2024年12月4日放送 19:30 - 19:57 NHK総合

クローズアップ現代
世界の心をとらえた! 日本の酒造り 無形文化遺産へ

出演者
赤木野々花 
(オープニング)
世界の心をとらえた!“酒造り”無形文化遺産へ

日本の伝統的酒造りがあす、ユネスコ無形文化遺産に。こうじ菌を巧みに利用する職人たちの技術が評価された。今、酒を飲むだけでなく酒造りそのものに新たな魅力を感じる人も増えている。1000年のときを超えて継承されてきた日本の酒造りの可能性に迫る。

キーワード
無形文化遺産赤坂(東京)青梅(東京)
オープニング

オープニング映像。

世界の心をとらえた!日本の酒造り 無形文化遺産
世界の心をとらえた!“酒造り”無形文化遺産へ

ユネスコ無形文化遺産は文化や技術など何世代にもわたり受け継がれてきたものを後世に残すために登録するもの。ベルギーのビール文化やジョージアの伝統的なワイン製造、日本の和食などが選ばれている。そこに明日、日本の伝統的酒造りが加わる。評価されたのはこうじ菌を操る職人の技術。

キーワード
無形文化遺産

先月、今年の新酒造りを始めた茨城県大洗町の酒蔵。米のうまみを引き出した日本酒で全国に知られている。酒造りを指揮する杜氏の石川達也さんは日本酒造杜氏組合連合会の会長を務める業界の第一人者。酒造りは米を蒸すことからはじまる。水分を含ませて加熱した蒸米がこうじ菌の土台となる。こうじ菌を米1粒1粒に振りかけて繁殖させる。こうじ菌を育てる上で杜氏が気を配るのは温度変化。30℃台でスタートし、2日かけて40℃台にまで上がると良い状態とされている。積み替えたり、酸素を与えるためにかき混ぜたりという作業をどのタイミングで行うかが杜氏の腕の見せどころ。48時間後、米全体が繁殖したこうじ菌に覆われこうじになった。こうじが発酵の元になり酒がつくられている。

キーワード
大洗町(茨城)日本酒造杜氏組合連合会月の井酒造店

酒造りに欠かせないこうじ菌。このこうじ菌を代々受け継いできた助野彰彦さん。300年以上前創業した種こうじ屋の社長。種こうじやもやという名で流通してきたこうじ菌、ここでは酒や味噌など用途に合わせて25種類を扱い、約2000の企業などに販売している。こうじ菌は酒蔵などに自生していたというが、種こうじ屋はそれ育てる特別な技術を持っていた。年月を経過するごとに活動が低下するこうじ菌、その菌を絶やさないために植え継ぎを続けてきた。こうじ菌を定期的に培養し、その中から質の良い胞子を保存する。こうした作業を繰り返すことで現代にこうじ菌を継承してきた。

キーワード
東山区(京都)

日本の伝統的酒造りがあす、ユネスコ無形文化遺産に。吉田類さんは職人の感は何ていう想像力だろうと思うと話した。日本酒は世界に類をみない、米を使うのでこうじを使った糖分を作り出す、それを発酵させアルコールとなる。今田周三さんは科学技術がわからなかった時代に先人の知恵を感じると話した。和食が2013年に無形文化遺産に登録されてから、海外の日本食レストランは10年で3倍に増えて人気となった。酒造りが登録されると、海外の人が日本酒の本質を知るきっかけになる。国内の日本酒の消費量は1970年代をピークに減少している。人口減少やアルコール離れもあるが、酒蔵の数も減少している。

キーワード
無形文化遺産
逆襲の中で…酒造りの新たな可能性

福井県で去年9月に完成した酒蔵。地元で200年続く酒造会社と香港の企業が資本提携して建てた。つくられているのは輸出専用の日本酒。海外の人の好みに合わせて酒をイチから作った。酒造会社の社長・吉田由香里さんは海外に販路を拡大したいと考えた。香港側からは苦みを取り除いてほしいとの要望があった。これまでにない酒を作るために杜氏が試行錯誤すること2年。たどり着いたのは仕込みの際に乳酸菌を加えるという新たな手法。苦みを感じにくいスッキリとした酒を作ることに成功した。価格は国内向けより高い16,500円に設定。それでも海外の高級レストランやホテルとの契約が決まり、今では5か国に輸出している。さらに、新たな蔵では働き安い環境作りを徹底。蒸米など重いものを台車で運べるように蔵の中をバリアフリーにしたり、温度はセンサーで管理するなどして深夜の作業をなくした。一方で、日本の酒の要であるこうじ造りの伝統は残していきたいと考えている。

キーワード
シンフォニー吉田酒造バンコク(タイ)永平寺町(福井)

若者たちを引き付ける新たな酒も生まれている。先月、秋田県で行われたイベント。訪れた人たちの目当てはクラフトサケ。福島県でクラフトサケを作っている佐藤太亮さん。クラフトサケは日本酒を作るのと同じ工程で、ハーブや果物、スパイスなどの副原料を加えて一緒に発酵させている。日本酒ではなくその他の醸造酒として扱われる。日本酒を作るには製造免許が必要だが、新たに取得するのは難しい現状がある。そこで、佐藤さんが目をつけたのがクラフトサケだった。副原料にしているのは地元の山でとれる樹木や草花など。カカオを入れたサケもある。佐藤さんのアイデアの源は日本各地に伝わるどぶろく造り。佐藤さんの酒蔵には自由な発想の酒造りに惹かれて若者たちが集まっている。

キーワード
haccoba浪江町(福島)男鹿(秋田)
逆襲の中で…酒造りの新たな可能性/どう守る?どう変える?酒造りの伝統と革新

クラフトサケ、苦みを抑えた輸出専用の日本酒を試飲。今田周三さんは海外向けに形を変えることは、消費者が求めるものを作るのは生産者として当たり前のこと、作る環境も時代とともに変わってきている、現代技術を屈指しながら効率化していくこともい大事だと話した。酒蔵ツーリズムに参加している吉田類さんは、建物が面白い、建物全体が博物館のようだと話した。今田周三さんは伝統を残すためには、日本酒の伝統が最終的には問われるものではないかと話した。

キーワード
無形文化遺産
“これまでにない焼酎を” 偶然見つけたこうじ菌で…

鹿児島で130年以上前から芋焼酎を作っている酒蔵。4年前、原料の米に偶然あるこうじ菌が生えているのに気づいた。蔵で見つけた3色のこうじ菌を使って、これまでにない焼酎造りに挑んでいる。1000年のときを超えて日本の酒造りの可能性は広がっている。

キーワード
中村酒造場霧島(鹿児島)

© 2009-2024 WireAction, Inc. All Rights Reserved.