- 出演者
- 伊藤雅之 上原光紀
参院選後の政治状況について。待鳥さんは「最近15年の日本政治が示してきた安定が崩れた転換点」などと話した。谷口さんは「情報環境の整備が進み、今まで投票に行かなかった人たちが投票に行くようになった」などと話した。
去年の衆院選で与党は過半数を割り込み、衆議院で少数与党となった。そして先月の参院選でも過半数を維持できず、与党は参議院でも少数となった。自民党中心の政権が衆参両院で過半数を割り込むのは1955年の結党以来初とのこと。一方で躍進したのが国民民主党と参政党。国民民主党は改選4から17議席に、参政党は改選1から14議席にそれぞれ議席を増やした。
諸富さんは「減税を求める国民の声が過半数を占めたと解釈できる。広がる格差や政府の財政支援に対する有権者の不満をすくい取った政党が議席を伸ばした」などと話した。阿部さんは「参政党と国民民主党が新たな政治の担い手として期待された結果。また既成政党が有権者の不満をすくい取れなかったとも見れる」などと話した。待鳥さんは「新興政党が議席を伸ばした背景はもう少し分析する必要があるが、既成政党が有権者の不満をすくい取れなかったことは背景にあると思う」などと話した。谷口さんは「右から左まで様々な意見を主張する政党が増えた。有権者も自分の関心のある話題で投票先を決めている。だから多党化・分散につながった。また今はタイパ重視なので有権者はマスメディアよりもSNSで情報を収集している」などと話した。待鳥さんは「参政党の発言は批判もあったが裏を返せば熱心な支持者がいるということ。建前ではなく本音で語る政治家・政党を求める有権者が多くいた」などと話した。阿部さんは「新興政党の支持者は就職氷河期世代の人が多い。この世代は政治への期待感が薄く支持政党がいない人が多い。そこに新興政党が訴えかけて票を伸ばした」などと話した。待鳥さんは「参政党は草の根運動からSNSまで幅広い戦略で支持を集めてきた」などと話した。阿部さんは「地方では孤立感を抱えている人が多くそこに参政党の主張が刺さったのではないか」などと話した。
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国民民主党の議席増について。谷口さんは「組織的な選挙戦とSNS運用の両方を上手く組み合わせて票を伸ばしたのではないか」などと話した。待鳥さんは「国民民主党は組織など強い支持層だけに頼らずSNSの活用などで新しい支持層を増やした。公明党・共産党のように強い支持層に頼るだけでは選挙に勝てない時代になっている」などと話した。
与党の議席減について。諸富さんは「連合などの組織が支持を支えるという構造が崩れてきている。今後は現役世代に向けた社会保障のあり方などを議論すべき」などと話した。谷口さんは「各党が様々な福祉政策などを訴えて票が割れた。また新興政党が分かりやすくインパクトのある主張を行ったため既成政党の存在感が薄くなった」などと話した。立憲民主党について諸富さんは「立憲民主党は財政規律を重視するのか減税賛成なのか最後までハッキリしなかった。それ故に支持が伸びなかった」などと話した。日本維新の会について阿部さんは「変容するリベラル層の支持を関西では取り込めているが全国的に見るとあまり取り込めていないのではないか」などと話した。
選挙で示された民意は。諸富徹は「経済不安に対し政治が手当てしきれなかった部分に対し、既存の社会保障制度額を守って現役世代に対する投資が薄く、そこを変えてくれというメッセージとして受け取るべき」と指摘。投票率の上昇について待鳥は「結果がわかりきっているわけではない選挙は面白そうだから行く、という要素があるのは確か。しかしそれは期待なのか、政治家が選挙で落ちるのを見て溜飲を下げるという面白さなのか。今回の選挙を通じて考えなきゃいけないことだと思う。突き詰めて今後の政治教育の場に活かしていくことが必要になる」と指摘。谷口も「日本は日常的に政治的議論をする社会ではなく、本気で民主主義の主権者教育をやってもこなかった。知らないままいきなりネットの世界で『面白いから、盛り上がってるから参加する』というあり方は危惧を抱かれているところ」と同調。また地域別の投票率の集計結果については「大都市部の方が学校が熱心に主権者教育を行い、10代がトップに出てくる状態。『意識高い系』の若者が都市部に多く、それと従来型の投票率が高い地域とが混ざった結果だと思う」と分析。
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少数与党・多党化で政治はどう変わるのか。おととい臨時国会が召集された。新たな議長などを選出するほか、野党側はガソリン税暫定税率廃止法案を共同提出。与野党6党は実務者協議を開始、“秋の臨時国会を念頭に今国会閉会後も議論していく”とされた。今後政権の行方が不透明で先が見えない状況。谷口氏は弱い連立与党が政策ごとに様々な野党と協力しながら進めていく、分極的な多党制になっていくと分析。待鳥氏も連立拡大がバランスが取れてると述べた。55年体制下における左右イデオロギー対立の時代は終わり、有権者の個々の関心に基づいた連立が組まれていくことになる。しかし連立の枠組みは有権者には選べない。はっきりしない政権になる可能性が高い。一方、経済成長、安全保障といった長期的な課題への対応については、諸富氏が政党間が協議できるフォーラムが必要と指摘した。阿部氏らは有権者に向けて、いますぐ結果が出る課題だけではなく、長期的な課題に向けて長い目で見てほしいと述べた。
選挙制度をどう考えるか。衆参両議院の選挙制度について説明した。特に参議院の選挙制度はわかりにくい。衆参の違いは活かされているのか。参議院は6年という長期間における議論のフォーラムとしての役割に基づき、諸富氏は選挙制度を変えていかなくてはならないと指摘。阿部氏はメディアとの関係に言及。メディアの中心がSNSに代わっていく上でファクトチェックが大切と述べた。谷口氏は選挙区は地域代表、比例代表は政党・国のあり方を考える異なる理念が重なっているため、わかりにくい部分もある。選挙制度の改革はまず国政選挙より地方の選挙から始めるべきと指摘。地方は議員のなり手不足など、選挙自体困難な地域もある。待鳥氏も権力を作る衆・権力を監視する参の分業を進め、それに見合った選挙制度についての議論をするべきとした。今後の国会のあり方について、諸富氏は中長期的な課題に向けて、政党として責任を持つことを期待すると述べた。阿部氏は国会だけではなく地方にも目を向けるべきで、躍進した参政党は地域でしっかり対話していることが大きいと指摘。谷口氏は選挙活動が個人化していると指摘、有権者は政党ではなく個人に目が向いている。議会制の政党についてもう一度見直してみるべきと述べた。
エンディングの挨拶。