- 出演者
- 片山千恵子 ウド鈴木 山根千佳
元日の能登半島地震では発生後すぐに各地を津波が襲った。ある集落では早い津波に襲われながらも日頃からの工夫が住民の命を救った。一方避難したくてもできない深刻な事態も起きていた。速い津波のリスクは他の地域にも存在することがわかってきた。今回は早い津波からどう身を守るか考える。
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- 令和6年能登半島地震能登半島
能登半島地震を通して早い津波への備えについて考える。能登半島地震で発生した津波は揺れたらすぐに来る早い津波。早いところで10~15分で来たところもあるという。有川太郎さんは「日本は海に囲まれているため、そこに住み続けるためには津波防災についてしっかりと学んでいただくことが大切」などと話した。
津波を引き起こす地震は海底の断層がずれることで引き起こされる場合がある。能登半島の地震では能登半島北部で4つの断層が約150kmに渡って破壊され、津波が発生した。陸に近い分早い津波になったという。シミュレーションを見ると地震発生から約20分後に珠洲市三崎町に津波が到達したことがわかる。こうした早い津波を引き起こす断層は日本海側に多く存在することがわかっていて、国の研究グループはこれまで知られていなかった断層を8年かけて探してきた。その結果が2021年にまとまり、津波をもたらすおそれのある断層は合わせて185にのぼり、このうち陸と海にまたがるものや沿岸との境界にある「海陸断層」が30あまりあることがわかった。東京大学地震研究所の篠原教授は「大きな揺れに見舞われかつすぐに津波がくるという状況でどう避難するか非常に難しい」などと話した。
早い津波について有川太郎さんが解説する。日本海側に津波をもたらす可能性のある断層が185あることが国の追加調査でわかった。有川さんによると特徴的なのは新たに判明した断層が陸側に寄っていること。1983年には日本海中部地震、1993年には北海道南西沖地震が発生し、これらも10分以内に津波が来ている。更に海と陸にまたがった海陸断層では早い津波が発生するリスクが高くなる。海陸断層は太平洋側などあらゆるところにある。早い津波は海底地すべりが起こることで生じるという。能登半島地震では富山湾で海底地すべりが発生したのではないかと言われている。
海沿いに家屋が立ち並ぶ、石川県珠洲市三崎町寺家の下出地区。約40世帯が暮らしていたが、能登半島地震の津波により大きな被害を受けた。地区の防災士、奥濱さん。東日本大震災をきっかけに定期的な避難訓練を呼びかけたが当初の参加者は3分の1だったという。奥濱さんは参加者が増えるように、避難訓練のあとに交流の場を設けた。その雰囲気づくりが住民の意識を変えていったという。こうして避難訓練はいつしか地区の恒例行事となった。そのうち住民みずから避難方法を模索するようにもなったという。その一つが避難経路の見直し。市に要請して経路の整備も行った。避難訓練を重ね、『なにかあったら集会所』という合言葉も定着。元日の地震ではこの合言葉が活かされ、住民は全員集会所に避難し命を落とした人はいなかった。
下出地区の取り組みを紹介。避難訓練のあとに交流の場を設けた。有川さんによると東日本大震災の5~10分ほど早く行動していたことになるという。人のつながりが薄い都市部では独自でハザードマップを確認したり避難経路を確認することが大切。また、都市部でも周りと交流を持ち続けることが大切とのこと。自治体によっては津波の到達時間を示したハザードマップもある。新潟市中央区の自主避難マップは津波到達までの時間を5段階に色分けしている。
津波警報・津波注意報が出たときの行動について。注意報が出たら海の中や海岸からすぐに離れ、解除されるまで海に近づかないように。津波警報・大津波警報が出たら一刻も早く高台などに避難するべき。沿岸部で震源が近い場合は警報より先に津波が到達する可能性がある。強い揺れを感じたらすぐに避難が鉄則。
石川県各地で相次いだ建物の倒壊が津波からの避難の妨げになっていたことがわかってきた。事前に想定していた避難路を使えない事態も起きた。宝立町で旅行代理店を営んでいた松軒さんは避難訓練に定期的に参加していたが、避難所に向かおうにも家屋の倒壊で自宅前の通りが塞がれてしまった。「パニックになって右に行くのか左に行くのかもわからない」などと当時を振り返った。避難所まで、普段なら10分の道のりだったが到着したのは約25分後だったという。被災地の調査・分析にあたった静岡大学の牛山素行教授は倒壊した家屋に避難を妨げられたりして津波に襲われたと見られる人もいると指摘した上で「対策は避難だけではない」とする。街の耐震性を高め、壊れやすい建物を少しでも減らすのが何よりも重要だとしている。
津波からの避難を妨げる家屋倒壊。有川さんはいかにそういうことを防ぐかが大事だとし、一番肝になるのは耐震化だとした。耐震化のメリットは自分の命を守る自助、避難路を塞がない共助。今地方では自主防災組織がなかったり避難計画が策定されていない地域もある。要支援者らをどう避難させるか考えていく必要がある。
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東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県山元町。町の約4割が浸水した。住民は車で避難をしようとしたが、大渋滞していたという。犠牲者の中には車での避難途中の渋滞のために逃げ切れなかった人も多くいたと見られている。山元町は沿岸部は平坦なため、徒歩だと津波に飲み込まれてしまう。町は2013年から車での避難訓練を始めた。最初の年は国道の交差点で深刻な渋滞が発生。そこで町は別の避難ルートを提示した。2015年の訓練には住民の2割が参加し、沿岸部の住人は690台の車で避難した。渋滞を減らすため、住民は知り合いの車に乗って車の台数を減らすことにした。声掛けで逃げ遅れを防ぐメリットもある。こうして想定の津波到達時間より早い30分ほどで避難は完了した。更に町は10本の避難路を設置した。
津波への備えについて。有川さんは徒歩で逃げることを大原則としながら車を必要とされる方々が必要となった時に使えるような状態にしておくことが大切などと話した。また渋滞を防ぐために経路を作っておくことも大事とのこと。
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ぼうさい甲子園・ぼうさい大賞を受賞したのが静岡大学。ゲームさながらのWEBサービスを開発した。こどもたちにも楽しく防災を学んでほしい、そんな熱意と工夫がつまっている。