2025年8月31日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
小泉農相に問う 新米価格は コメ政策は

出演者
山下毅 上原光紀 
(オープニング)
オープニング

新米の収穫が始まった。農林水産省は生育はおおむね順調に推移していると評価。すでに店頭での販売も始まっている。高騰していた米の価格を抑えようとはじめられた随意契約による備蓄米の販売は今月末までとなっていた販売期限が延長されることになった。新米の流通で米の価格はどうなるのか?

キーワード
小泉進次郎農林水産省
(日曜討論)
ことしの新米の状況は/新米の価格は?

コメの収穫時期は9月後半~10月前半にかけてがピーク。農林水産省はコメの生育状況について、おおむね順調に推移していると評価。小泉農相は猛暑の中で農家の皆さんが頑張ってくださっている、ここまで熱いと最後まで注視しなければならいと考えている、新米は高い水準になっている、備蓄米は新米とはまったく違う、消費者と農家のことを考えなければならない、などと話した。鳥取の農業法人代表の徳本修一さんはは、近年は夏が熱く干ばつが厳しい中で、品質にどのくらい影響がでるかは注視している、カメムシの影響も大きくなってきていると話した。福岡で農業を英む古野隆雄さんは、現時点では順調だが、熱さの影響はまだわからないと話した。日本国際学園大学教授の荒幡克己さんは、今年の新米はまずまずだと思うが、令和5年の高温障害を元に試算をしたがそれほどの影響はないように思える、価格については流通業界では品薄感が残っているように感じると話した。東京大学大学院教授の安藤光義さんは、収穫してみないと分からない点がある、猛暑の影響は注視したい、トータルの米市場を把握していかなければならないと思うと話した。今年は各地で概算金の引き上げの動きが広がっている。安藤さんは、予想していたよりも高めになっている、民間業者がかなり買いにきている、それに対抗して大きく値段を上げているのではないかとした。小泉農相はJA全中・山野徹会長と会談し、概算金のことも含めてこれからのシーズンに向けお互いよく注視していかなければならない局面だとした。小泉農相は価格はマーケットが決めるもの、概算金が高く出たということは農家の皆さんにとってはホッとしたことではないか、高ければいいということではない、米の消費が減っていることもある、海外からの輸入が増えていることも懸念される、アメリカの米は2000倍も増えている、高い関税を払ってでも国内の米よりも安い、日本の国産米マーケットシェアが落ちていることは食い止めなければならないなどと話した。

キーワード
カメムシ全国農業協同組合中央会山野徹日本国際学園大学東京大学農林水産省

古野さんは価格の高騰は急な話し、農家は原価割れしている、5キロ3000~4000円ぐらいが適切価格ではないかと考えている、消費者からしたら高いと思うが生産しなければ買えないとした。徳本さんは、農家が原価をどれだけ作れているかが重要、概算金が原価割れする状況が何年も続いていて、持続可能ではなかった、これからは米原価・適切利益はいくらののかが概算金の設定にならなければならないと話した。安藤さんは消費者側からすると安い方がありがたいが、その後の流通のマージンがどれだけあるのかも考えなければならないなどと話した。小泉農相は流通の見える化は不可欠、価格高騰の一因のひとつには農水省の責任があったことも間違いない、米の流通が多様化して多角化している時代にそれを十分に捉えきることができなかった、価格形成のあり方についても理解を広げていかなければならないと話した。

キーワード
農林水産省
備蓄米の販売は

高騰していた米の価格を抑えようと農林水産省は5月以降、随意契約での備蓄米の売り渡しを始めた。以降、コメの平均価格は下落傾向が続いてきた。随意契約の備蓄米は当初、今月末までに売り切ることが求められていたが、農林水産省は期限を延長し9月以降も販売を認めるとした。政府の備蓄米の在庫は3月末には96万トンだったが、今月28日時点では29.5万トンまで減っている。小泉農相は、備蓄米販売延長について、備蓄米の2000円じゃないと買えない方がいる、価格高騰が安定化していない中でで価格高騰の引き金を引いてしまうのではないかとも考えたという。安藤さんは備蓄米があり、ブレンド米、銘柄米、輸入米の4つの品があるなかでどうやって価格の安定化をするのか難しい舵取りを迫られているように思うとした。徳本さんは、備蓄米については農家からしたら最初は驚いて価格介入だと思った、今後備蓄米が全体の相場にどう影響するのか注視しているとした。古野さんは備蓄米放出は消費者に向けたもので正しい判断だったと思うが、今後はずっと備蓄米を放出するのではなく、本来の形で生産を整えることはしなければならない話した。荒幡さんは、生活必需品が不足した場合は多少過剰感を演出するぐらい認知することが重要だと考えている、公共政策として正当化されるものだと思うなどと話した。小泉農相は備蓄米の放出は日本経済成長のためのつなぎのような位置づけだと考えていただきたいと話した。

キーワード
農林水産省
輸入米をどう考える

コメの価格高騰の中で急速に増えたのが民間でのコメの輸入。輸入米増加について、古野さんは日本でできるものを日本で作って日本で食べるという原則の根幹にあるのが米だと思うと話した。徳本さんは、米高騰の中で輸入が入るのは当然だと思う、日本の農家が生産性をどう高めていくのか重要、今後米農家が輸出することもありどうやって競争力を高めていくのかも重要だとした。荒幡さんは、高くなれば外から入ってくるので競争力を高めることは重要であり不可欠だとした。安藤さんは輸入米に戦えるだけのコストで国内産米を作っていかなければならないとした。小泉農相はこのコストだと消費者に商品を届けられないとなったらおのずと外国産の米が入ってくることになる、競争力を高めるため工夫や付加価値をつけることに対しての政府の支援・後押しは必要だと感じていると話した。

コメ“増産”をどう考える

農林水産省は今月5日、コメ価格高騰の要因の検証結果を公表した。生産量が需要量を下回っていたことを認めた。農林水産省は生産量の不足に加え、備蓄米放出の遅れて価格高騰を招いたとの認識を示した。石破総理大臣は今月5日、コメ増産にかじを切る方針を打ち出した。農地の集約・大区画化、スマート農業などを進める方針。日本のコメ制作は長年、コメが過剰になることへの対処に力点が置かれてきた。これが2018年までに行われてきたコメの生産調整、減反政策。コメの生産量目標を割り振り、転作に補助金を出したりしてきた。小泉農相は、コメの消費が減ると考えられてきたがそうではなかった、効率的な農地を作ることができて少ない人手でも供給力を出せればいいが、間に合わなかった場合は作る人が足りない、供給力の基盤が失われかねない、作りたい方には作っていただくというメッセージを早く伝えなければならないとした。安藤さんは増産が具体的に何を示しているのか気になる、これまでの柱を崩さないでほしいという方もいるのではないかした。荒幡さんは、政策転換で増産はできるのかについて西と東で大きく違う、格差が増々開いている、需要に応じた増産というのが大事だと話した。古野さんはすぐに増産できるのかという問題、小さな農家も含めて考えていかなければならない、バランスが大事だと話した。小泉農相は、次世代に向かって人手不足の中でも効率よく農業を営めるようにしていかなければならないなどと話した。徳本さんは、高齢化で本当に人が減っている田んぼが流動してくる、集積して合筆して基盤整備をやらんたいと日本の農業が陥没すると話した。

キーワード
石破茂農林水産省
今後の農業予算は

農林水産省が来年度予算の概算要求に盛り込んだ主な事業の1つが農地バンクの機能強化。農地を一時的に預かって集約し、希望者に貸し出す事業。もう一つが収入保険の予算の増額、生産者の収入が減った場合に一定程度を補填するもの。転作して生産者への交付金は継続されている。小泉農相は、農地バンクのポイントはまとめていかなければ人手不足が進む農村地域は守れない、収入保険を改善して加入者を増やして経営安定につなげる狙いがある、などとした。安藤さんは、収入保険は売上の保証なので、資材価格が上がって手取りが減ることへのリスクに対する課題が残っている、などと指摘した。小泉農相は、基盤整備を充実させてより少ない農家の数でも農地・農村が回っていくようにすることが大事だとした。

キーワード
農林水産省
今後のコメ政策・農業は

コメの需要は全体としては減少傾向にある。徳本さんは増産というキーワードにはワクワクしている、戦後の農政の転換期に生産性を高めていくチャンスだと思っているなどと話した。古野さんは、小さな農家はいらんもんと言われている、農家がどう感じているかの現実があることは忘れないでほしい、多くの人に希望がある農家政策をするべきだと思うとした。荒幡さんは日本は面積あたり収量があまりにも低いといことを指摘した。安藤さんは、将来のための投資ができる安定した経営環境を整えていただくことが生産者にとっては一番重要だと思う、などと話した。小泉農相は必要な対応はこれからもやるが、最終的には日本経済を強くする中で政府全体として物価対策を進める必要性が求められていると話した。

(エンディング)
エンディング

エンディングの挨拶。

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