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スタートアップの中には環境課題に挑んでいる有望株・NEXTユニコーンも次々と現れている。AIだけでインフルエンザを検査できる技術や、食品残渣を発行して活用する技術も紹介される。サッカー選手であるとともに150億円ファンドを運営するなど投資家の顔を持つ本田圭佑の姿も伝えていく。
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スタジオでは本田さんと、ギズモード・ジャパンなどネットメディアの立ち上げを行ってきたTNLメディアジーンの今田素子が紹介された。ユニコーン企業とは企業価値が約1500億円超であり未上場の企業を指す言葉となっていて、アメリカの676社・中国の164社に対し、日本はわずか5社にとどまっている。そして、今回はユニコーン企業になりつつあるNEXTユニコーンについて特集していく。
日本経済新聞社によるNEXTユニコーン調査 2024を紹介。10位はキャッシュレス決済などを手掛けるSTORES。9位は自動運転用ソフト開発のティアフォー。
8位は産業用ロボットの無人化を手掛けるMujin。滝野一征CEOは機械知能は人間の数倍のことが可能だと紹介した。この技術は複雑なロボットの動きを正確にコントロールするもので、ユニクロなど大企業も採用するものとなっている。
7位は新興国向けマイクロファイナンスを手掛ける五常・アンド・カンパニー。慎泰俊氏はモルガン・スタンレー出身で、2030年までに50カ国で1億人にサービスを展開したいと話している。民間版の世界銀行が目標だという。
6位は石灰石由来の素材を開発するTBM。5位は人工たんぱく質素材の開発を行うSpiber。4位は労務ソフト開発のSmartHR。
3位はSakana AI。日本史上最速でユニコーンに上り詰め、企業評価額はすでに2250億円を超えるなど注目の企業となっている。
2位はニュースアプリを展開するスマートニュース。
1位は7年連続の1位となっているPreferred Networks。ここはSakana AIと同様に生成AIの開発を行う企業となっていて、開発力を評価されている。
本田さんはLuupなどには自らも出資していると紹介。今田さんは新素材を活用したマテリアルテックの事業者が多いのは良いことだと紹介。
NEXTユニコーン調査 2024を30位まで一覧で紹介。AIを使った事業者が多く並んでいる。
広島市郊外にある「おきた内科クリニック」は病気の発見を支援するAI医療機器を6種類も導入している最先端のクリニック。現在66歳の沖田院長がAIを導入したのは視力や聴力の衰えを感じたことがきっかけだった。こうしたAI医療機器は続々と登場している。例えば子宮の全摘出手術で切ってはいけない箇所を知らせてくれるソフトウェアが8月に薬事承認を受けた。手術支援ロボットと組み合わせて使えば経験の浅い医師でもより安全な手術が可能になる。そんなAI医療機器のなかでも今最も急速な勢いで普及しているのがインフルエンザ検査ができる「nodoca」。2年前に薬事承認を受けすでに全国2000箇所以上のクリニックが導入している。保険も適用されるため従来検査と費用もほぼ変わらない。機器の先端にあるカメラでのどの奥を撮影するだけで判定することで患者と医師双方の負担が大幅に減った。この「nodoca」を開発したスタートアップ。企業「アイリス」の拠点を訪れた。CEOの沖山翔はこの日「nodoca」の新たな可能性についての議論を行っていた。nodocaを使い体温や心拍数を同時に計測しようという。nodocaで撮影したのどの画像を使えば新型コロナかどうかの検査が同時に行えたり高血圧を検出したりすることも近い将来実現できるという。高い可能性を秘めた「nodoca」の最高技術責任者である福田敦史は世界トップクラスのAIエンジニア、吉原浩之を採用できたことが成功のカギだったと話す。吉原は実は世界におよそ300人しかいないGoogleが認定する最高ランクのAIエンジニア。特任研究員として東大で講義することもある。他にも吉原と匹敵するレベルのAIエンジニアを2人採用。医師は5人揃うなど才能の集積地となっていた。一方、沖山はアイリスの経営者を務める一方で現役の医師として活動している。広域紋別病院の曽ヶ端院長は沖山の存在について「彼が来ることで少し体を休めることができる」と語っている。沖山は東大医学部を卒業後、日本赤十字病院で救急医として勤務。その後沖縄の波照間島や石垣島といった医療設備が十分とは言えない環境での救急医療の経験も重ねた。その中で「臨床医として患者を診る以外のアプローチをしないといけない」と考えた。別の日、アイリスの本社オフィスに沖山の母校、桐朋学園の後輩たちがやってきた。学校からの依頼を受け「起業家として生きること」をテーマに講演することになった。沖山が起業において大切なこととして伝えたのは「仲間づくり」ということ。全国の医師たちの協力を得て完成したnodocaは海外からも高い評価を受けている。スタートアップの世界大会で去年なんと優勝を果たした。
アイリスCEOの沖山翔が「nodoka」の実機を持ってスタジオに登場。nodokaに搭載しているAIは100万枚を超えるデータベースから学習し、いろんなものが学習データに含まれているのが特徴だという。沖山は「データは2年間かけて延べ100以上の病院やクリニックに協力いただいた」等と説明した。今後の展開について「個人向けは日本の薬機法だとなかなか難しいが、海外だと直接患者とかその親御さんに渡していくっていうのがいちばん早いと思う」等と語った。
2024年10月、ブータンの1部リーグに出場し、2ゴールを決めたことが話題になった本田圭佑。世界で最も有名な現役の日本人サッカー選手の1人。本田が注目を集めるのはピッチの上だけではない。実はスタートアップを支援する投資家としても存在感を増している。本田は2016年にエンジェル投資家として投資活動をスタート。これまでに200社以上のスタートアップに投資した。そのうちの一つがクラウドファンディング企業の「マクアケ」。2019年のマクアケの上場によって大きな成果をあげた。米国の人気俳優ウィルスミスとともにファンドを立ち上げたことも。2024年新たに日本のスタートアップ企業へ投資する150億円規模の新ファンド「X&KSK」を立ち上げた。その投資先に決まったスタートアップが名古屋大学の中にオフィスを構えている。「クライフ」という名の創業6年目のNEXTユニコーン企業だ。創業者の小野瀬CEOは三菱商事の出身。名古屋大学工学部の教授だった安井と出会いクライフを立ち上げた。クライフの主力となるのが尿検査キット。尿の中に含まれるマイクロRNAを取り出し独自開発のAIで解析。今、最もホットな研究分野の一つ。本田は2024年10月にこのラボを訪問。10億円の出資が決まった。本田のファンドなどから調達した資金は世界進出に向けた研究開発などに充てられるという。
本田圭佑が投資家として活動する理由について「もともとはサッカーでいろいろ貧しい国を行くようなこともあって経済的にですね恵まれてない子どもとかそういうところに何かできないかというふうに思ってビジネスの世界に入ったのがきっかけだった。最初は教育事業とか投資ではなくそういうことをやったり。その先にエンジェル投資をやる機会があって、最初はどちらかというと儲かりそうな企業に投資するというよりはインパクト投資をしていた。経済格差みたいなものを自分なりに調べてそこにアプローチしようと思って投資をし始めたので僕のルーツというか投資でいうルーツに関してはそういう流れでやることになった」とコメント。VTRで紹介されたクライフへの投資への決め手について「現場を実際に見たうえで、やっぱりまず市場としてすごく魅力的だ。年に1回の人間ドックでは何の意味もなさないし、人間ドックに行く前のもう少し定期的な検査というのは必ず必要なんだろうと思った。ということでこの早期発見ができるこのクライフの技術というのははかり知れないものがあるんじゃないかなと思っている」と話した。またファンドにお金出してる人々について聞かれると「メインは日本の銀行がいちばん多い。その次に事業会社が少しいて、個人の方も少しいるみたいなそんな感じ。ファンドの期間が10年あるので、すぐにもうけたい人は基本的にこのビジネスモデルにビジネス業界には投資しない。僕らは特に初期の会社に投資するファンドですので長いプロジェクトが、だから基本的にそれを理解している人たちが関わってる業界なので。そのかわり社会を変えようよというビッグビジョンに向かってやってる人がほぼ全員だ」と説明した。
一般投資家でも10万円程度から投資ができるという新たな仕組みも生まれている。いち早くこうしたサービス始めたのが「ファンディーノ」。創始者の柴原CEOは2017年、社名と同じスタートアップ投資のためのオンラインプラットフォームを日本で初めて立ち上げた。サイトにはファンディーノの審査を通過したスタートアップのリストが並んでいる。この中から気になる企業を選んで投資コースを選択、企業によっては10万円前後からの投資が可能だ。投資家は成長中のスタートアップに投資し投資先の企業が株式を上場したり買収されたりすると株が売れるようになってリターンを得られる。ファンディーノの場合その平均期間を「2.8年」としている。更に株式投資型クラウドファンディングによる資金調達はスタートアップ側にもメリットがある。2023年ファンディーノを使って資金調達したというキャンピングカーの会員制レンタルなどを手がけている「カーステイ」は200人あまりの個人投資家から2週間程度でおよそ3500万円を調達したが調達のスピード以外にもメリットがあった。実際株式投資型クラウドファンディングの人気は高まっていて提供する企業は他にも増えている。ただもし投資先が経営破綻した場合投資家がリターンを得られないのはもちろん出資したお金自体も戻らないというリスクもある。政府の規制改革推進会議で上場前のスタートアップ投資の規制緩和を議論してきたピクテ・ジャパンの大槻奈那シニアフェローは「デメリットやリスクを考えてから投資すべき」とコメントしている。
株式投資型のクラウドファンディングは、FUNDINNOにもサービスを提供しているところがある。本田圭佑は、日本は規制が厳しく国民のリテラシーが一向に上がっていかないなどとコメントした。今田素子は、いまみたいなサービスは資金調達の選択肢が広がるという意味ではすごくいいなと思うなどと話した。スタートアップ投資のリスクとして、業績に関する情報量が少ないことや株式の流動性が極めて低いことなどと挙げた。
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NEXTユニコーンは配信番組として始まり、第1弾で取り上げたのはEFポリマーだった。当時は一般的に知られていない会社だったが、来年の春にはシリーズBの資金調達を予定していて企業価値は約100億円規模になるのではないかと言われている。
いま注目の商品は、宝酒造が今年9月に発売した発酵蒸留サワー。アルコール度数は3%だが、ただの低アルコール飲料ではない。
発酵蒸留サワーは度数3%なのに、しっかりお酒の満足感があるという。宝酒造開発部の一室で、新たなフレーバーの試作が行われていた。果汁を絞った後の柑橘の皮を使ったスピリッツがお酒の満足感の理由。これを開発したのは宝酒造ではなく、スタートアップのファーメンステーション。ファーメンステーションの社名は、発酵と駅を組み合わせた造語で、発酵技術を活用し様々な人が集まる駅のような存在になりたいという思いが込められている。発酵させる原料は、食品の製造過程で出る食品残渣。難しいとされる果物の皮も独自の技術で発酵させ、香り成分を引き出して蒸留することで抽出し強い香りを放つエタノールになる。発酵菌は数百種類を保有し、組み合わせで様々な香りを引き出すことができるという。