- 出演者
- 長谷川博己
オープニング映像。
江の島を臨む神奈川県茅ヶ崎市、海沿いの国道を走っていると目新しい施設が。この日オープンした、湘南エリア初の道の駅。朝から100人以上が行列を作っていた。道の駅の目玉と言えば、新鮮な野菜。2階のフードコートも賑わっていた。同じ湘南でも江の島がある藤沢市や、大仏がある鎌倉市は多くの観光客で賑わうが、茅ヶ崎の観光資源と言えばサザンとビーチくらい。そんな街の起爆剤にと誕生した道の駅、仕掛け人はファーマーズ・フォレストの松本謙社長。松本さんは、宇都宮市のろまんちっく村など全国各地で人気の道の駅を立ち上げてきた、客を呼ぶプロ。今回狙ったのは、観光客も地元客も取り込むハイブリッド型。地元食材をだたたんに使うだけでなく、他にないオリジナル商品として提供。湘南のブランド豚を贅沢に使った角煮まん。食べられるお店はここだけ。地元で人気のアイスクリーム店も、今回ちがさきの牧場から仕入れた牛乳だけを使ったオリジナルのソフトクリームを開発。湘南エリアの魅力が詰まった約2000商品を揃えた。地域経済の期待も背負う道の駅、誕生から30年右肩上がりで増え今や1200以上。しかし、ここ3年半で4駅が閉館。全体の3割が赤字とも言われている。
京都府南山城村、人口約2300人の京都で唯一の村。特産品はお茶、これまでは宇治茶の主な産地の一つに過ぎなかったが、そんな茶処が脚光を浴びるきっかけとなったのが、2017年にオープンした道の駅「お茶の京都 みなみやましろ村」。週末朝9時の開店と同時にぞくぞくと客が店内へ、すぐに賑わっていった。客のお目当ては、生産者の顔が見える村のお茶。村のお茶を「村茶」とブランディングした、オリジナル商品も好評で30種類ほどに増えた。レストランもお茶づくしで、抹茶の衣で上げる天ぷらに茶そばが付くお茶づくし御膳が人気。地元のお茶にとことん拘った店作りが話題を呼び、去年の来場者数は60万人以上・売り上げは6億円を超えた。そして専門家が選ぶ、「道の駅 最強ランキング」で全国1位になった。この道の駅を一から立ち上げたのが、駅長の森本健次さん。地元出身の森本さん、元々は村役場の職員だった。過疎が進む村になんとか賑わいを作れないかと、目をつけたのが道の駅。役場を辞め自ら駅長になった。村を知る森本さんだからこそ、村茶のブランド化に拘ってきた。そうした取り組みが、後継者不足に悩む地元農家にも変化をもたらしている。茶畑農家の辻本さん、年収は3割増えたという。道の駅は村民を支える存在となっていた。
地域の活性化へ道の駅に期待を寄せる自治体がある。茨城県那珂市、水戸市に隣接する人口約5万3000人の村。特産品はカボチャやサツマイモなど農業が盛んな地域。那珂市は4年前から道の駅の建設を計画、農産物の直売所や飲食店、野菜の収穫体験ができる施設として3年後に開業する予定。建設予定地に2人の男性がいた、市内に住む自営業の関さんと6年前に会社を退職した遠藤さん。道の駅に反対していた。建設に関わる費用は約30億円、国の補助金なども活用していくが、それでも市は10億円近くを負担する。市民の意見は真っ二つに割れていた。元々市長の肝入で始まった今回の計画、既に議会で予算も承認されている。しかし、今年1月に開かれた市民説明会は十分な議論が尽くされないまま打ち切られたという。その説明会に納得のいかなかった市民たちが集まるようになった。遠藤さんたちが問題視しているのは売り上げ予測の数字、那珂市は道の駅の農産物直売所の売り上げを年間4億8000万円と資産。しかし遠藤さんの調べでは、全国の平均は2~3億円。約2倍の売り上げを見込んでいた。また、近隣の常陸大宮市で営業する道の駅が、年間60万人の来場で利益が1300万円なのに対し、那珂市は年間95万人の来場で・7000万円の利益を見込んでいる。これまで仕事中心の生活だった遠藤さん、6年前退職したのを機に改めて地元に対する関心が強まったという。
6月中旬、那珂市役所に遠藤さんの姿があった。遠藤さん、市議会に陳情を出していた。遠藤さんは数字の根拠の提示と、市民への説明会をもっと開いてほしいと訴えていた。承認されれば議会が市に対して要求してくれる。5人の議員による多数決、遠藤さんの訴えは認められるのか。
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道の駅の建設が街を二分する茨城県那珂市。反対の遠藤さんは、市民説明会の開催などを市議会に訴えていた。5人の議員による多数決、遠藤さんに賛成する場合は挙手するが訴えは認められず。陳情が退けられて1カ月、遠藤さんの仲間の関さんたちが、住宅街でチラシを配っていた。「道の駅を考える会」を開催しようとしていた。より多くの市民と情報を共有して広く意見を集め、市に見直しを求めようという。
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- 那珂市(茨城)
7月下旬、”考える会”が開かれた。集まったのは市民約40人、遠藤さんたちの説明を受けて早速参加者から反応があった。意見が異なる人たちの声も聞き入れながら、その必要性を考えることが大切だという。市民の意見が割れる事態に那珂市長は、100人全員が納得するまでやったらいいという議論もあったがそれを実際にやっていたら行政の仕事が進まない、議会で了承をもらっているので説明会の必要性は感じていないと述べた上で、道の駅は産業を振興して税収が上がるような地域をつくっていくためのものであり、市と市民のためのものだと話した。
富山県南砺市。井波地区は門前町として栄えてきたが、ここも今道の駅で揺れている。通りで目に付くのは木彫りの工房、250年前から続く井波彫刻。そんな日本一の木彫りの街にある道の駅が「いなみ 木彫りの里」、名前の通り至る所に彫刻がある。しかし、昼過ぎに館内を覗くと客の姿がほとんどない。駅長の江尻大朗さんに話しを聞くと、多くの道の駅が交通量の多い幹線道路に面しているが、ここは近くに人気スポットもなく車の通りも少ない。目玉のはずの地元野菜も入荷はほとんどなく、棚はスカスカ。さらに、地域の憩いの場だった温浴施設も老朽化で閉鎖、10年も放置されたままになっている。1992年に第三セクターとして誕生した「木彫りの里」、ほどなく国が道の駅の制度を作ると第1回の103駅に選ばれた。いわば老舗だった。しかし、人口の減少に加え団体旅行も減り客足が遠のいた。さらに、市の財政健全化の方針で2018年に補助金も打ち切り、幹部が退職していく中で江尻さんは火中の栗を拾う形で駅長になった。その時、初めて経営の実態を知った。就任当時の赤字は年間5000万円に登っていた、そこで江尻さんはからあげ1kgにごはんをてんこ盛りにした爆盛りメニューや、10段重ねたソフトクリームなどアイデア商品を次々投入。集客を増やし赤字を1200万円にまで改善した。とは言え、今の自転車操業をいつまで続けていけるかわからない。
富山県出身の江尻さん、大学卒業後は地元企業に入社。営業で回った井波の街に魅了されたという。その想いが今も江尻さんを突き動かしている。早朝、自らカマを持って草むしりをし、営業終了後も最後まで残って館内を回る。金融機関との交渉も江尻さんの大事な仕事、返済を待ってもらっている状況、なんとか立て直したいが迷いもある。崖っぷちの江尻さん、大勝負に打って出た。
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- 小矢部市(富山)
赤字が続き、閉館寸前の道の駅「木彫りの里」。駅長の江尻さんが、大勝負に出ようとしていた。隣接する彫刻会館で待っていたのは、崎田宗孝さん。道の駅の閉館は伝統文化の井波彫刻にとっても死活問題。そこで、2人はネットを通じて広く資金を集めるクラウドファンディングに挑戦していた。呼びかけたのは設備の回収費用を目的に、4月から2カ月間で1000万円の資金を募ろうというもの。達成できなければ閉館を検討することになるが、1000万円集まらなければ全て返金する方法をあえて選んだ。退路を断って悲壮な覚悟を示したのだった。従業員も木彫りの職人も、その動向が気になる。いよいよ資金募集の最終日、期限が迫るにつれて大口の支援が入ってきているが希望額のまだ半分。そして、終了時刻。目標金額に足りず1円も手にすることはできなかった。「木彫りの里」は閉館することになるのか。
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- いなみ木彫りの里 創遊館南砺市(富山)
7月中旬、赤字が続き閉館の瀬戸際に立たされた道の駅「いなみ 木彫りの里」。開店前から準備に終われる人たちが集まっていた。駅長の江尻さんが地元の雑貨店などに出店を呼びかけ、イベントを開いたのだった。江尻さんは、道の駅の存続を諦めていなかった。この日集まってくれたのは、16もの業者。気軽に出店できるとあってユニークな店が集まり、楽しい空間に。売店も大賑わいで、閑古鳥が嘘のようだった。先週の日曜日7万円だった売り上げ、この日は30万円を超えた。江尻さん、道の駅を立て直すヒントを得たようだった。
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- いなみ木彫りの里 創遊館野村紙器
エンディング映像。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。まもなく米露首脳会談。