- 出演者
- 森田洋平 ジェフ・バーグランド
オープニング。今回のテーマは、古材の文化だ。古材を暮らしに取り入れた先人たちの知恵について紐解く。
- キーワード
- 川尾朋子
オープニングトーク。今回は、東本願寺の別邸である渉成園から伝える。約1万坪の敷地には、茶室や書院などがあり、四季折々の景色を楽しめる。中でも、最も大きな客殿が閬風亭だ。今回のテーマは、古材の文化。京都では建物を造るとき、古材を活用してきた。京都外国語大学のジェフ教授は、西洋では、乾燥しているため、木材にペンキやニスを塗らなければならないが、京都ではその必要がなく、木を生きたまま、長く使うことができるなどと話した。中継では、伏見区の木材店を紹介する。
町家で使われていた梁や柱が使われている木の展示ルーム。古材は最近、魅せる木材として、レストランなどの商業施設で再利用されている。京都・伏見区にある160年続く木材店から、古材の人気の秘密を紹介する。
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- 伏見区(京都)
西本願寺の御影堂では、1999年から10年がかりで、大規模な修復が行われた。使えるところは、可能な限り残しつつ、修復していく。建物の部材の傷んだ箇所を削り取り、そこに、新たに削った木材を埋め込んで整える。埋め木と呼ばれる技法だ。御影堂の部材には、先人の手による、魚や鴨など様々なかたちの埋め木が残されている。参拝に来た人を楽しませる遊び心も込められている。京都では、建築用の木材は、輸送に手間がかかるため、高価なものだったため、新たな木材で町家を建てることは少なく、古材で家を建て、修理しながら暮らすことが一般的だった。町家の玄関の上につくられた木置きは、かつては、町家の修理に使う古材を保管していた場所で、今ではそのほとんどが物置部屋などになっている。数十年にわたり、古材を収集・保管し、町家の改修に活かしてきた工務店もある。屋根裏に、焼け焦げた梁と柱やほぞ穴が残る柱が使われている町家もある。現在の改修工事でも、元の部材はできる限り残しつつ、欠けた箇所だけを新たな木材で補っている。手を加えた痕が目立たないように、何度も調整を繰り返している。
今なお古材が使われる理由について荒木さんは1つは耐久性だと言う。長年使わているからこそ乾燥がしっかりされて丈夫になっているそう。次に趣。100年かけて磨き込んだ味は今の材料では中々だと。今日は趣のある古材を荒木さんに持ってきてもらった。木目を日本人は楽しむという。すす竹は囲炉裏でずっと燻されて続けて深みのある色合いに。続いて希少性。日本の山は荒れてて木が採れにくくなっているという。日本は森林が国土の7割ぐらいあるものの住宅で使う木は山から切ってすぐ使えるわけではない。枝打ちをして手入れをして下草を取って初めてちゃんとした木ができる。残念ながら高度経済成長期に木を愛でる文化が無くなってきて値段が下がっていって山が荒れているという流れに。そうなると古材として残っていたマツの方が希少で利用価値が高い。木は大量生産できないのでSDGsを生かした時代に若い人がそこに魅力を感じて昔の自然界と共存しながら生きていく生活をしないと新しい材料が中々できない。昔は孫のために山に木を植えるのが普通だったが、今はそういう文化が薄れてきたので残念。これからもっともっと山を手入れしていくのが大事だと思われるとのこと。
京都市下京区の田中家は約130年前に建てられ、かつては酒や醤油を扱う商家で東本願寺を支える檀家であった。建物には幕末の大化からの復興に協力したお礼にと、現在は伐採が禁止されている屋久杉や栂の四方柾など、東本願寺から贈られた銘木が使われている。当主の田中尭さんはこの家を今の姿のまま将来に残したいと考えており、古材文化の会に協力を求めた。古民家や町家が取り壊され貴重な木材が廃棄されている状況を変えたいと約30年前に活動を始めた団体である。雨漏りや害虫などによる被害がないか調べ、対策を協議する。会の活動は様々な職業からなるボランティアによって支えられている。町家を多くの人に開かれた場にしたいと、会の提案で大学生の交流や学びの場として利用する取り組みも始まった。京都市立芸術大学ではここでの体験を基に作品を制作し、展示会を開催した。
田中家の母屋に寄り添う小さな家は、110年前に建てられた貸家である。当主の理解のもと全面改修が行われ、今はカフェとして利用されている。カフェの店主は古材文化の会の紹介でこの家に出会った。店主のお気に入りは床板で、町家の解体現場をめぐり譲り受けた幅の狭い古材の床である。昔の建築では板の固定に接着剤を使用しないため、取り外して再利用することも可能。お茶を運ぶ時のトレーも改修で使われなくなった天井板や雨戸を再利用している。
古材文化の会には荒木さんも参加している。平成始め頃に町家が次々潰されており、町家の価値を見出だせないかということで約70名の有志が集まり設立された。住居やゲストハウスなど当主に提案するなどし、町家の価値を発信したりしている。築150年の国の有形文化財の「藤田家住宅」は、2022年にカフェとしての利用が始まった。入り口の土間の部分を吹き抜けにしキッチンとして利用できるように改装し、家主の方の愛着がある住居部分は変えず飲食スペースにしている。
京コト+。京都市伏見区にある創業160年の木材店の展示スペースから中継。リポーターは「こちらには約3万点の古材が並んでいる。町家や古民家などで使われていたものを買い取ってここに展示している。どんな人が買いに来るのか。まず商業施設やレストラン。なんと新築の物件の資材用に求める人も多いという」など伝えた。木材店の五代目小畑さんは「古材についてはなつかしい、おしゃれと言ってくれるお客さんが多い」などコメント。リポーターは欄間、引き戸、格子戸など、古材の活用法を紹介した。また、リポーターは「汚れている木材を磨いて作業をしていただく。念入りに絶妙な力加減で磨かれていく。そして、小畑さんたちはこの古材の魅力を間近に感じてもらおうとできたのがテーブルの円天板」など伝えた。小畑さんは「一般の人達にも手軽に使っていただけるようなそんな素材になってほしいと思っている」などコメント。
ジェフ・バーグランドさんは古材の文化について「すばらしいものだと感じた。あそこに学生を連れていきたい」などコメント。荒木さんは木材の引き取りについて「我々も連絡いただければ引き取りに行く」などコメント。古材市について荒木さんは「大体年に2回ぐらいのペース。町家は残したいけどどうしても潰さないといけない、ちょっとでも思い出を残したいケースもけっこうある。そうしたときに床の間の板とかをお預かりして、また使いたいという方に橋渡しする。そんなことをおこなっている」などコメント。
昔ながらの家を改修する様子も見られ、大工が不具合が起きていないか足を運んで確認する様子も見られる。京都の大工は工事を行った家を定期的に尋ねる風習が有る。改修工事の後に仕上げの塗装を行わず改修する前の場所をあえて残すという内装の家も見られ、この家に住む木田さんは存続されていた家を自分たちの改修で終わらせたくない、自分たちはこの家の長い歴史の一地点だと話していた。
町家を回収し終えた後も足を運び続ける京都の大工の姿が紹介されたが、荒木さんは常々手入れしないと悼んでしまうので早いうちにメンテナンスを行っていくことが大切なのだと話していた。古材の家を残すためには生活の中に古材が息づかないといけない、町家に住む人を増やすことも古材を残す方法だと話していた。
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- 京都府
エンディングのあいさつ。
「大河ドラマ 光る君へ」の番組宣伝。
「アストリッドとラファエル4 文書係の事件録」の番組宣伝。