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- 矢内雄一郎 大浜平太郎 平出真有 藤井由依 唐鎌大輔 植野大作
植野さんは「当社の企業物価指数の予想は前年比3.9%と前月の3.8%から加速するとみています。昨年まで4年連続で円安が進んだ影響もあり、最近は食品や光熱費の値上がりが続く中、コメの価格高騰なども物価高の一因になっています。政府と日銀が一体となって政策運営に取り組むという共同声明が見直されない限り、日本の金融政策にはどうしても政府からの雑音、日銀も政府の意向を完全に無視した政策はやりにくいという状況が続くと思います」、唐鎌さんは「輸入物価に注目しています。輸入物価円建てと外貨建て両方出てくる12月分が、4ヶ月ぶりに前年比でプラスになりました。今回円建てがもう1回、輸入物価指数が前年比でプラスになったとなると、2ヶ月連続プラスになるのは去年の夏以来です。この指数を見ておくと、次の会合のヒントになるのは間違いないと思います」などと話した。
全国の気象情報を伝えた。
岡三証券NYの荻原裕司さんは「今回の決算シーズンでは消費関連企業、特にファストフード業界に注目しています。去年は物価の上昇により低所得者層を中心に打撃となり、ファストフード企業を中心に構成されるレストラン株指数は冴えない展開が続いていましたが、足元では消費関連株の中でも特に堅調な値動きとなっています。昨年夏以降、消費者の買い控えの動きを受け主要ファストフード企業が揃って低価格メニューを投入したことで、顧客を呼び戻すことに成功、既存店売上高の回復とともに株価の上昇をもたらしていると考えられます。今年上半期の既存店売上高の市場予想は前年の反動もあり、プラス成長が続く見通しです。ヤム・ブランズは、AIを積極的に導入したことで、顧客の支持向上につながっているとしています。今後のリスクは、外食業界で働く人は移民の割合が高いため、トランプ政権の移民政策の短期的な影響は否定できないことです。ただ、ヤム・ブランズ傘下のファストフード店では、人間によるサービスが重視される一般的なレストランと比べると省人化が進んでいるとみられます。ファストフード企業は、移民政策で労働市場が縮小した場合でも経営に与える影響が小さくなり、経営の自由度も高まれば、外食市場におけるシェア拡大に期待できそうです」などと話した。
為替などの値動きを伝えた。
NY株式の値動きを伝えた。
唐鎌さんは「日本の2024年の経常収支は約29.3兆円で、現行統計で比較可能な1985年以降過去最大。過去最大だった2007年というのは、経常黒字の半分は貿易収支でした。しかし、2024年に関しては、第一次所得収支だけで40兆円でした。要は、投資で稼いでおり、成熟した債権国と言われている姿がより鮮明になりました。経常収支の中でも、近年サービス収支に着目すると動きが、すごく早いというか激しいですね。端的に言うと、拡大するデジタル赤字を、拡大する旅行収支黒字でいかに打ち返せるかというのが、今の争点になっています。旅行収支での打ち返しというのは、どこかで力尽きてくるとすると、サービス収支赤字はデジタル赤字に押され綱引きが進んでいくのではないかと思っています。サービス収支の長期展望を見てみると、サービス収支赤字が10兆円を超えたらどういう意味があるのかということを考えながら、為替市場などの展望をしていくといいのかなと思っています。過去に3回だけサービス収支赤字が10兆円を超えており、いずれも大きな円安の影響がありました。10兆円を超えてくるとドル円相場には影響が出てくると思います」などと話した。
船の燃料にもアンモニアを使えないだろうかという動きが今出てきている。ヨーロッパでは先月から航海で排出する温室効果ガスの量に応じて罰金が課せられる制度がすでに始まっている。去年12月、アンモニアを燃料とする船舶用エンジンの実証試験が行われた。アンモニアエンジンを積んでいるのは全長37メートルのタグボート。日本郵船が保有しグループ企業の新日本海洋社が運航。実証試験ではまず重油を燃料にして出港し、沖合で燃料をアンモニアに切り替える。アンモニアエンジンを開発したのはIHI原動機。今回タグボートに搭載されたエンジンは重油もアンモニアも燃料にできる二刀流。ただアンモニアモードでもCO2の排出を完全にゼロに抑えられてはいない。IHI原動機の工場で行った試験では重油のみに比べ最大95%のCO2を削減できた。アンモニア燃料船プロジェクトの旗振り役、日本郵船は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質的にゼロにするネットゼロを目標としている。次世代燃料としてはアンモニアだけでなく水素やメタノールにも取り組んでいる。
IHI原動機の工場では大型船に乗せる発電用のアンモニアエンジンの試運転の最中。大型船を動かすメインのアンモニアエンジンの製造が始まっている。ジャパンエンジンコーポレーションでは4月からの工場内での試運転を目指し作業が進められている。エンジンが完成すれば高さはおよそ10メートル。ジャパンエンジンコーポレーションでは圧縮された空気の中に液体アンモニアと重油を噴霧し燃焼。おととしの5月から1年半をかけて行われたテストエンジンでの試験ではアンモニアの割合を95%まで高めることで重油だけの場合より最大95%のCO2を削減。将来的には重油をバイオ燃料にすることでCO2の排出量を実質ゼロにすることが可能だという。今は100年に一度のエネルギー転換期。ジャパンエンジンコーポレーションは川崎重工業、ヤンマーパワーテクノロジーとともに水素を燃料としたエンジンの開発も進める。2027年度には水素エンジンを乗せた船も竣工する予定。製造や供給のインフラが整うのはどの燃料なのか。それが今後のカギとなる。
日本経済新聞・秋田浩之氏の解説。きょう取り上げる記事は日経電子版2月10日の「米中・醜いディールの誘惑・トランプ氏の「地雷」は安保」。きょうのテーマ「米中対立“ディール”がもたらす影響」。秋田氏は「表だけをみると10%の追加関税をかけたり中国をたたいている。しかし、最終的には習近平国家主席と交渉して美しい外交ディールを交わしたいという思惑がある。トランプ氏は1月の大統領就任式に習氏を招待し、100日以内の訪中に関心を示した。さらに制裁関税を課す前日に24時間以内に協議をすると発言した」、「最大の目標はアメリカに通商面で特になること。米国産の食料やエネルギーの輸入増加でアメリカの貿易赤字を減らすことを考えている。外交面ではウクライナの停戦を公約に掲げている。中国に対してロシアに停戦を働きかける。ロシアが大量に兵器を生産できるのは中国が工作機械や精密電子機器など対露制裁でロシアが調達できないものを供給している。トランプ氏のディールはこの供給をやめさせて、ロシアの停戦に協力させることが念頭にあると思う。中国も全面的なアメリカとの衝突を望んではいない。国内の経済が厳しい状況で、貿易戦争が深まると打撃は大きいし、社会の失業が増加しているため国内の安定を最優先したいと考えているはず」と話した。
秋田氏は「心配なのはトランプ氏がアメリカの貿易上良い事だけを中国から引き出し、台湾問題や南シナ海といった安全保障の問題を中国側に譲ること。それをやれば、アジアの安定が崩れる危険がある。中国はアメリカ製品の爆買いを提案する代わりに台湾への武器売却停止や台湾との要人往来の停止などを求める可能性がある」と話した。バイデン前大統領は4回「台湾を守る」と発言。トランプ大統領は「台湾が守ってほしいならお金を払うべき」と発言。秋田氏は「中国の経済侵略に日米で対処する方針を強調。共同記者会見はルビオ国務長官やウォルツ大統領補佐官が主導して共同声明をつくった。中国は敵対国であると同時に取引しないといけない大切な相手」と述べた。秋田氏は米中対立のシナリオは3つの可能性があるとして、1.融和「通商合意、ウクライナ問題などで協力が成立」。2.緊張シナリオ。「通商合意してもいろいろな問題で妥協が長続きせず安保問題で敵対が深まる」。3.中間。「通商合意は保持。安保問題で敵対。ルビオ国務長官やウォルツ補佐官などとより連携する必要がある」を挙げた。
アメリカ・トランプ大統領は12日、ロシア・プーチン大統領と電話会談を行いウクライナでの戦争終結に向けた交渉を始めることで合意したと明らかにした。トランプ氏は自身のSNSで「プーチン大統領と生産的な会談を行いこれ以上死者を出さない考えで一致」したと述べた。その上でアメリカがロシア側との停戦交渉を直ちに始めるとしている。トランプ氏は記者団に対して「プーチン氏は半年以内の戦争終結を望む」とし、サウジアラビアで対面の首脳会談を行う考えを明らかにした。停戦交渉の結果、「ウクライナが全領土を回復する可能性は低い」とし、ウクライナがNATOへの加盟にも否定的な考えを示した。これに先立ち、トランプ氏はウクライナ・ゼレンスキー大統領とも電話会談。プーチン氏との会話の内容を伝えたと思われるが、ウクライナが停戦交渉にどの程度関与できるかは不明。
アメリカの1月の消費者物価指数は前年比3.0%上昇した。伸びは4カ月連続で加速、市場予想も上回っている。食品2.5%上昇したほか、住居費4.4%プラスと高い伸びが続いている。コア指数は3.3%のプラスと市場予想を上回った。前月比の消費者物価指数は0.5%上昇、2023年8月以来の高い伸びとなった。
FRB・パウエル議長は12日、アメリカ議会下院の証言で「利下げを急ぐ必要はない」との認識をあらためて示した。1月の消費者物価指数を念頭に「物価目標を達成するにはまだ時間がかかる、政策金利は当面抑制的な水準で据え置く」とした。これに先立ちトランプ大統領は自身のSNSで「政策金利を引き下げるよう」再び要求し「利下げと関税を同時に実施すればアメリカ経済はロックンロールだ」と述べ、FRBへの圧力を強めている。
ゲストのきょうの経済視点を紹介。唐鎌さんは「ドイツ総選挙」とし、「ドイツ国民の関心事は移民難民が一番高い、CDUの支持率が30%でほぼ勝つだろうとされているがこれだけでは政治はできない、今の与党と大連立を組むのか、そうならないと何も決められない。マーケットから見ると大連立してくれたほうがユーロが好感されるかなとみている」などと話した。植野さんは「両刃の剣」とし、トランプ政権の関税政策についてで、「関税を払うのは輸入元のアメリカ企業、関税という名の輸入増税が販売価格に転嫁されればアメリカの消費者への負担になる、転嫁されなければ輸入企業の業績が落ちる、アメリカ経済に打撃が及ぶ。別の交渉を有利に進めるカードとして使っている可能性が高いと思う。株式市場の役割に注目したい」などと話した。