- 出演者
- 佐々木明子 真山仁
地球温暖化の原因とされ、年間300億トン以上排出されているCO2(二酸化炭素)が近い将来、人類の役立つものとして利用されるかもしれない。鍵を握っているのは水素菌と呼ばれる微生物。新たなエネルギーや食料問題の解決に繋がるものを水素菌でつくりだそうとしていた。
オープニング映像。
CO2資源化研究所(東京・港区)所長・湯川英明は東京大学を卒業後、三菱化学や国の研究機関で微生物を研究。国際的な賞を受賞するなどこの分野のエキスパート。今、つくりだそうとしているものは水素菌から化学品、エネルギーを生産するプロセスをつくる基礎研究。水素菌は世界中の温泉に生息している。CO2から栄養をとり、水素をエネルギー源としている。湯川の水素菌の特徴は増殖のスピード。24時間で1600万倍に増える。水素菌を使って新たなエネルギーをつくりだす鍵を握るのが遺伝子組み換え。飛行機のジェット燃料は石油由来でCO2を多く排出する。今、注目されているのがエタノール由来のジェット燃料。湯川は遺伝子組み換えをした水素菌をもとにエタノールをつくろうとしている。5年以内にエタノール工場の実用化を目指している。
CO2資源化研究所所長・湯川英明。最初の会社は石油に代わる新たなエネルギーを微生物からつくろうとしたが、石油価格が大幅に下落し湯川は会社を離れることに。その思いを諦めきれず2015年、68歳の時に今の会社を起業。東京大学発のベンチャー企業として現在では従業員20人と共に水素菌の研究をしている。湯川がもう一つ解決しようとしている社会課題は食料問題。水素菌を活用しまずは家畜や養殖魚の飼料に。その後、加工技術を高めて代替肉をつくり、人間の食料としての利用を考えている。水素は値段が高く、ガソリンに比べて価格はおよそ3倍。石油の代替製品をつくろうにも水素の価格に左右される。世界では今、微生物の能力を活用した研究開発競争が激しくなっている。そこをいかにして勝ち抜くのか。国を巻き込みオールジャパンで世界に挑むことが重要などと湯川は話した。
CO2資源化研究所所長・湯川英明。水素菌を使って新たなエネルギーの開発や食料問題の解決に挑む開拓者。大いなる可能性に多くの企業が期待を寄せている。化学や食品、石油、エネルギー関係など複数の企業とともに試作品をつくっていく新たな素材の研究開発を行う場所。水素菌の未来に期待を寄せる企業から28億円の資金調達を達成。出資元の1つが日用品大手のライオン。洗濯用洗剤などに使われ汚れを落としやすくする界面活性剤の原料の1つになっているパーム油の代替品を水素菌でつくれないかと出資を決めた。湯川はCO2から出来た製品を数年以内に世界に示し、日本の技術を認めさせることが一番のポイントなどと話した。