- 出演者
- 糸井羊司 副島萌生 晴山紋音
オープニング映像のあと、キャスターが挨拶。
衆議院が解散。今月27日投開票の衆議院選挙に向けて、各党は事実上の選挙戦に入る。自民党が公認しないのは、党員資格停止などの処分を受け、これまでに非公認するとする方針を固めていた下村元文部科学相、西村元経済産業相、高木元国対委員長、萩生田元政調会長、平沢元復興相、三ツ林裕己氏の6人。そして、半年間の党の役職停止の処分を受けた菅家一郎氏、中根一幸氏、小田原潔氏。戒告の処分を受けた細田健一氏。処分は受けていないものの不記載があった越智隆雄氏と元議員の今村洋史氏。この6人は地元での理解が十分に進んでいないと党が判断した。また処分の有無にかかわらず、収支報告書に不記載があった議員は、小選挙区と比例代表との重複立候補を認めないことも改めて確認した。自民党・森山幹事長、旧安倍派・大塚拓氏のコメント。
午前9時過ぎ、政府は臨時閣議を開き、衆議院の解散を決定した。立憲民主党など野党4党は、能登地方の被災地支援のため、補正予算案を編成して速やかに成立させる必要があるなどとして、国会の会期延長を衆議院議長に申し入れ、採決の結果、自民党公明党両党の反対多数で否決。さらに野党4党の党首が会談し、石破内閣に対する不信任決議案を衆議院に提出する方針を確認した。立憲民主党・小川幹事長は「蓋をして逃げ切り、幕引きを図る。とても許されない」、立憲民主党・野田代表は「被災地の復旧復興や、国会での説明責任より、党利党略を優先させたと判断せざるを得ない」とコメント。
午後、衆議院の解散を前に、党首討論が行われ、野党党首が政治とカネの問題や衆議院選挙への対応などをただした。立憲民主党・野田代表は「大半が公認じゃないか」、石破首相は「代表者として国民が判断した場合、(追加で)公認することはある」。日本維新の会・馬場代表は「参議院議員は今回と同じ物差しで公認、非公認を決めるのか」、石破首相は「衆議院と参議院、違う対応をすることはない」。国民民主党・玉木代表は「この選挙で1円も政策活動費は使わないと明言してほしい」、石破首相は「適法な範囲内で政策活動費を使うことは可能性として否定しない」。また、長時間労働の是正を巡って共産党・田村委員長は「残業規制の強化を検討してほしい」、石破首相は「価格転嫁が実現のため全力を挙げて取り組む」。
午後4時ごろ、紫のふくさに包まれた解散詔書が運ばれ額賀衆議院議長に伝達された。総理大臣就任から8日後の解散は戦後最短。一方、野党4党が提出した石破内閣に対する不信任決議案は、採決されず、廃案となった。政府は午後5時前、臨時閣議を開き、衆議院選挙の日程を、来週15日公示、27日投開票とすることを決定。各党は事実上の選挙戦に入った。
政治部・小嶋章史の解説。衆院選で非公認。党員資格停止など:下村元文部科学相、西村元経済産業相、高木元国対委員長、萩生田元政調会長、平沢元復興相、三ツ林博己氏。党の役職停止:菅家一郎氏、中根一幸氏、小田原潔氏。戒告:細田健一氏。処分は受けていないものの不記載:越智隆雄氏、今村洋史氏。地元での理解が十分に進んでいないと党が判断した。解散の前に党首討論について与党側は石破総理が解散の理由を含めて説明し、野党の批判をうまくかわしたと評価している。一方、野党側は石破総理からは改革に前向きな発言は見られず、自民党が何も変わらないことが明らかになったとしている。
衆議院解散を受けて、与野党合わせて20人余りが次の選挙には立候補せず、今期かぎりで引退する。自民党の元幹事長・二階俊博氏。初当選は昭和58年、当選13回。派閥の在り方について、「世間的に批判を受けるようなことを取り除いていけば派閥というのは何も悪いことではない」と自身の考えを述べた。塩谷立氏は自民党旧安倍派の座長などを務めた。政治とカネの問題について「明らかに対応の失敗」。公明党・北側一雄氏は国土交通大臣などを歴任した。「原発の問題と薬害エイズの問題が私の政治人生の中で大きな2つの出来事」とこう振り返ったのは、立憲民主党・菅直人元総理大臣。野党の議員に対して「もう一度、政権交代を実現してほしい」。立憲民主党・中川正春氏は野党の在り方について「いい時も悪い時もある。辛抱する時はしてこの党で完成させるという気持ちで頑張ろう」と話した。今後の政治について語ったのは、長年、国会対策委員長を務めた共産党・穀田恵二氏。「未来に平和な希望を持てる社会にすることが政治の役割」とコメント。
衆議院の解散をどう受け止め、そして、政治に何を求めるのか各地で聞いた。能登半島地震と先月の記録的な大雨の影響が残る被災地では「普通の生活ができるようにしか今は考えていない」との声。今月27日の投開票日まで2週間余り。名古屋市では、担当の職員たちが、倉庫に置かれた投開票に使われる道具を運び出し。投票所で不正がないかなどを確認する投票管理者を集めた説明会も開かれた。栃木県鹿沼市では今週末に大規模な祭りを控え、多くの職員が準備に追われていて、選挙の準備に十分な人手が集まっていないという。
政治部・小嶋章史の解説。衆議院が解散。今回の選挙では、各党とも政治改革に向けた具体策を、公約の主要な項目に掲げる予定。与党側は、政治資金をチェックする第三者機関の在り方など、検討事項の早急に詰めて、実効性を高めていくと訴える方針。一方、野党側は改正政治資金規正法の内容が不十分だと批判を強めている。企業団体献金の禁止などを主張する見通し。物価高が続き、国民の所得をどう上げていくのか、生活が厳しい人をどう支援していくのか主要な争点の一つになる。
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衆議院の定数は465。今回の選挙は、小選挙区289、比例代表176の、合わせて465議席を巡って争われる。午後5時現在で全国の小選挙区と比例代表を合わせて、1222人が立候補を予定。小選挙区:自民党265人、立憲民主党206人、日本維新の会162人、公明党11人、共産党212人、国民民主党41人、れいわ新選組20人、社民党10人、参政党85人、諸派と無所属78人。比例単独で立候補予定:自民党14人、立憲民主党1人、公明党39人、共産党23人、国民民主党1人、れいわ新選組9人、社民党7人、参政党9人、みんなでつくる党1人、日本保守党26人、安楽死制度を考える会2人。各党は公示日に向けてさらなる候補者の追加を検討しているほか、これら以外にも比例単独での候補者擁立を検討している政党がある。
衆議院選挙に向けて事実上の選挙戦に入った各党の党首や幹部の訴え。自民党・森山幹事長「国民の暮らしと経済の両面で豊かにしていくための新たな道筋として地方創生を進めると訴えていく。政治資金の問題で国民に心配と迷惑をかけてきたこと、しっかり反省しながら政治の信頼を取り戻すべく党を挙げて取り組んでいく。公認問題にも決着をつけ国民のご理解をいただけると思っている」、立憲民主党・野田代表「石破さんなら変えてくれると期待を持っていた。でもダメだとよくわかった。政権交代こそ最大の政治改革だ」、日本維新の会・馬場代表「常に改革を進めていく。実現していく。有言実行するのは日本維新の会だけ。石破総理のままでは政治とカネの問題は可視化されない」、公明党・石井代表「短期決戦を勝ち抜くためには勢いと団結が不可欠だ」、共産党・田村委員長「真の改革の力は共産党にある。政治を変えなければいけないこと明らかになった」、国民民主党・玉木代表「こんなに締まりのない解散は初めて。政策にこだわるからこそ政策推進を妨げる政治とカネの問題は絶対に許せない」、れいわ新選組・山本代表「経済対策を第一に打たないといけない。そのためには消費税廃止は絶対だ」、社民党・福島党首は「うそつき内閣によるトンズラ解散」、参政党・神谷代表「大義がないご都合解散と受け止めている」。
石破首相による記者会見。衆議院を解散した理由には国民の納得と共感なくして政治を前に進めることは出来ないことがあるとしている。総選挙に向け政治への信頼を回復するために自民党則において非公認より重い処分を受けたものは非公認とし、不記載があった議員については比例名簿には登載しないとしている。地震と豪雨の二重災害に苦しむ能登半島の人々のために能登の9月の豪雨を激甚災害に指定し、予備費措置を講じているとしている。設備復旧に向けた交付金を再度支援していくが、これと同時に災害が起きる前からプライバシーの守られるテントなどを設置する必要がある。後藤田正晴氏は天災は防ぐことは出来ないがその後に起こることは全て人災であると呼びかけたように、災害対応のエキスパートを揃えた防災庁を設置することの検討加速を指示している。地方創生を巡っては都市と地方の対立ではなく日本全体に安心と安全を取り戻す必要があり、日本全体を創生させる必要があるが、創生に向けた新しい本部が今週にも設置され年末に向けて基本的な考え方を取りまとめるとともに、予算を倍増させて地域独自の取り組みを強力に後押ししていく。農林水産業の力を最大限に引き出しAI・半導体への投資を引き出していく。
デフレ脱却に向けた歩みは確かとなっているが、その一方で国民は30年ぶりの物価上昇に直面してしまっていることは事実であり、実質賃金上昇は欠かせないものとなっている。2020年代に全国平均で1500円の最低賃金を実現するための支援も強化していき、企業数の99%・労働者の約7割を占める中小企業支援のために価格転嫁を定着させるための下請法改正も進める。
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安全保障を巡っては中国・ロシアの領空侵犯や北朝鮮のミサイル発射などを目にするようになってしまっているのが現状となっているが、防衛力の強化を進めていくが、バイデン大統領とも日米同盟を力強く発展させること確認し、北朝鮮の拉致問題を巡っても連携していく事を確認している。韓国・ユン大統領とオーストラリアのアルバニージー首相との電話会談もおこない連携強化を確認している。ASEAN関連首脳会議では中国やインドとの首脳同士の関係を構築し、地域の安全と安定を確保するための取り組みを主導していく。自衛官の処遇改善に向けては技能を活かしつつ退職後も社会で活躍できる生涯設計を描けるように関係閣僚会議を設置している。
平成24年に政権に復帰すると、安倍総理・菅総理・岸田総理のもとで雇用関係は改善し株価も上昇を続けているが、30年続いたデフレからの脱却を目前に控えているが、さらなる成長と国民所得拡大、国民の暮らしを経済と心の両面で豊かにしていくため地方創生は進めていくが、地方への物の流れを拡大しデジタル化によってどこに住んでいても仕事や勉強ができるようにし、思い切った実行のためには信任が必要であるとしている。日本創生解散であり、国民・都市の安全・地方の暮らし・女性の機会を守るものであるとしている。
記者からの質問。石破首相は勝敗ラインを聞かれると厳しい選挙になることは承知しているが、自民党・公明党で過半数をとることが勝利だとしている。予算委員会も開かれずに政権発足直後に解散を選んだことについては、新政権が発足すれば国民に信任を仰ぐ必要があり主権者に判断を頂く必要があったとしている。裏金議員の問題については党の選挙対策委員会で判断を行ったが、金額や選挙区での信任から判断したとしている。重複立候補も判断基準に基づいているが、有権者が選挙区において信任頂くことができるよう最大限の努力をしていくとしている。地方創生をめぐっては地方から都市への人口流出が止まらないのが現状となっているが石破首相は地方創生に必要なことは総理の熱情だと話す中で考えを求められると、自治体がもう一度心を一つにすることが大切であり行政だけでなく産官学と地銀などがそれぞれ地方創生を目指す必要があるとしている。経済政策については下請けの負担・設備投資への消極性につながることからコストカット型経済は止めるべきであり、お金を出してもサービスを受けたいと思える高付加価値を目指し、受けたいサービスが有る状況を作る事が金の周りを良くするとしている。石破首相がこれまで掲げてきた主張を封印しているのではないかとの指摘に対しては、期待に答えるべく持てる力を出していかなければならないが独裁政党でない以上理解を得ながら党をまとめていく必要があり、党内において幅広い議論を行い提起されなかった問題を地道に議論しながら提案することが大切としている。
政治部・小嶋章史記者の解説。石破首相の発言のポイント。解散の理由については、政策遂行のために国民の信を得たい考えを示した。今回の解散を「日本創生解散」と名付け、日本・国民・地方の暮らしを守ると説明していた。また冒頭で自民党の政治資金不記載の問題に自ら触れ、「所属議員が一人一人の有権者に向き合い、説明を尽くし理解を得ていかなければならない」と説明した。勝敗ラインは自公で過半数だとし、最後の方では「党内融和より国民の共感を重要視する」という趣旨の発言をしていた。衆院選で与党はこれまでの自公政権の安定という実績を強調して国民の支持を呼びかけていくとみられる。ただ不記載があった議員の一部を非公認とした一方で公認された議員もおり、野党側は不十分だと批判している。その野党側は自公の過半数割れを目標に、政治とカネの問題では与党との違いを強調して、企業・団体献金の禁止や政策活動費の廃止などの具体策を打ち出していくとみられる。野党が議席を増やす鍵は野党間の連携で、立憲民主党は裏金議員の選挙区では野党候補の一本化を目指しているが、具体的な調整が進んでいないとのこと。衆院選の投票率は2021年から4回連続で50%台にとどまっている。小嶋記者は政治不信が背景にあるとし、「政治改革から物価高対策、社会保障制度など様々な分野での活発な議論を望む」などと話した。
れいわ新選組が衆院選の公約を発表した。公約では個人消費を活性化させるため、消費税を廃止する他、国民健康保険料や介護保険料などの社会保険料を引き下げるとしている。また年金給付の引き上げや、インフレ対策として季節ごとに10万円を支給することも盛り込んでいる。さらにエネルギー政策では原子力発電所を廃止し、脱炭素産業に10年間で200兆円を投資するとしている。この他、子ども・子育て政策では子どもへの手当として高校卒業まで所得制限なしで一律1か月に3万円支給する他、保育費や給食費、子どもの医療費などを無償にするとしている。また災害対応に国が責任を持つため「防災省」の設置も打ち出している。一方、政治とカネの問題を受けて政治改革を進めるため、関係者を招致して問題の解明を行う「調査特別委員会」を設置するとしている。
ノーベル賞の選考委員会は、今年の化学賞に米ワシントン大学のデイビッド・ベイカー教授と、米IT企業・グーグルのグループ会社で、ロンドンに本社があるディープマインド社のデミス・ハサビスCEO、研究チームのジョン・ジャンパー氏の合わせて3人を選んだと発表した。このうちベイカー教授は、複数のアミノ酸を使って他のたんぱく質とは異なる全く新たなたんぱく質を設計することに成功した。またハサビス氏とジャンパー氏は、「アルファフォールド」と呼ばれるAIモデルを開発し、たんぱく質の立体構造を高精度に予測することに成功した。ノーベル賞の選考委員会では、3人を選んだ理由について「たんぱく質を巡るこれら2つの研究成果は、病気の発見や抗体の作用を理解するなど大きな可能性を切り開くものだ」としている。
ASEANと日本などが参加する一連の首脳会議がラオスで始まった。初日はASEAN加盟国だけの会議が行われ、ミャンマー情勢や南シナ海を巡る問題について議論が交わされた。2021年のクーデターで軍が実権を握ったミャンマーはこれまで代表の派遣を見送ってきたが、今回約3年ぶりに参加した。軍と民主派勢力などとの戦闘で今も国内では混乱が続いている。会議では各国がミャンマーに対し、ASEANが3年前に合意した暴力の即時停止など5つの項目を改めて履行するよう求めたという。フィリピンなどと中国の間で領有権争いのある南シナ海の問題では、議長声明の文言を巡って意見が対立しているという。ASEANの外交筋はNHKの取材に対し、フィリピンなど中国と領有権を争う一部の加盟国が抗議を強める中、中国と経済的なつながりが強いラオスやカンボジアにどこまで支持が広がるのか不透明だとの見方を示している。また米中対立を背景に加盟国の間では足並みの乱れも指摘されており、ASEANの求心力低下を懸念する声も上がっている。明日は中国・李強首相が出席し、ASEAN加盟国との首脳会議が予定されている。南シナ海問題を巡る議論でASEANが一致した行動を示せるのか問われている。