2024年5月9日放送 23:06 - 23:55 テレビ東京

カンブリア宮殿
【料理を一変させるお酢 130年企業の生き残り術】

出演者
村上龍 小池栄子 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像。

カンブリア宮殿
飲む酢…ピクルス…健康志向で“酢”が大人気!

横浜市にあるザ ブッフェ ニューマーケット 京急上大岡店は洋食に和食など60種の料理が食べ放題。この店で最近人気だというのは、飲むお酢。2022年かドリンクバーで飲むお酢を提供するようになったが美容や健康を気にする女性客に人気だという。今お酢が絶好調で、デパ地下のお酢売り場には酢や関連商品がたくさんあり、赤酢や黒酢などが販売される。特に話題のお酢は富士ピクル酢。米酢にドライトマトのだしをあわせたお酢で、野菜など混ぜて一日おけば美味しいピクルスができる。その製造元は飯尾醸造。このお酢を好んでいるのはプロの料理人たち。すし㐂邑はミシュランガイド東京にも掲載される名店。熟成魚を使った寿司を広めた店で店主が最初煮出すのは酢飯だけをのりでまいたもの。大事なシャリを感じてもらいたいと考えているという。その酢飯を作るのに使っているのは飯尾醸造の三種のお酢で、これをブレンドしているという。

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飯尾醸造があるのは京都府宮津市。創業131年の老舗で従業員数36人の小さな会社だが、こだわりのお酢づくりで業績は好調。この日やってきたのは世界最大級の料理学校のCIAの生徒たち。そこに飯尾醸造五代目の飯尾彰浩の姿が。生徒たちはお酢を使った料理や熟成させる期間に驚きを隠せない様子。一般的なお酢は米や小麦などの穀物と醸造用のアルコールを混ぜてそこに酢酸菌をまぜて機械を使って短期間で発酵させる。一方飯尾醸造は効率の悪い昔ながらの製造方法を守っているために大手とは比べ物にならないほど小さい。しかしこれこそが飯尾の戦略だという。飯尾醸造のお酢づくりは原料の米づくりから行われる。地元の棚田を耕しているのは飯尾醸造の社員。農薬や化学肥料を使用しない米を安定して調達するために自社で米づくりから行っている。その米を使用してまずは日本酒を作る。飯尾醸造は酒造免許を持っていて、今酒造りから酢のメーカーは数えるほどだという。麹に蒸した米などを加え、じっくり発酵させ30日。お酢のもととなる日本酒が完成。濁っているのはあえて雑味を多く含ませるとお酢になると旨味に変化するという。ここからお酢づくりへ。出来上がった日本酒に発酵の元となる酢酸菌をそっと浮かべる。混ぜずにじっくり発酵させることで旨味が出てくるという。発酵しやすい適温にキープするために温度を定期的にはかって様子をみる。気温の変化に合わせ樽と蓋の隙間を調整するが商品になるのは一年以上先となる。こうしてできたのが看板商品の純米富士酢で値段は通常のお酢の五倍はする。

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しゃぶしゃぶに夢中カリナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ天橋立宮津市(京都)純米富士酢飯尾醸造
戦わずして勝つ!大手ができない“弱者”の戦略

飯尾の戦略は大手が作らないニッチな商品を作ること。他にも用途などを絞ったニッチな商品を開発していたが手巻き寿司専用の富士手巻きすし酢やピクルス専門の富士ピクル酢などを展開している。飯尾醸造では蔵見学や田植えイベントを開催をし客との交流を深めてきた。こうした取り組みで熱烈な応援団を獲得し客のリピート率は7割にものぼるという。飯尾は専門のお酢を作ることについては今は共働きが多く、料理をする時間が短くなっていてかけるだけ、つけるだけという利便性は大事だと答えた。また商品開発については自分で行っているというがその中には餃子専門のお酢などがあると答えた。またイベントを開催についてはファンを獲得することで顔の見える人達が使ってくれているので、作り手側の心理としても妥協できないなどと答えた。

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米酢の弱点克服へ 創業131年の革命

飯尾醸造の創業は131年で明治26年。130年以上伝統を守りながら新たなお酢の道を切り開いてきた。その礎を作ったのが飯尾の祖父の輝之助。農薬を使うのがあたり前だった1960年代。輝之助は農薬を使用しない米でのお酢づくりを始め、オーガニック商品を世に送り出した。4代目の父の毅は様々な商品開発を行った。すしや酢の物や飲むお酢など用途別の商品を開発。五代目の飯尾が生まれたのは75年。幼い頃から家業を継ぐことを意識していたという。だがその頃父には悩みがあり、主力の米酢の売れ行きが伸びないことだった。味は良いが米酢独特のツンとしたニオイが苦手という客の声があがっていたがそんな父の思いに応え、飯尾は東京農業大学に進学。大学院にまで進みお酢のニオイに研究に没頭。米酢のニオイの原因になっていたのは発酵する時に生じるダイアセチルという物質。消すためには米の量を減らすか発酵させる期間を短くさせるしかないが、それではお酢そのものの味が落ちてしまう。結局在学中にニオイを消す方法はわからなかった。大学院を修了すると、英語を学ぶために東京コカ・コーラボトリングに入社。祖父の他界をきっかけに2004年には飯尾醸造に入社。しかし商品の売上が下がっていたために新たな商品の開発とダイアセチルのニオイに向き合うことに。

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米酢の弱点克服へ 創業131年の革命

2004年に飯尾醸造に入社した飯尾は、米酢のニオイの原因となるダイアセチルを消す研究に取り組むことになった。しかし、飯尾醸造には大学のような設備はなく専門的な研究はできない。そこで発想の転換としてニオイを消すのではなく米の量を増やしてできる別の香りでダイアセチルのニオイを覆い隠すことにした。発酵の温度や時間など試行錯誤を繰り返し完成したのは富士酢プレミアム。旨味を引き出しつつツンとしたニオイを優しい香りで包み込むことに成功。この新しいお酢を多くの人に知ってもらいたいと飯尾が訪ねたのはてんぷら近藤。国内外の著名人から支持され、ミシュランガイド東京にも掲載される名店。飯尾はできたばかりの米酢を試してほしいと店主の近藤さんに直談判すると仕入れが決定。これで他の料理人にも知れ渡るように。村上は一般的な酢、富士酢、富士酢プレミアムの味の違を比べ、富士酢プレミアムは一番まろやかだと答えた。飯尾は棚田で米を作るなどをする理由には祖父から続いているものはつづけたいと考えていると語り、父が米を作ろうと良い出したという。その背景には棚田が荒れ地になってしまうので里山の景観保全にも米を作ろうと思ったという。また祖父がオーガニックのお酢を作るために農家を口説きおとしたが、意思決定の強い農家の奥さんを魚を渡すなどして口説き落としていたという。

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丹後地方を美食の町へ 名店が続々誕生!

飯尾が向かったのは宮津の街なかにある古民家。飯尾が経営するacetoはイタリアンレストラン。築125年の古民家を改築し7年前にオープンした。その理由は丹後の街を美味しい物がいっぱいにあるような街にしたいという。世界一の美食の街はスペインのサンセバスチャン。地理的にも似ている丹後の街を美食の街にしたいと考えた。その実現に向けた活動では、集まっていたのは地元の料理人。飯尾は観光客を呼び込む新たな名物料理を増やそうとアイディアを持ち寄って試している。こうした活動ですでに予約困難な店も生まれている。

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丹後地方を美食の町へ 名店が続々誕生!

京都の丹後地方を美食の街にするために様々な活動を行っている飯尾醸造の飯尾。その成果の一つが西入る。江戸前鮨などを修業した店主の味が評判になり人気店に。この店は飯尾に移住をすすめられた二人が2年前にオープンした店で飯尾は家賃のサポートなどもしている。飯尾はこのような取り組みを行う理由には丹後には天橋立などがあり、毎年500万人ほど観光客が来るが客単価が低いのが問題だったという。夜間営業のレストランがいくつかあれば泊まりたいと思ってもらえると感じ、美味しい店が増えれば宿も増えるだろうと始めたという。またその活動の中で移住者も増えてきていると答えた。

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丹後に移住者を呼び込む!5代目の新ビジネスとは…

丹後地方を美食の街にするために飯尾は不動産業も始めた。今しかけているのはとある古民家。敷地は海まで広がり、8月にはフランス人シェフが移住してきてレストランを開業予定だという。

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(エンディング)
編集後記

村上は今日の総括に高度経済成長期の昭和30年代、毒性の強い農薬がどんどん撒かれるようになり、フナやドジョウなどの生きものがいつの間にか姿を消していく。「こんな米から酢を造っとったらあかん」3代目当主は、無農薬の米から酢を造ろうと決めた。「農薬を使わんとお米を作ってくれまへんか」無農薬米をもらえるまでに2年が必要だった。美味しい酢は美味しい米からできる。丹後の棚田で穫れる最高の米。農薬不使用栽培の米と湧き出た伏流水だけが原料。4億え円の売上高だが、増やしようがない。贅沢極まる4億円だと思う。とした。

次回予告

カンブリア宮殿の次回予告。

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