- 出演者
- 村上龍 小池栄子
オープニング映像。
三重県多気町には最近できたという変わった名前のインターチェンジが。多気ヴィソンICをおりると姿を表したのは緑に囲まれた巨大施設。敷地面積は東京ドーム24個分。その場所には関東圏からのお客も。2021年に開業し、美しい村という意味合いでVISONと名付けられた。マルシェ ヴィソンは食べ歩きが楽しめるが地元で獲れたカキが山盛り。ゆで牡蠣が美味しい。さらに橋を渡った先にあるのは和ヴィソン。日本の伝統食を販売している店で伊勢醤油本舗は三重県の名産の伊勢醤油の店。極太の伊勢うどんとコクのある醤油をあわせた伊勢うどんの焼きうどんが大人気。VISONには、そんな地元を堪能できる店が70軒以上。過疎の町に年間350万人を呼び寄せる。そこには岸田総理も訪れた。VISION内で人気なのは野菜のくし刺し。VISIONを作ったのはアクアイグニス代表の立花哲也。
VISIONをヒットさせた戦略があるという。おもしろい店があるというが鳥羽の海で海女の中川さんが獲ってきた海の幸を振る舞う店「なか川」が。運ばれてきたのは、サザエやアワビなど盛りだくさん。さらに三重県唯一の底びき網漁船の直営店の第十八甚昇丸は個人でやっている漁師などにお願いし店を経営してもらっているという。VISIONで味わえるグルメは他では味わえないオンリーワンのもの。林商店では三重県の伝統野菜の御薗大根で作る伊勢たくあんだが、今や幻になりつつある。もう漬ける人がいないが伊勢市の老舗の林商店が作っている。立花がVISIONの出店を何度もお願いし実現した。
1日で周りきれないVISIONには、宿泊施設も充実している。山の斜面に建てられたのは家族連れに人気の場所でホテル ヴィソンは、ジャグジー風呂付きの部屋などがある。最近オープンしたハシェンダ ヴィソンはデザインはザ・コンランショップが手掛けたもので窓の外には緑豊かな田園風景が広がる。その滞在型VISIONの特徴は3食美食。
VISIONのホテルでは予約の取れない和食店として有名な賛否両論の笠原将弘氏が監修している朝食が食べられる。笠庵特製 出汁茶漬け御膳は鯛茶漬けが人気。昼には人気のアット シェフ ミュージアムが。フードコート形式で、全国の有名シェフの味が楽しめる。人気イタリアンシェフの桝谷周一郎が考案した小海老とトマトのブルスケッタは地元のトマトを分だんに使用している。フランスでミシュランの星をもつ手島竜司シェフが考案した松阪牛入りハンバーグも。メニューは全17種で3品2500円。そして夜は竜吟虎嘯 薪場という店があるが、松阪牛を薪焼きで楽しむことができる。
VISONの滞在客に大人気の施設は本草湯。温泉ではないがそのお湯には癒やしてくれる効果が。秘密は袋。ここは薬草湯だが5日毎に薬草のブレンドが変化し72種が楽しめる。敷地内の研究所ではその調合を行っているがロート製薬と三重大学が共同で研究をしている。ロート製薬は地元に工場をもっていて生薬のビジネスに力を入れていることもあり、VISONを研究拠点の一つにしている。また敷地内の移動の足となっている自動運転車は、ソフトバンクのグループ会社が実証実験として走らせている。35万坪は私有地のため様々な実証実験が可能。ソニーは音響体験アプリのロケトーンの実証実験を行っているが散策の楽しさを演出する音楽や施設内の情報が得られるという。そんな今までにない斬新なリゾートとして、VISONには岸田文雄前総理や企業施設も膨大に行われる。
立花はVISIONの店集めについてオファーした所は基本店を出したところがない場所だったという。それを70店舗出してもらうのには苦労したという。伊勢たくあんの店も最初は断られたがその大根を一緒に植えて収穫まで手伝ってくれれば出店すると言われ承諾したという。また70店舗には1店舗ずつドラマがあると答えた。また他にないものを作らないと負けてしまうということでコンビニやチェーン店を置かないと決めていたと答えた。また三重県多気町という場所でこうしたビジネスをすることに最初は業界の人にやめたほうがいいと何度も言われたと答えた。
立花はVISIONをつくる以前は建設会社を経営していた。三重県の高校を卒業後、土木現場で働き、20歳で独立。若き立花が年商15億円まで育てた会社は後輩たちが引き継いでいる。
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三重県四日市市から、車で30分。建物のデザインが印象的なアクアイグニスは、年間100万人が訪れる場所もVISONの立花が手掛けた。源泉100%かけ流しの温泉宿として人気。また美食の数々が人気でスイーツのアジア大会で優勝した経験をもつパティシエが手掛ける。また温泉の熱を利用してイチゴも栽培している。アクアイグニスは以前かつては片岡温泉という名の寂しい温泉宿だった。建設会社を経営していた立花が後継者のいなくなった片岡温泉の債権を引き受けたのは30歳のとき。当時、立花には温泉宿に客を呼び込むアイディアはなかった。そんな中気になったのは、宿で出していた食事。並んでいるのはどこにでもありそうな魅力のない商品だった。立花はこれを改革にヒントにし、美味しいものが食べられる場所にすれば足を運んでもらえると考えた。立花は新たに建設した建物にこだわりの美食を取り揃えアクアイグニスをヒットさせた。そんなアクアイグニスの成功を聞きつけたのは多気町の久保町長。立花を口説き、建設のきっかけを作った。立花は多気町にあった広大な私有地を購入し、海外のある街をVISONの目標にかかげた。スペインのサンセバスチャンは美食の街。立花はスペインに通い多気町とサンセバスチャン市で友好提携を結ぶことに成功。食をキーワードにした街作り研修が行われる一方でサンセバスチャンにある店を誘致。交流も行い、美食リゾートを形に。今でも毎年のようにサンセバスチャン市とイベントを開催し、VISONの魅力を磨いている。
立花は建設会社でアルバイトをしていた時は楽しかったと答えた。また困難だと思うことはどう乗り越えた?については困難は常に沢山あるが乗り越えられないことはないと感じているという。また多気町はスペインのサンセバスチャンと友好の証を結んでいるがサンセバスチャンを口説いた経緯に、サンセバスチャンのシェフたちがレストランの皆と毎月レシピを公開し勉強会をしていたからで、それを20年続けるとどこの店も美味しくなったという。これは地方創生の世界モデルだと感じたと答え、それを学びたいと多気町との姉妹都市を結べないかとお願いしたが当初は断られてしまったという。しかし熱い思いでサインするだけで契約できる書類を渡しなんとか交渉成立になったという。
VISON内にはあずきバーで知られる井村屋も甘味処を出している。人気は贅沢あずきバー 栗と抹茶・いちご。三重県に本社を構える企業として立花が出店を依頼した。井村屋は、伊賀市の酒蔵を事業継承しVISON内に移転させるなどした。またVISONでは米作りにも乗り出し様々な施設に提供。地元の若者の働く場所を増やしている。VISON全体で生み出した雇用は700人を超えた。
福井県の永平寺町にやってきた立花。ここでは何棟もの宿泊施設が建設中。立花はこの場所に宿泊施設付きのレストランを建設予定。また建設材料は地元産にこだわっている。地元の黒龍酒造から依頼を受けたがVISONの成功で様々な地方から依頼が舞い込み、全国四箇所にアクアイグニスを建設している。立花は地域おこしには何も無い場所にここにしかないものを作ると考えないと来てもたえないがそこが原動力になっていると答えた。また雇用について多気町で両親が高齢になり戻って期待と働くひとも増えたという。また地域で協力しあう事が大切だと答え自分だけでなく周りを巻き込み助け合うことが大事だという。
立花が作ったこだわりの施設はアクアイグニス別邸素粋居も美食リゾート。熟成肉と伊勢エビが楽しめる。
村上は今日の総括に地域は食とデザインで変わる、というのは立花氏の考えだ。建物のほとんどが木造で、テナントにナショナルチェーンが一軒もない。コンビニもないし自販機も置かない。代わりに、普通なら店を出さないようなブランドが並んでいる。収録前の打ち合わせで「三重県」の地味さが話題になった。「津」を知らないスタッフもいた。三重は、地味だが、観光スポットは伊勢神宮をはじめとしてたくさんある。海女小屋があると知って驚いたスタッフがいた海女小屋はVISONの中にもある。「食」と「デザイン」で、確かに地域は変わる。とした。
カンブリア宮殿の次回予告。