- 出演者
- 寺門亜衣子 はしのえみ 新浜レオン
オープニング映像。
近くにいる人と助け合うことを意味する「共助」は災害からの復旧・復興を目指す上で大きな鍵になるという。去年の元日に発生した能登半島地震で当時能登は深刻な水不足に陥った。約14万戸で断水が発生し、風呂やトイレが使用できず衛生状態の悪化が問題になっていた。この問題を解決すべく、地域の人や会社が井戸を自主的に解放した。七尾市の理容室では汲んできた井戸水を使うことで地震から3週間後に営業を再開した。また観光バスの会社はバスの洗車用に使っていた井戸水を誰もが使えるように解放したという。七尾市役所周辺では59か所で井戸が解放されていた。大阪公立大学・遠藤崇浩教授は「井戸が多く解放されていると井戸までの距離が短くて済む。お年寄りにとっては非常に貴重な地域インフラになるのではないか」などと話した。
今回のテーマは「共助で防災力を高める」。災害の被害を軽減するには共助・自助・公助の3つをバランス行うことが重要だという。山本さんは「高齢化や人口減少などに伴い、町内会・自治会に参加する人が減ってきている」などと話した。東京・世田谷区の町内・自治会への参加率は2009年には50.1%だったが、2021年には29.7%まで減少している。山本さんは「周りに住む人たちと災害時の対応について話しておく重要性は高まってきている」などと話した。
今年9月に埼玉大学で行われた「逃げ地図作り」のワークショップには海外からの留学生も参加した。水害からの避難を考える「逃げ地図」を作る。用意するのは地域の白地図と色鉛筆、約5センチの革紐。革紐は地図上では129m、高齢者の足で3分かかる距離に相当する。白地図の赤丸は避難場所。橋には洪水のときに通れなくなることを示すバツ印を付ける。避難場所から革紐を使って3分かかるところを緑で塗る。次は黄緑。その次は黄色、と3分刻みで色分けする。すると避難場所までどのくらいの時間がかかるかがパッと見でわかるようになる。逃げ地図作りでわからない場所があると、実際にそこに行って確かめるきっかけにもなる。次に避難する方向を矢印で書いていく。1時間ほどで逃げ地図が完成した。実際に逃げ地図を作ったことで、避難に20分以上かかるエリアが可視化された。逃げ地図は東京スカイツリーなどを開発した大手の設計事務所が開発したもの。逃げ地図作りの真の狙いは地域の人同士でコミュニケーションをとることにある。ワークショップが地域にどんな人がいて、どんなことを求めているのかを知る第一歩となる。
三重県尾鷲市三木里町の白地図を使って「逃げ地図」を作る。この地は南海トラフ巨大地震で標高15mまで津波が来ると想定されている地域だという。避難場所から3分かかる場所を緑色で塗る。次は黄緑色、黄色、と色付けしていく。新浜レオンさんは「これを経て歩いてみたら確実ですよね」などとコメントした。逃げ地図のマニュアルは「逃げ地図」で検索するとサイトから無料でダウンロードできる。
神奈川県・鎌倉の沿岸部ではM8クラスの地震が発生した際に最大13mの津波が押し寄せる可能性があり、最大津波到達時間は14分と試算されている。材木座地区では2012年に逃げ地図作りのワークショップを地元自治会が行い、遠回りして避難せざるを得ない場所に住んでいる人は塀の向こうの家に許可を取って行き来出来る階段を設置するなど自主的に避難経路の策定や見直しを行った。また自治会では公園の裏山を避難所にするために自主的に整備を行い、市と交渉を行いながら階段や照明などを設置していった。現在自治会では地域の保育園跡地に津波避難タワーを建設する交渉を行っている。
三重県・鳥羽市の相差町では災害時に使用できる井戸を事前に登録してもらうことを鳥羽市に打診した。きっかけは能登半島地震での井戸の緊急活用で、この事を教訓に打診をすることになった。市では災害担当の職員が少ないこともあって当初難色を示していたが、町内会が独自に各家庭の井戸の状況を調査することで災害時に活用できそうな井戸を把握する事ができ、市も災害時の井戸の登録に踏み切った。
スタジオからは「地域住民の共助と自治体の公助が連携されたことにすごさを感じた」、「実家の井戸も登録されているか気になった」などの感想が出た。埼玉県の秩父市では土砂災害からの避難場所を逃げ地図を活用して変更するなど柔軟な対応が行われている。他にも全国で400超の自治体で災害用井戸の登録を行っていることなどを伝えた。
キッチンまわりの地震対策を紹介した。食器棚の対策として扉を開きにくくするストッパーを付けガラスには飛散防止フィルムを貼ることでケガ防止に繋がるとした。棚の中は滑り止めマットを敷くと安心。刃物、調味料、重い調理器具は極力収納する。冷蔵庫と壁を粘着テープで固定する器具もいい。
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- 慶應義塾大学
災害共助SNSを特に活用しているのはマンションに住んでいる方だという。災害共助SNSを2年前に導入した横浜市のマンション。かつて、2016年の熊本地震で熊本市内でのマンションである一室に呼びかけても誰も応じず連絡先も分からないことがあった。確認のため管理組合でドアを破壊したが誰もいなかった。住人は別の場所にいて無事だったがドアの修繕費の問題で揉めることになった。住人の安否確認をするためにマンションで災害共助SNSの導入を決めた。災害共助SNSではまず安否登録を行う。スマホを持っていない子どもはQRコードを使う。QRコードを隣の家の人に読み取ってもらうことで安否登録をする。登録された安否情報はSNSで確認できる。住人同士でメッセージのやりとりができる。災害共助SNSが起動するのは災害が起きたときのみ。
災害共助SNSでは部屋番号でメッセージをする。部屋番号をクリックするだけでメッセージが送れる。さらに災害用掲示板としても使える。紹介したSNSはマンションの管理組合が契約の対象でシステムを導入する際に15万円かかって1部屋につき月々150円の利用料がかかる。2500以上のマンションが導入している。
はしのさんは「ちゃんと距離感を持てば地域の方たちと協力し合うことは大切だなと思った」、新浜さんは「知るっていうことのハードルを突破したい」などと話した。
