- 出演者
- 村上龍 小池栄子
オープニング映像。
東京・恵比寿の豆富食堂の看板メニューは豆腐めし。国産大豆100%を店内で手作りされたこだわりの豆冨を醤油風味の甘めのタレで6時間煮込む。1丁丸ごと丼ぶり飯へ。これまでにない新たな豆腐の食べ方がうけている。
コンビニでも、新たな豆腐の食べ方で人気の商品がある。豆腐バーの特徴は硬さで従来とは違う硬い豆腐だという。手軽にタンパク質がとれると2020年に発売すると大ヒットし、累計7500万本売れた。時間節約のタイパ飯としてオフィスでも人気。豆腐バーを作った会社は東京・西新宿。そこにあるのはアサヒコ。創業は1972年で社員数は480人。売上高は126億円。そしてその社長は池田未央。池田は2018年にマーケティング本部長としてアサヒコに入社した。トップとなった今でも社員とデスクを並べて仕事をしている。池田が入社した当時、アサヒコは目立ったヒット商品もなく売上も伸び悩んでいた。かつてはアサヒコに入社する前は20年間は菓子業界で3つの会社を渡り歩きヒット商品を連発。最初のヒットはキシリクリスタル。喉アメとしては異例の10年連続売上1位。さらにメープルシロップを使ったメープルマニアという洋菓子は、東京駅の売上ランキング5年連続1位。まさにヒット商品の請負人。
アサヒコに入社してすぐ、池田は食の多様性などで豆腐の市場が縮小傾向にあると知った。そして重要なことに豆腐の市場は下がっているのにタンパク質の市場は10年で3倍だった。この頃サラダチキンが空前の大ヒット。健康意識の高まりから手軽にタンパク質がとれると人気。大豆を原料とする豆腐もタンパク質が豊富な点に着目した池田は、通常の豆腐とは違う、新たなタンパク原としてアピールしようと考えた。また入社3ヶ月後にアメリカに市場調査に向かった池田は、現地のスーパーである光景を目にする。アメリカの豆腐は硬いと書かれている。柔らかい豆腐が当たり前の日本とは違い、アメリカでは歯ごたえのある硬い豆腐が好まれていた。さらに惣菜売場には、バーベキュー味や甘いごま豆腐や、メープル味のフライなど様々な豆腐料理も。アメリカから帰国すると開発担当者や工場の職員たちに声をかけた。しかし硬い豆腐作りに難色を示したという。社内の猛反対を押し切って開発は池田を含む、たった2人でスタート。パートナーは当時の開発担当の福光。しかし作ったこともなく工場にもそのような機械がなくノウハウもないので困ってしまったと語る。試行錯誤の結果アメリカ視察1年後に試作品が完成。
セブンイレブンに硬い豆腐が売れるよう持ち込みすると、商品化に向け2つの課題をつきつけられた。その一つはサラダチキン並に硬くすること。食べ応えがあるようにとのことだった。もう一つはタレがこぼれないようにすること。そこで豆腐バー専用のラインを開発。通常豆腐は、上下2枚の布で挟んでプレスして成形する。一方で豆腐バーは通常の豆腐よりも強く圧力をかけて水分をギリギリまで抜いていく。プレス直後の豆腐バーは通常の豆腐の厚みが3.5センチあるのに豆腐バーになると2センチに。水分を抜くことで硬い豆腐作りに成功した。次に味付けは一般的に豆腐は煮て味付けをするが、豆腐バーはタレのシャワーを数回浴びせる。さらに、乾燥させ味を染み込ませ最後に製品が液垂れしないレベルまで水分を調整するという。こうして課題をクリア。池田はアサヒコに入社してから2年後の2020年に豆腐バーの開発にこじつけた。豆腐バーはコンビニで販売をスタートするとこれまでの豆腐売場とは違い、チキンサラダ等と同じ棚に並べるよう提案した。豆腐ではなくタンパク質の取れる商品として認識してもらおうと考えたがこれが的中した 発売当初は1種類だったが今では11種類に。豆腐バーのヒットでアサヒコの売上は上昇に転じ、23年には126億円に。池田は四年アサヒコのトップに就任した。
小池は豆腐バーを試食し美味しいと答えた。豆腐バーの味などについて池田はチームの皆でアイディアを出し合っているという。もともとはプレーンタイプから始まったが豆腐屋なので、がんもどきを作るノウハウを持っていて、豆腐に野菜を入れて作るのでそれを使用して野菜系の豆腐バーを作ったりしているという。また忙しい人にも好評で、これを片手に仕事をする人も。また池田は豆腐バーの開発秘話について、誰も話を聞いてくれず自分で硬い豆腐を作ろうと決心したという。ひたすらお湯で煮たり、押してみたり、現地視察した自分の体験を元に作っては見たがなかなか簡単にはできなかったという。また実際商品化に向けセブンイレブンが受け入れたことについては、当初社内では門前払いされると思われていたが、セブンイレブン側は面白いと言ってくれこの一言だけで皆の目の色が変化し協力してくれるようになったという。その時の心境はこのままでは一人では何もできないと思っていた矢先の出来事だったので心強かったという。またお菓子業界を渡り歩いて来た理由には、いろいろなことにチャレンジをしたかったという。さらに開発には試食もあり毎日のお菓子の試食が年齢的に大変だったという。また常識を疑う先入観が今回のヒットにつながったと答えた。
フランス・パリでは10月に池田が訪れたのはSIAL Paris。130の国と地域から7000社以上が出展するヨーロッパ最大級の食品の見本市。豆腐バーは海外でも販売されているが、シンガポール、香港、台湾でも販売を開始した。その勢いで次に狙うのはヨーロッパの巨大市場。池田はこの日のために新商品を用意していた。スモーク豆腐バーは燻製した商品でワインにあうように作ったという。
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豆腐バーでヨーロッパ市場の進出を狙うアサヒコの池田。外国人向けの新商品のスモーク豆腐バーを開発しPRした。味の評価は上々だったがかじりつく食べ方に関しては試食した外国人は食べ方に抵抗を感じているようだった。
またアサヒコが始めている新事業ではやよい軒では大豆ミートを使ったしょうが焼きを販売している。原材料が大豆なので脂質を抑えて植物性のタンパク質を取ることができ、肉に近い食べ応えで満足感が得られる。他にも大豆ミートの野菜炒めやナス味噌など、やよい軒では3種の大豆ミートを提供している。アサヒコが今大胆に進めているものはぜんぶとうふ化作戦。池田は日常にあるものを豆腐に置き換え、チョイスしながら食生活にあわせて選べるようにし、植物性タンパク質を取れる機会を増やしてほしいと語る。すでにスーパーなどでは、大豆ミートを使用した料理キットを展開し、焼き肉やしょうが焼き、エスニックのガパオライスや豆腐にミートソースをかけるグラタン風のメインディッシュや豆乳で作ったプリンのようなデザートまでフルコースを展開する。
さらにアサヒコでは1歩先を見据えた新商品を開発中。液体のようになった飲む豆腐は、通常の豆腐よりも吸収が早く、栄養素を取り込みやすいためにスポーツ時の栄養補給や災害時の非常食など新たな新市場を開拓しようとしている。
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池田は飲む豆腐について皆が持ち運びできるような飲める豆腐が常温であったらいいのではと考えたという。将来的には宇宙で食べられる豆腐があるのではろ思って開発しているという。また災害時にも助かると答え、タンパク質がたりなくなるのでどの年代の人にも食べられると答えた。池田はまた社長ながら商品開発なども社員と行っているが、新しいアイディアを思いついた時に最初はみな乗り気ではないが自分でどんなものを作るか、どこに行くか自分で海図を作るようにし、皆がちゃんと船にのれるようになると答えた。
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現在の豆腐の平均単価は88円。お手頃価格が消費者に根付いているためにメーカーとしては値上げしづらい状況に。
アサヒコの池田は青森へ。現在開発している新しい豆腐に使う大豆を自分の目で確かめにやってきた。おおすずは風味が豊かで大粒なのが特徴。タンパク質が多く含まれていて豆腐に適しているという。この大豆を使って池田が作ろうとしているのはクラフト豆腐。原料にこだわり、職人の腕を使ってアサヒコにしかできない美味しい豆腐を作りたいという。その作り方にもこだわりが。にがりの量や豆乳の濃度などを1から見直し1ランク上を目指すのがクラフト豆腐。その狙いは低価格に据え置きされた豆腐の価格の現状をかえること。品質の良さをスーパーのバイヤーにアピールし、値上げを認めてもらおうという。その評価は上々で話し合いの結果、容量を減らして手に取りやすい価格を維持している。
池田は豆腐の価格についてクラフト豆腐を作り、今の価格から10円、20円アップして販売したいと思っているという。大豆農家や容器を作る会社があって、いろいろなバトンを引き継いで豆腐にしているので自分たちが値下げするとそういう人たちに適切な代金を支払うことができなくなってしまうという。
村上は今日の総括に入社3ヶ月後に米国へ出張。豆腐が硬さごとに売られていて、調理法を変えていた。帰国してすぐに「硬めの豆腐」を、社内では「意味不明」。硬くするという発想に対しては「豆腐を冒涜する」。池田さんは、豆腐は素人。だが熱意は本物。協力者が現れる。しかも次々に現れる。にがりの量や豆乳にいれるタイミング、かき混ぜ方も変え、実験に明け暮れた。セブン・イレブンが興味を示し、20年に「豆腐バー」を発売。7500万本売った。控室に女性スタッフ数人がいた。夢を共有する仲間だ。夢は「宇宙」だ。とした。
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- セブン&アイ・ホールディングス池田未央
カンブリア宮殿の次回予告。