- 出演者
- 村上龍 小池栄子
オープニング映像。
長谷川さん夫妻は社員食堂で挙式をあげた。普段社員食堂として使用されている時もカフェのような雰囲気。社屋のコンセプトは、福井で1番大きなおうちでそのダイニング。絨毯に座ってゆったり食事ができるコーナーも。こんな社員食堂を作ったのは越前織の老舗メーカーの松川レピヤン。社員食堂だけでなくオフィススペースもこだわって作った。どの位置に座っても社員同士の顔がみえてコミュニケーションがとれるようになっている。2年前に7億円を投じてこの本社を作った松川さん。その理由は県内だけでなく県外からでも就職先に選んでもらえるような場所にしたいという。家族に自慢できるような場所にしたかったという。新オフィスの効果は絶大で、社員のモチベーションがあがっただけでなく入社希望者は3倍に増えたという。
この社屋を丸ごと手掛けたのは今夜の主役のイトーキ。イトーキは日本で初めて学習机を製造販売した創業134年の老舗メーカー。その本社は東京・日本橋の巨大なオフィスビルの中にある。現在の主力事業は、次世代オフィスのプロデュース。コンセプトづくりから内装工事までを請け負うビジネスで成長してきた。カルビーやサントリーなど大手企業からも引っ張りだこで合計4万件のオフィスを手掛けている。赤字に苦しんだ時期もあったがV字回復。去年の売上は1329億円を突破し過去最高。イトーキ本社は3フロアを順次最新オフィスの改装し、最新オフィスの使い勝手を試している。入社2年目の大塚は転職組で、このオフィスが会社選びの決め手になったという。その心を掴んだオフィスは屋外のイメージと屋内のイメージで作られた場所で集中力が途切れづらい。照明や家具、インテリアで屋外と屋内を表現。その日の仕事の内容や気分に合わせて好きな場所を自由に選べるようにしている。集中したいときは私語生禁止のエリアも。デスクは昇降式で立ったままも選ぶことができる。大きなモニターがついていて細かい作業にも集中できるという。大人数で話し合う時は、中心に据えられたのは360度カメラでこれ1台でリモート参加者から全員の顔が見えるという。さらに独自開発したソファがありリモート会議あるあるの音の悩みが解決。離れているとリモートの相手ん声がほとんど聞こえないが近づくとその声が聞こえるように。こちら側の声は集音マイクが1m以内の音しか拾わず相手も周囲のざわついが気にならない。リモートで個室を探す必要がなくなるという。こうした家具を求めてイトーキの本社には、年間2万人がやってくる。この日は東横インが来社した。本社はショールームの役割も果たし実際に家具を使用している場面も見ることができるという。
イトーキの技術の粋を集めた椅子がある。名前はアクトチェア。10万円を超えるが累計16万脚を売ったヒット商品。その工場に潜入。特殊なカメラでセンサーをつけた社員を撮影し、これをCG化して、人の動きをデータに落とし込み、分析している。人がどう動くかを突き詰めて作ったのがアクトチェア。背もたれは1本の柱で支える構造なので座りながら上半身をひねることもできる。また、肘当てはワンプッシュで上下左右と自由自在。好きな位置で止めることができる。小柄な人に優しい機能にはサイドのレバーで座面の長さを調節しもも裏の圧迫感を解消できるようにした。いずれも日本初の機能でこれまでになかった機能。今までにない商品を作る一方で、耐久性にもこだわっている。
イトーキはイスの厳しい耐久実験を150種類以上にわたり実施している。この日工場では懇親会が行われていた。そこにイトーキの社長湊宏司が。湊は外資系のIT企業出身でイトーキの歴史の中で初めて外部から社長に。就任からわずか2年で利益を五倍に増やした躍進の立役者。湊はIT技術を使って今までにない検証を行っている。デスクに置いてあったのは会社支給の携帯に反応し社員の位置情報を把握するセンサー。このセンサーをオフィスの300箇所に設置しデータを取っているという。そのデータでは家具の色は稼働率を表し最も使用されていると赤になる。棒の色は生産性を表し、社員から仕事が捗るかをきいたものだという。これらを分析し、仕事が捗る人気の場所やレイアウトを導き出す。こんなやり方で生産性を高めてオフィス3.0と称してビジネス展開している。小池はスインギーやバーテブラ03というイスを体感した。
湊は他社との製品の差別化について難しいと答え、最近はオフィスを売るという形で差別化しているという。イトーキの売り上げ高は1329億円に。この売上に湊にコロナ禍でオフィスの利用が減ってしまうが、浮いたお金でオフィスをリニューアルするというのが今の大きな流れになっているという。また今行きたくなるオフィスやワクワクするオフィスが経営者の重点課題になっているという。また、オフィスを作ったタイミングでは完璧にはならず、オフィスのレイアウトは人数だけでなく働き方やビジネスの環境で変化していくのでオフィスは作ったあとにどうやって会社の生産性や社員のモチベーションをあげるかが大切になってくると答えた。
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この日、社員の家族が会社にやってきた。始まったのは職場の見学会だったが、家族をおもてなしするのは湊や役員たち。こうして社員にざっくばらんに接している湊だが、社長になった2年前は様子がまったく違っていたという。頑なに変わろうとしなかった大企業だったというイトーキ。湊は生まれながらにして先天性の重い病気を患い医師から絶望的な宣告を受けていた。もらった命を世の中の役に立てようと猛勉強。東京大学からNTTに就職しアメリカのIT企業のオラクルで働いた。そこでは四半期ごとに結果を出さないといけないという状況で9ヶ月連続で数字をミスすると退場になってしまうような場所だという。実力主義の中で日本法人の副社長にまで上り詰めた。するとある日ヘッドハンターから声がかかったがそれがイトーキだった。イトーキは1890年に伊藤喜十郎が創業した。その名前からイトーキに。はじめは事務用品や輸入品を扱う雑貨店で、日本で始めてホチキスを輸入し、イスは木製が当たり前の時代にスチール家具に目をつけ販売し、人がやってないことに挑戦する旺盛な開拓精神を持ち続けようだった。しかし時を経てイトーキの企業風土は様変わり。ヒット商品が作れなくなり、2019年からは2年連続の赤字でまさにどん底状態に。開拓精神は姿を消し、他社の後追い製品を作る会社になってしまっていたという。
八方塞がりの状態で白はの矢をたてられたのが湊。ITを活用して現状を打開してほしいと声がかかった。入社早々に工場を視察すると工員たちに個人パソコンがなく7人で1台を共有しているために順番待ちの列ができるほどだった。メールもろくに見ることができず、生産スケジュールは朝礼で手渡し。そこで湊はすぐにタブレットを支給しようと提案したが現場からは、今までのやり方でいいと波風を立てるなが大方の意見だった。
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湊がイトーキの環境を変えようとしたが今までのやり方でいいと波風を立てるなが大方の意見だった。しかし湊は反対の意見を押し切って工員一人一人にタブレットを支給し生産スケジュールをすべてデータ化で管理できるように。反対の声を上げた社員は今になっては良いことばかりだと語る。さらに、前例にとらわれずやり方を見直そうと全工場での取り組みは知恵を絞ってからくりで作業を改善するら大会が行われた。工員の中井もアイディアを応募した。その内容は、生地を重ねてまとめて裁断するが重労働。引きずって移動させるしかないがこれまでは20キロの生地を力任せに移動させていた。そこで中井はシートを手作りし大会に応募。作業テーブルには穴があいていてここから風がでている。生地だけでは風が通り抜けてしまうが下にシートを敷けば少し浮き上がり軽々と移動が可能に。作業時間が1日80分も短縮できた。中井はこのアイディアで金賞を受賞したがそのご褒美は50万円だった。さらに湊は、社員のやる気を生み出す制度改革には従来の社員の査定評価の分布図では例年平均より評価の高い社員が80%以上。大体の人がBだった。そこで湊は、5段階ではっきり差をつける評価制度にし、それぞれの割合を決め手競争心を植え付けた。頑張った人が報われる制度は他にも、営業部員に対しては年間成績に沿ったインセンティブを支払うことに。
イトーキにヘッドハンティングされたという湊はその決め手になったのは同じITでは自分の価値がつけられず、あまりにも業界が違うのでワクワクしたという。しかし会社はやり方をかえようとしない社員たちに、よそ者扱いされていたがラッキーだったのは赤字が続いていたこともあり危機感は感じていたという。しかし新しい社長が変えてくれることを期待しているという感じで自分たちが変化しなければいけないと教えたという。
保育士の仕事は想像以上にハード。最近元気をもらえるものがあるというがそれは施設内におかれたボックス。それは立ったまま仮眠することができるボックスで使い方は丁度いいおしりの位置を調節し、次に腕と頭をのせる台の高さも調節し、こうすると足裏、スネ、尻、、頭を四点で支える構造に。20分で頭も体もスッキリするという。仮眠ボックスを作ったのは広葉樹合板。新商品の開発にも挑んできたが苦戦続き。そんな時に出あったのがイトーキの立ったまま眠れる特許だった。イトーキは、こうした特許を811件も取得している。その一部を他の企業とコラボして使うことで新たなビジネスを生み出そうとしている。
湊は創業者の旺盛な開拓精神がイトーキのDNAにあるというが特許を考えた社員もモチベーションも上がるのでコラボレーションは重要だという。社長としての原動力は社員の笑顔だと胸を張って言えると答えた。
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村上は今日の総括にイトーキはアートを扱う子会社を持つ。現代アートを取り扱う会社だ。社員のコミュニケーションツールにもなる。出勤とリモートを併用する「ハイブリッド勤務」が広がると、社員同士のコミュニケーションが薄くなる。オフィスで人と会って話すことの重要性が高まる。アートは話題になるわけではなく、背景となる。美というのはそういうものだ。湊さんは、1143件の国宝全て見るのが目標だそうだ。美を求めている。オフィスも美しくなるらしい。オフィス「3.0」は家具にセンサーを付けるのだそうだ。とした。
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カンブリア宮殿の次回予告。