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オープニング映像。
六本木ヒルズから大通りを少し歩いた先にある鳥居坂。そこにあるのは大谷石のレンガがクラシックな雰囲気の、正面外観。この建物をみるベストポジションは裏側にある。その庭園から振り返ると今日の作品の国際文化会館が。1955年竣工の地上3階建て、地下1階。宴会場や宿泊施設、レストランなどを備え広々とした日本庭園に面している。日本建築学会賞を受賞したモダニズム建築の記念碑的建物。この場所の利用者について元支配人の芦葉さんはこの場所は会員制の施設で、戦後始めて民間の国際交流団体として知識人、要人が利用していた。国際文化会館では、国内外から招かれた著名人の公演を聴くことができる。かつてのオッペンハイマー博士も登壇した。国際文化会館について、鯵坂さんはその建築家を前川國男、坂倉準三、吉村順三としたが当時の建築がビッグスリーだったという。
国際文化会館を手掛けた建築家は前川國男、坂倉準三、吉村順三。前川國男の代表作は神奈川県立音楽堂。水平垂直な力強い構造になっているという。坂倉準三の代表作は旧神奈川県立近代美術館。繊細で美しいプロポーションの建築になっている。吉川順三は旧園田高弘邸などモダンな空間に和の空間を融合させた建築家。3人には深いつながりがあり、前川と坂倉はフランスに渡り、建築会の巨人のル・コルビュジエに弟子入してモダニズム建築の基礎を学んだ。帰国後に前川は日本に戻り、日本にモダニズム建築を広めたアントニン・レーモンドの元で研鑽を積んだが、そこで吉村も働いていた。
国際文化会館を手掛けた建築家は前川國男、坂倉準三、吉村順三の3人がどこをどう手掛けたのかを田中が推理。まずはエントランス。田中は前川としたが正解した。次に階段は木の手すりのアールが美しい繊細なプロポーション。田中は坂倉とした。次に宿泊施設は海外からのお客に人気でフル稼働しているという。田中はここを吉村とした。
国際文化会館を手掛けた建築家は前川國男、坂倉準三、吉村順三の3人だが、次の問題は建物外観。誰が手掛けたか?について田中は坂倉と前川と予想した。しかし外観を作り上げたのは坂倉だけではないという。木枠や、深いひさしを取り入れた日本の伝統家屋のデザイン。合間に露出した柱には型枠でコクリートに木目模様が。和の雰囲気をたたえた美しさで、それは3人の力があわさって生まれたと推察できる。
国際文化会館は、戦後の日本が世界各国との交流を進めるためにジャーナリストだった松本重治が発案し、アメリカのロックフェラー財団の援助で作られた。設計者として候補にあがったのは前川國男、坂倉準三、吉村順三の3人。それぞれが案を提出した。しかし、どれがいいかと決められない状態に3人が共同設計すると伝えた。1953年に設計がスタート。各事務所から若手が集まりビッグスリーの指示を仰ぎながら図面がひかれていった。3人がばらばらにやってきてそれぞれ違った指示を出すために何度も修正が繰り返された。しかも決定には3人の承認が必要だった。結局設計には予定をはるかに超える時間が費やされたがそのこだわりが最後に調和を生み出した。その建物に惚れ込んだのはデザイナーの皆川明さん。
国際文化会館にある椅子は誰が手掛けたのか?田中はその予想に吉村順三としたが不正解。正解は坂倉準三の建築研究所。滑らかで繊細な曲線が決めて。吉村順三の作品は眼の前にあり、ソファも吉村が手掛けた。籐で編んだゴミ箱は前川國男が手掛けたという。
国際文化会館の池に張り出したレストランはレストランSAKURA。この日のメニューは国産牛ヒレ肉のグリル ボルドレーゾンソース 旬の温野菜添え。田中が実食した。水面に浮かぶ設計は吉村順三。寝殿造りの釣殿を取り入れて庭園とうまく調和。この庭こそがすべての始まり。
東京・北区にある旧古河庭園は回遊式の庭で、数々の名庭園を生み出した伝説の庭師の7代目小川治兵衛が手掛けた。その小川治兵衛が国際文化会館の日本庭園も造園していた。戦前、ここは三菱財閥4代目の岩崎小彌太の大邸宅だったが昭和20年に東京大空襲で建物が消失し庭だけが残っていた。戦後復興を果たしつつあった日本。国際交流の舞台となった建物は日本人に勇気を与え励ましとなるものであってほしいと前川國男、坂倉準三、吉村順三の3人は強い思いを共有していた。それが最もわかる場所はレストランの屋根の上。モダンな建物に屋上庭園が。土地の起伏を利用して庭から動線をつなげ建物との一体感を生み出している。完成してまもなく師でもあったル・コルビュジエが国際文化会館を訪れた。弟子たちが手掛けた想像を超えるモダニズム建築に目を見張ったという。屋上にも見どころが。
国際文化会館の屋上に旧エレベーター機械室が。ル・コルビュジエの集合住宅のユニテ・ダビタシオンとよく似ている。
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