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オープニング映像。
寿司ネタの中でも人気が高いマグロを手軽に食べられるようになった理由は冷凍技術の進化。遠洋漁業で獲れたマグロは船内で急速凍結される。厳しい温度管理のもと、凍ったまま国内に運ばれることで鮮度が保たれている。冷凍機には課題がある。かつて、-50℃以下まで物を冷やすにはフロン計物質が欠かせなかった。フロンはオゾン層を破壊するため規制の対象に。さらに、開発された代替フロンも地球温暖化効果が高く使用量の削減が求められている。そのため、地球環境への影響が少ない冷凍技術に注目が集まっている。今回のガリバーは産業用冷凍機メーカー「前川製作所」。産業用の大型冷凍機分野で世界シェア40%。物を冷やす技術を温める技術にも応用。温度別の製品を展開している。
前川製作所の年商は2109億円、従業員数は4878人。国内に54拠点、42の国と地域に100の拠点がある。リポーターが守谷工場で-61℃を体験した。
前川製作所の-61℃の冷凍倉庫に5分前に入れたバラが粉々になった。倉庫の裏にある冷凍機は-50℃~-100℃まで冷やす能力がある。気体には圧力を上げると温度が上がって、圧力を下げると温度が下がる性質がある。液体が気化する時には周囲の熱を奪って、気体が液化する時には周囲に熱を放出する。圧縮と膨張、気化と液化を組み合わせることで物を冷やす冷凍サイクルができる。冷凍サイクルで重要な冷媒にはこれまで様々な物質が使われてきた。その中で問題となった冷媒がフロンだ。フロンは紫外線を吸収するオゾン層を破壊することが明らかに。特定フロンは使用禁止、代替フロンも規制の対象に。そこで、もともと自然界に存在していた自然冷媒に注目が集まった。前川製作所は自然冷媒に長く取り組んできた。
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前川製作所が注力しているのが高アンモニアと二酸化炭素を浸かった冷凍圧縮機。システム全体の電力消費量のうち約7割を圧縮機が占めているという。この冷凍機では圧縮の性能向上が図られている。らせん状のローターで冷媒を圧縮し、消費電力1キロワットあたりの冷暖房能力を上げて35%の省エネを実現している。前川製作所では圧縮機の設計から自社で行っている。高度な技術力による圧縮機の自社開発と製造が冷暖房の高い省エネ性能を実現させている。前川製作所は創業者・前川喜作が1924年に設立。当初はアメリカから冷凍機を輸入し、冷却プラントの施工工事などを行っていた。その後、製氷事業に乗り出して1934年には冷凍機を自社製造開始。当時から自然冷媒のアンモニアで冷凍技術を磨いてきた。1937年、冷凍関連設備の開発を始めた。
前川製作所は1960年代、海外から大型案件を受注したことをきっかけにグローバル企業へと進化した。業界全体で冷媒のフロン置き換えが進む中、前川製作所は海外での根強い需要もあって自然冷媒の開発を継続した。1980年代後半から地球環境問題がクローズアップされてフロン系冷媒の使用が規制されると、創業当時から自然冷媒の研究開発を続けてきた前川製作所の冷凍技術が注目されるようになった。前川製作所のテスト室では顧客の要望に合わせた最適な凍結方法や冷却時間を見極めるテストが行われている。ヒートポンプには冷凍サイクルを応用した技術が使われて、温水と冷水を同時に作り出せる。
「事業の中でより良い人材を育成していければなと思う」などと前川社長は語った。
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知られざるガリバーの次回予告。