」「専用避難スペース」があるか、粉ミルクなどの備蓄品、妊娠や出産を相談できる人がいるか。避難所生活で重要なのは助け合うことだという。

大規模火災の要因 地震による同時多発火災/地震時に注意 電気火災

大規模火災につながる要因として、強風・乾燥があるが、地震による同時多発火災もある。なので地震の際に気を付けなければならないのが、電気からの出火。

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地震時に注意 電気火災

地震の時、大規模火災の原因となる可能性がある電気火災。タコ足配線や電子レンジの中の汚れに火がついたり、不具合のあるモバイルバッテリーを使っていると破裂し火災になるという。こうした電気火災が問題になると言われているのが首都直下地震。最近起きた地震の出火原因の半数以上が電気に関係する火災だという。気を付けたいのが、電気復旧時に発生する通電火災。家具の転倒などで傷ついたコードに電気が通ると、火花で火事になることがあるという。また通電火災は地震から数日後に発生することもある。通電火災を防ぐには、自分でブレーカーを落としたり、コンセントからプラグを引き抜くこと。外出中の通電火災を防ぐには、感震ブレーカーにすること。首都直下地震では、内閣府は感震ブレーカーなどで電気による出火を防げば犠牲者や家屋の被害件数を半数近く抑えることができると試算している。

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地震後に発生する通電火災の原因は、色々考えられるが意外なのが熱帯魚の水槽からの出火。転倒してガラスが割れ、ヒーターが空焚き状態になって散乱物に着火するという。電気火災対策には感震ブレーカーが有効。感震ブレーカーを配布したり、設置助成する自治体もあるという。感震ブレーカーの有無に関わらず、懐中電灯を身近なところに置き停電に備えることを初めてほしいという。

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住民が初期消火 木密地域の備え

東京都では冬の夕方などの条件で首都直下地震が発生した場合に東京だけで11万棟以上の建物が焼失するとの予測がされている。東京・北区の上十条5丁目は木造住宅密集地域として知られていて、道も狭いことから都が発表している首都直下地震発生時の火災危険度マップでは最高ランクの危険性に位置づけられている。この地域では地域ぐるみで街を守る活動を行っていて、町内のあらゆる場所に計160本の消化器が設置したり住宅の敷地内にスタンドパイプを計7台設置するなど火災への備えを行っている。この他地下に20トンの防火水槽とガソリン駆動のポンプを設置し、断水・停電時でも消火活動を行えるようにしている。

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住民が初期消火 木密地域の備え/初期消火に役立つスタンドパイプ体験

スタンドパイプを使用する際には蓋をあけてスピンドルドライバーを差し込み、スタンドパイプを消火栓に結合する。ホースをスタンドパイプに結合し、ホースの先端に筒先をつける。スピンドルドライバーを反時計回りに回すことで放水が開始される。一般人が消火活動をする際には無理に火に近づかず、必ず長袖で消火活動を行うようにするのが良い。

(エンディング)
日本でも警戒!大規模火災

スタジオからは今日の内容を振り返って「家に帰ってもう一度今日学んだことを整理したい」、「出来ることは普段からして備えていきたい」などの感想が出た。

防災に関する「疑問・質問」大募集

番組では防災アクションを起こした人の動画を募集している。寄せられた動画は番組ホームページなどで紹介する。

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兵庫・明石市 TEAM-3A

兵庫県・明石市の高校生・大学生で作る防災グループ「TEAM-3A」の高齢者施設での替え歌を使った防災活動を紹介した。

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TEAM-3A明石市(兵庫)
「チャレンジ報告動画」募集中

番組では防災アクションのチャレンジ報告動画を募集している。詳細は番組ホームページから。

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