- 出演者
- 矢内雄一郎 大浜平太郎 平出真有 中原みなみ 岡忠志 青木大樹 佐々木融
先週の日経平均株価は週前半に大きく値下がりした。中国のDeepSeekが開発した生成AIモデルにより、国内のハイテク関連株が大きく影響を受けた。しかし、その他の銘柄については株価の下落は限定的で週後半にかけては、値を戻す展開となった。業種別騰落率を伝える。下落率トップは「非鉄金属(-4.9%)。アメリカ・トランプ大統領の脱炭素政策を取りやめる政策により、風力発電や電気自動車などで使われる銅などの資源価格が下落してることで、日本の資源関連株にも売りが出ていた。先週の下落銘柄を伝える。6位「イビデン」や5位「古河電気工業」など、これまでAI関連として物色されてきた銘柄群に売りが目立ってる。1位は「MARUWA」だった。松井証券・窪田朋一郎氏は、「1月29日に2025年3月期の連結業績予想を発表し、売上高や営業利益を上方修正したものの事前の予想では次世代高速通信や新エネルギー車向けのセラミック基板に対する市場期待が高く、コンセンサスに届かなかったため一転して失望売りが出た。」と語った。先週の上昇銘柄を伝える。9位「三越伊勢丹HD」は、1月28日から中国の春節に伴う大型連休が始まったことで、中国人観光客増加による訪日客拡大に対する期待感から買いが集まっていた。2位「フジ・メディア・HD」。今週の相場について窪田氏は、「今週の日経平均株価は揉み合いを予想している。相対的に安定している日本市場を物色する動きが続くとみており特に金利上昇の動きを受ける銀行株などは堅調に推移すると予想している。一方でトランプ大統領の追加関税に関する発言や半導体の輸出規制を強化する動きも強まっておりこの影響を受けやすい半導体製造装置の関連メーカーなどには短期的に売り込まれる局面もあるとみている」とコメントした。
本日のテーマは、「NISA成長投資枠 国内株アクティブ投信の活用術」。R&I格付投資情報センター・岡忠志氏は、グラフ:公募投信タイプ別資金純流入額(1月第3週まで)を紹介。全体で1.4兆円の流入となっているがそのうち米国株S&P500や全世界株オールカントリーといった海外株のインデックス投信に1兆円以上の資金が流入している。一方、国内株投信への流入はインデックスアクティブを合わせてもおよそ1200億円と海外株投信の1割程度の規模。S&P500や世界株のインデックス投信を積み立てて、長期の資産形成に取り組むことは継続を勧める。これらの投信は組み入れ銘柄に偏りがあることは認識する必要がある。S&P500は、「アップル」や「エヌビディア」など使用テック7銘柄の比率が3割を超えており、オールカントリーの投信も66%が米国株でマグニフィセント・セブンの比率が2割を超えてる。海外株のインデックス投信だけを保有している人は国内株投信を併せ持ちポートフォリオのバランスを取ること、分散投資することが今後円高や海外株が下落しても無理なく資産形成を続ける上で有効。グラフ:成長投資枠対象投信の47%がインデックスを上回るを紹介。成長投資枠対象投信の47%がインデックスを上回る。2023年に始まった東証の市場改革が今後アクティブ投信の追い風になる可能性が高いと思う。アクティブ投信は企業調査を行い選別して投資することができるので全銘柄に投資するインデックス投信により高いリターンを上げることができると考えている。アクティブ投信は一般的に長期でインデックスを上回ることを目指すものが多いので一度投資をしたら投資を続けることが重要などと解説した。次回(2月10日)は、三菱アセット・ブレインズ・齋藤恒彦氏が解説する。
DeepSeekは中国の企業が開発した低価格Aiで先週はマーケットを大きく動かす材料となった。鵜飼さんは「今回初めて知ったが2022年にOpenAIがChatGPTをリリースしてから世界的な生成AIブームとなったがアメリカ一強だった。そこにさほど有名ではない中国のスタートアップが一矢報いたと印象的な出来事」などと話した。マーケットでDeepSeekが話題になり始めたのは1月27日、日経平均株価やナスダックは下落した。その後株価は持ち直しDeepSeekの話題が出る前の水準に近づいてきてはいるがNVIDIAは下落前の水準には戻せていない。鵜飼さんは「DeepSeekの特徴を超低価格・思考の過程が見える・オープンソースとあげ、DeepSeekは性能が劣る半導体を使ったと主張、AIの学習の一部を省略したりハード面も含め全工程を見直すなど、大きなブレイクスルーではなく地道に作業をしていったイメージ」などと話した。テック企業の2024年10-12月決算を紹介。メタ、マイクロソフト、アップルはそろって増収増益となったがAI関連が足を引っ張った部分もあった。マイクロソフトはデーターセンターの整備が間に合っていないことからAIを使ったクラウドサービスの増収率の伸びは鈍化。アップルは昨年秋に生成AI機能を導入したiPhone16を発売したが、生成AI機能を利用できる国や地域が限られていてiPhone16の販売があまり伸びなかった。DeepSeekの登場についてマイクロソフトは「当社にはいい知らせ」と話しアップルも「一般的に効率化を高める技術革新はよいことだと思う」と好意的な発言をしている。半導体関連企業の2024年10-12月期決算、ASMLの業績は増収増益で受注額は市場予想を上回った。流れはアドバンテストにも広がっていて増収増益で着地、2025年3月期の業績予想を上方修正し2年ぶりの過去最高益を狙うが好調ぶりに影響を与えかねないのがDeepSeekの影響。ASMLは「火元から遠すぎる」とし、アドバンテストは「当社への影響はコメントできない」と述べるにとどまった。鵜飼さんは「生成AIのコモディティ化の第一歩かと思う」などとしている。先週1週間のTOPIX500の株価騰落率、先週はアドバンテストやフジクラ、ソフトバンクグループなどが下落したが市場関係者は落ち着きを取り戻してきた。アイザワ証券・三井郁男氏は「2年ほどで投資資金が一部銘柄に集中しすぎた。資金が割安銘柄にシフトする動きが続きそうだ」と指摘してる。先週のTOPIX500の株価上昇率ではNECが1位。注目されている投資テーマは2つあり、ITサービスと金融や小売などの内需投資株。楽天証券経済研究所の窪田真之氏は「外需株はトランプ関税など警戒材料がありインバウンドや不動産など内需株に資金が集まりやすい」と話している。鵜飼さんは「AI競争はアメリカにとって絶対に負けられない戦いと言える、米中対立が一層激化するかに注目」などと話した。
アメリカ・トランプ大統領は1日、中国、メキシコとカナダに追加関税を課す大統領令に署名した。大統領令は、中国に対して10%、カナダとメキシコに対しては25%の追加関税を課すもので、4日に発動される。中国商務省は、WTO(世界貿易機関)に提訴する方針を示し、メキシコ・シェインバウム大統領も報復関税などの対抗措置を取る意向を明らかにしている。カナダもアメリカ製品に対し25%の報復関税を課すと表明し、カナダ・トルドー首相は今回の措置が「カナダ国民以上にアメリカ国民に影響を及ぼす」と強調した。これに対し、トランプ大統領はSNSで「われわれはカナダが持っているモノは何も必要ない」と投稿するなど、関税の応酬で両国の経済対立が激化する懸念が高まっている。
アメリカの2024年12月個人消費支出物価指数は、1年前から2.6%上昇し、3カ月連続で伸びが加速。市場予想と一致。コア指数(食品とエネルギー除く)は2.8%上昇。伸びは3カ月連続で同じ水準。物価の瞬間風速を示す前月比ベースは0.3%の上昇。市場予想と一致した。
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「市場は何を見ているか」についてゲストが解説。青木大樹は「日米首脳会談」。トランプ氏は貿易赤字の解消を目標に掲げているが日本はこれまで出てない。日本はアメリカにとって5番目の貿易赤字国なのでリスクある。関税以外にも円安ドル高の税制であったりとか防衛費の拡大といったことも日本に要求する可能性もある。一方日本はアメリカに対しては実は世界最大の投資国。石破首相にはしっかりと日本の貢献を伝えていく中で直接的な関税を回避し金融政策、財政といった自由が狭まらないようにしっかり交渉してきてほしい。佐々木融は「Global Economic Reordering」。アメリカの財務長官が333政策というのを提唱。財政赤字をGDP比3%まで下げるということと、原油生産を日量300万バレル増産する、それから規制緩和を通じて成長率を3%まで押し上げるということだが、今のDeepSeekや関税などをみると実際このリオーダリングが起きているのかなという感じはする。アメリカはそれに備えて財政赤字を削減しドルを基軸通貨として維持して規制緩和で民間主導の強い経済を作ってエネルギーを増産してインフレ期待を下げかつエネルギーであまり他国に頼らないようにしようとしているということ。本来ちょっとこれって日本が見習った方がいい政策。