2024年3月20日放送 4:55 - 6:00 日本テレビ

世界コトノハ紀行
〜先住民の誇りをたずねて〜

出演者
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(オープニング)
オープニング

アイヌ民族にルーツを持つ女性が世界の少数民族を追ってサーミのいるノルウェー・マオリのいるニュージーランドを訪れ、彼らが受けた歌うことさえ禁じられるという迫害や大切にしてきたものを言葉とともに探っていく。

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(世界コトノハ紀行 ~先住民の誇りをたずねて~)
北海道平取町 二風谷

北海道平取町の二風谷ではアイヌ民族の儀式が行われていて、チプサンケという新しい船をおろす年に1度の行事を観光客ら多くの人が観覧していた。アイヌ民族はかつてはサハリンや千島列島だけでなく東北北部に生活圏を持ち、海外とも交流してきた民族でこの世のあらゆるものに魂が宿ると考えながら暮らしてきた。関根摩耶さんもその一人となっていて、教育委員会に努めながらアイヌ語の普及に務めている。母・真紀さんはアイヌ紋様を用いた工芸品などを手がけ、祖母の貝澤雪子さんも二風谷の工芸家として叙勲を受けている。アイヌの工芸品は国内外から注目される中、摩耶さんは外に向けてアイヌを発信していきたいと話している。

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アイヌサハリン二風谷(北海道)千島列島
ノルウェー トロンヘイム

摩耶さんがまず向かったのはノルウェーで、ここにはフィンランドやロシアなどの北部にもまたがってトナカイの放牧を中心に暮らしてきたサーミが住んでいる。サーミも美しい工芸品を手掛けることで知られている。トロンヘイムはカラフルな飾りも広がる様子が見られる街となっている。バイキングの故郷でもあることから白樺のコブから作る伝統的なククサというコップもみられコーヒーにトナカイの肉と脂を合わせてサーミの人は楽しむのだという。

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コーヒーサーミ族スウェーデントナカイトロンヘイム(ノルウェー)フィンランドロシア白樺
ノルウェー スノーサ

トロンヘイムから北東に来るまで3時間という場所にあるスノーサでは役場や病院などにノルウェー語とともにサーミ語が併記される様子がみられる。摩耶さんは去年まで通っていた慶應大学ではアイヌ語のレクチャーを行い、文化や言葉が失われることへの危機感も有りSTVラジオでは「アイヌ語ラジオ講座」を担当してきた。アイヌ語はユネスコも消滅の危機がある言語として伝えているが、日本の学校教育で学ぶ機会もほとんど無く、アイヌの人の中でアイヌ語での会話ができる人もわずか0.7%となってしまっている。サーミの人たちも19世紀後半から北欧諸国の同化政策から独自文化を奪われていった過去を持つ。サーミ族の子どもたちはノルウェーの学校ではノルウェーの言葉を話しているが、週末にサーミ語を学ぶ場が設けられているのがという。教えているライラさんはノルウェー人だがサーミ語に興味を持ち講座を開けるまでとなったが、少数しか使わないもののこれを守っていくことは意義のある仕事であり言葉が美しいと話し、大切にしている言葉は「リアラッツ」(学ぶこと)だという。夕食は羊や牛肉を煮込んだ伝統のスープを頂くと、摩耶さんもアイヌの汁物「オハウ」や鹿肉料理「ユクカム」などを振る舞い、ライラさんからはサーミの人に欠かせないトナカイの肉が振る舞われた。トナカイという名前はアイヌ語のトゥナハカイが訛ってトナカイになったという。

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ノルウェー ハットフェルダル

ノルウェーのハットフェルダルへ。ここではサーミの文化を学んだり結びつきを強めるための短期セミナーが行われていた。摩耶さんは11名の子供たちと一緒にサーミ語やアイヌ語でじゃんけんを学んだ。さらに摩耶さんはアイヌ民族に伝わる伝統楽器「ムックリ」を子供たちに手渡した。鳴らし方は子供たちに任せるという。摩耶さんが正解の鳴らし方を披露すると、子供たちは不思議な音に興味津々だった。翌日のキャンプでは、子供たちがサーミの伝統的な住居の設営やトナカイを捕まえる投げ輪の練習などを行っていて、先生いわく子供たちにサーミのアイデンティティーを教えるために重要な授業だという。

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ノルウェー トロンヘイム

ノルウェーのトロンヘイムへ。キリスト教の教会・ニーダロス大聖堂は、ノルウェーで最も壮麗なゴシック建築と称えられている。キリスト像の脇には2017年にサーミの人々によって製作された礼拝堂があり、サーミの人々が考えるキリスト教の世界観を表現しているとのこと。サーミは長い歴史の中でキリスト教に強制的に改宗させられたという。

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ノルウェー ヘムネスベルケット

ノルウェー・ヘムネスベルケットへ。サーミの工芸家・ヨーンさんが見せてくれたのは「ドラム」で、サーミにとっては今後の行動などを占うことに用いられたという。昔からあったドラムは異端の象徴として燃やされてしまい、今はほとんど残っていないとのこと。そうした中でヨーンさんは現代のドラムを製作し、かつ街に残されたサーミ語を集めて学んでいるという。摩耶さんは自身が聞いてきたアイヌの歴史とサーミの歴史が重なることを感じたとのこと。そして摩耶さんはサーミのアイコン的存在であるマヤさんにインタビュー。マヤさんはトナカイの放牧をしながら、サーミ議会の議員としてサーミの土地を守る活動などを行っているという。マヤさんは「問題解決の場の中心にサーミがいることが非常に重要」などと話した。

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ニュージーランド ウェリントン

ニュージーランドは日本とほぼ同じ面積で人口は510万人となっていて、ラグビーの際に行われるハカで知られるマオリは1000年ほど前にミナミ太平洋諸島から船で上陸し全人口の15%を占めている。50年ほど掛けてマオリ語は復興が進み、公用語としても認められるまでとなっている。ニュージーランドの首都・ウェリントンは彫刻がアートに展示される様子が見られ、マオリのピクトグラムが信号機には飾られていて、ショップにも伝統の品が飾られている。マオリの工芸家を要請する事業も行われていて、授業料を免除して生徒の作った工芸品を販売し、販売された工芸品は運営費にあてられ未来の工芸家を育てる土壌となっている。ニュージーランド国立博物館ではマオリの歴史や文化を特集したスペースが幅広く行われている。独自の楽器も存在し、プトリノという楽器は男性・女性の声や授かった子どもの声を表現しているのだという。摩耶さんはアイヌのデザインも博物館に残されていることに感銘を受けていた。マオリの学芸員として文化の保護にあたっているアイザックさんの大切にしている言葉を聞くと「ファトゥ」(ひとつに紡ぐ)と話し、物事を一つにまとめるという意味でも使われるのだという。

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ニュージーランド ムルパラ

ウェリントンから北へ来るまで3時間の場所にあるムルパラはマオリが多く暮らす街となっていて、ポフィリという歓迎の儀式で摩耶さんを出迎えてくれた。ハカは敵と対峙する時だけでなく、おもてなしや結婚式・葬式など様々な場面で披露されている。ここターフィウアウ学校は小学生から高校生まで約90名が学び、マオリ語のみで授業が進められるのが特徴となっている。20年ほど前から二風谷・平取高校と交換留学を行っていて、卒業生で先生たちをサポートしているカレエラさん・ペラニコさんも摩耶さんの住むホームステイしていたこともあるのだという。カレエラさんはアイヌ語を使う学校ができるようになれば更に交流を深める事ができるのではないか、アイヌの踊りや歌とコラボすることもできるようになるのではないかと話していた。マオリ語の歌も多彩となっていて、文化がクールと認識されるようになってきているという。ニュージーランド政府は2025年までに国内の全ての学校にマオリ語の授業を導入する計画となっているという。

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摩耶さんがニュージーランドにホームステイした際にホストとなってくれたテウルロア夫妻の元を訪れることに。マオリの言語復興などに携わていて、妻・エラナさんはタ・モコという唇からあごにかけていれるマオリのタトゥーをいれる様子を見せていた。摩耶さんはマオリの復興について聞いてみると、テウルロアさんはタトゥーや言語などマオリの文化は取り戻されつつあると振り返り、エラナさんは先住民族として成功しているように見えるがマオリ語について教育を受けているのは全体の10%程度となっていて更に増やす必要があると言及している。2人の大切にしている言葉は「ファナウ ファナンガ ファナンガタンガ」(家族 親族 人々との絆)だという。2つの旅を経て摩耶さんは先住民という言葉は使い方に迷ってしまう言葉となっているが、今回の旅では先住民という言葉は自分を鼓舞してくれ、家族やルーツに感謝できたと振り返った。そして、別れを前にするとアイヌ語とマオリ語を織り交ぜて作られた「アイヌモシリ」という歌で摩耶さんが見送られる様子が見られた。

キーワード
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(エンディング)
エンディング

ノルウェー・ニュージーランドでまっすぐに生きる人達と、彼らから拾い集めたいくつもの言の葉は枝を離れた木の葉が大地につもり豊かな森を作っていくとまとめられた。

キーワード
ニュージーランドノルウェー

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