- 出演者
- 江口ともみ 阿川佐和子 ビートたけし 岩下尚史 杉村太蔵 林輝幸 石山アンジュ
2025年は昭和元年から100年目となる。昭和は戦争から高度経済成長期を経て著しい発展を遂げていった激動の時代。そこから令和へと移り変わった今、様々な問題が起きている。令和の大問題、その解決の糸口は昭和にあるのかもしれない。
2025年は昭和元年から100年目。昭和は戦争から高度経済成長期を経て著しい発展を遂げていった激動の時代。令和へと移り変わったいま、様々な問題が起きている。昭和100年から紐解く「人手不足問題」。昭和22〜24年にかけて第一次ベビーブームが到来。この時期に生まれた子どもたちは「団塊の世代」と呼ばれ、彼らの成長と共に日本は高度経済成長期に突入。会社のために残業や休日もいとわず働くサラリーマンは「企業戦士」などと呼ばれた。いまではハラスメントになりかねない指導も昭和では当たり前だった。現在出生数は第一次ベビーブーム期から3分の1以下まで減り年々人口が現状(出典:厚生労働省)。2025年は団塊の世代全員が後期高齢者になるなど日本の高齢化が進み、働き手も減っている。終身雇用が普及していった昭和から時代が変わり、現在新卒就職者の3年以内の離職率は3割を超えている。令和の会社員に人気なのが、退職の意思を本人の代わりに働いている会社へ伝える退職代行サービス「モームリ」。
令和にはインフラ老朽化問題もある。昭和39年、東京でアジア初となる五輪が開幕。この時期様々なインフラ整備が行われ、新幹線や空港、日本の大動脈、高速道路も全国各地で建設。コンクリートインフラの寿命は一般的に50年と言われ、建設から60年近くが経過した現在、老朽化で問題が起きている。1月28日、埼玉県八潮市で道路が陥没する事故が発生。原因は道路の下を通る老朽化した下水道管の破損とみられる。こうした下水道管は高度経済成長期に整備が進み、各地で老朽化が社会問題になっている。
オープニング映像。今回は、「空き家・物価高騰・人手不足・インフラ老朽化 2025年の問題は昭和にあり?昭和元年からの100年を徹底調査SP」をお送りする。
ここまでのVTRについてスタジオトーク。ビートたけしは自分はベビーブーマー、足立区は同学年だけで1000人いた、などと昔を懐かしんだ。社会起業家の石山アンジュは平成生まれなので映像を見ても違う国のように感じる、飲み会でのセクハラなど現在もある問題はこの時代に作られたものだと思う、などと話した。東大卒クイズ制作集団代表の林輝幸は退職代行サービスについて、こういうものがビジネスとして成立しているということは、今の時代に対応できていない会社がたくさんある(退職を言い出せない環境がある)ということの証明となっている、などと話した。杉村太蔵は「企業戦士」という言葉にあるように昭和は強い人が良いとされていたが、今は「働き過ぎはダメ」と言われるように弱い人に基準を合わせるようになってきているなど話した。さらに杉村は、令和以降のありとあらゆる不愉快を削除していこうという動きには圧を感じる、と語気を強めて話した。阿川佐和子は退職代行サービスについて、いずれ恋人と別れるためのサービスも出てきそうなどと話し、気まずい場面を避けて行きていきたいということなのかと疑問を投げかけた。杉村は、昭和世代の方が平成世代に寄せていかなくてはいけないという構造に腹が立つときがあるなどと話した。作家の岩下尚史(60代)は、自身と祖父母(明治・大正生まれ)は別の国の人みたいに感じる、世代によって変わっていくのが普通のこと、自分は若い人に「昔はこうだった」は聞かれない限り言わない、などと話した。
昭和100年から紐解く「住宅問題」。高度経済成長期の昭和30年頃から人々の憧れの暮らしとなっていた当時の日本を象徴する団地生活。ダイニングキッチンや水洗トイレといった当時まだ珍しい仕様に人気が集まり一大ブームに。300倍近い倍率の抽せん会が行われた団地もあった。昭和31年に日本初の団地として誕生した大阪府堺市の金岡団地の家賃はサラリーマンの平均月収約1万9000円という時代に2DKで4000円台。現在は高齢化により住民が激減。孤独死も懸念されている。50%以上が高齢者の限界集落団地が全国で増加している。さらに、住民が積み立てる団地の修繕費不足や工事費の高騰などで、修繕ができない建物が多く存在している。
昭和100年から紐解く「住宅問題」。昭和40年ごろマイホームブームが到来。郊外庭付き一戸建てが“夢のマイホーム”と呼ばれた。しかし、中にはマイホームブームに便乗した違法建築もあった。あれから50年以上経過。2023年には全国の空き家数が900万戸を超え社会問題になっている。幅4m以上の道に敷地が2m以上接していないため、建築基準法によって再建築できない物件もある。
昭和100年から紐解く「家電問題」。昭和の暮らしを象徴する三種の神器。昭和28年に登場した白黒テレビ。当時繁華街などに設置された街頭テレビの前は野球やプロレス中継を見る人でにぎわった。2つ目は電気冷蔵庫。昭和35年に発売された電気冷蔵庫の価格は約6万円だった。3つ目は電気洗濯機。3万円台で売り出された。当時は洗濯機が設置された文化洗濯場と呼ばれる場所を30分30円で利用する人が多かった。昭和36年頃には洗濯機の普及率は50%を超えた。昭和40年代にかけて新三種の神器へ。昭和49年、普及率が85%を超えたカラーテレビ、自動車、クーラー。それぞれの頭文字を取って「3C」と呼ばれた。現在は1人1台の保有が当たり前となった携帯電話(出典:総務省)。昭和30年半ばまでは住宅用電話でさえほぼ普及せず。たばこ店などの軒先に店頭電話として設置されていた。当時は待ち合わせには駅の伝言板なども利用された。やがて公衆電話が普及し、昭和の終わりにはポケベルが大流行。ポケベルの送信に公衆電話を利用したこともあって、昭和60年には公衆電話の設置数は93万台に上った。しかし現在は11万台ほど、利用率はここ20年で98%ほど減少している。今年はVHSテープの終了も予想されている。昭和51年に発売されたVHS第1号ビデオデッキ。2016年をもってビデオデッキの生産は終了。磁気テープの劣化などによりユネスコ・国連教育科学文化機関などは「2025年までにデジタルデータ化されなければ大半が永遠に失われかねない」と警鐘を鳴らした。ダビング作業を行っている店舗(ダビングコピー革命)には依頼が殺到している。
スタジオトーク。ビートたけしは昔は団地に住んでる子たちが羨ましかったと話した。石山アンジュは不動産投資も相まって都市部は価格が高騰していて若者は住めないので、郊外に流れていくという動きは今後も続くと思う、劣化している都市部の団地の魅力を増す取り組み(シェアハウス団地にするなど)をするといいかもしれない、などと話した。空き家問題について、江口ともみはアーティストがアトリエとして使うなど、住む以外の形で活用法を考えることを提案した。これについて杉村太蔵は空き家は900万戸あるので、対策としては不十分であることを話した。石山アンジュは石破総理が最近出した“令和の日本列島改造”論について、昭和の焼き直しのようでイケてない、田中角栄のコピーのよう、などと話した。これについて杉村太蔵は、“令和の日本列島改造”で田中角栄と違うアプローチだと思うのは、自分の故郷に空き家を手に入れ、現在の住居との2拠点生活を推奨するということがあるかもしれないことだ、などと話した。岩下尚史は東京都青梅市の古民家から引っ越したところすぐに買い手がついたこと、どうやら住居というよりはインバウンドの拠点などを目的にしたものらしいこと、などを話した。
昭和もコメが高騰。人々はしゃもじを持って政府に抗議。現代のように物価高騰に悩まされていたが、消費税ではなくある課税制度があった。昭和15年に導入された物品税は食料品や衣料品など生活必需品には課税されず宝石やテレビなどの家電、ゴルフ用品などの贅沢品にかかった税金(出典:国税庁HP)。大型モーターボート、ゴルフ用具、普通乗用自動車、大型冷蔵庫、大型テレビ、毛皮製品、電気掃除機、全自動電気洗濯機、コーヒー、炭酸飲料、化粧品の税率を紹介。昭和50年発売、450万枚以上売り上げた「およげ!たいやきくん」(子門真人)。当時大人向けの歌謡曲のレコードは娯楽品とされ物品税が課されたが、子ども向けの童謡は教育に必要なものとして非課税だった。「およげ!たいやきくん」は童謡として販売されたが、後に国税庁は歌謡曲と判断し、税金の支払いを要求した。国税庁が「およげ!たいやきくん」を歌謡曲だと判断した理由とは…。
昭和50年発売、「およげ!たいやきくん」(子門真人)は物品税のかからない童謡として販売され大ヒット。「歌詞がサラリーマンの脱サラを彷彿させ、大人のストレス社会を歌っている」と国税庁は歌謡曲とみなし、課税対象と判断。レコード会社側は「童謡なので払う必要はないはず」と反論(朝日新聞)。レコードに付録のぬり絵が付いていることなどから最終的に国税庁は童謡と判断、物品税はかからなかった。昭和54年に発売された軽自動車「アルト」。当時軽自動車には物品税がかけられていたが同じ軽自動車でも軽トラックなどの商用車は必需品とされ物品税がかからなかった。法の隙間を突いて「アルト」は見た目は乗用車だがトランクを広くするなど商用車として販売、大ヒットした。食料品など生活必需品には課税されず贅沢品にかかる物品税。経済成長に伴いものやサービスが多様化、課税対象に公平性が保ちにくくなっていった。けやき製の家具は課税対象。桐や漆塗りの家具には物品税はかからない。ゴルフ用具やサーフボードは課税されるがテニスやスキー用具は対象外。コーヒー、ウーロン茶に対して紅茶、緑茶はかからないなど贅沢品とする基準がわからない。時代は消費税導入へ。令和のいまも問題となっている消費税。増税すべきか減税すべきか。このあと、消費税の歴史から紐解いていく。
時代は、物品税を廃止、商品の販売やサービスが原則課税対象となる消費税導入に進んでいく。消費税は低所得者ほど所得に対する負担率が高くなるため各地で反対運動が起こった。国会では消費税導入に反対する野党が牛歩戦術で抵抗(参議院本会議)。平成元年4月から導入された税率3%の消費税。令和元年、10%に増税。近年一般会計税収の割合は消費税が所得税、法人税を上回り最大の収入源になっている。消費税の負担は続き、景気回復の実感は乏しい。今後消費税は減税か、増税か、はたまた物品税に戻る可能性は。
スタジオトーク。林輝幸は思い切って物品税を復活させるという手もなくはないと思っている、サービスの多様化も進んでいる今と昔ではまた違う結果となりそう、などと話した。石山アンジュは、今の若い世代は物欲も低くなっている(マイカーではなくカーシェアなど)、環境負荷が高い商品に物品税のような形で税をかけるのは良さそう、などと話した。阿川佐和子は200万のバッグなど明らかな高級品に税をかけるという案は故・浜田幸一氏が提唱していた、などと話した。
スタジオトーク。ビートたけしは、今後は人が減ってロボット化して人間の数が要らなくなっていくかも、自分が生まれた頃と今を比べてこれほど凄くなったとも思わないし昔のほうが良かったとも思わないけど、別に今がどうなんだという感じでよく分からない、その時代時代で必死になって生きているだけ、などと総評した。