- 出演者
- 長谷川博己
オープニング映像。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では2万人近い人が犠牲になった。その中の3810人が災害関連死。地震や津波のような直接死は免れたものの、その後の避難生活で命を失った人たち。発生から10年、熊本地震の死者数を占める災害関連死8割を超えた。2年前の能登半島地震では災害関連死は7割近くにのぼっている。災害関連死の原因の一つとされるのが、その環境にある。その改善に長年取り組んでいる人が日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏教授。今回は被災者のウェルビーイングを目指し挑み続けるひとを追った。
ウェルビーイングとは?という映像が流れた。
1月17日の北海道・北見市では真冬の最低気温はマイナス20℃に。この場所で今災害がおきたらを体験できる演習が始まろうとしていた。大きな荷物を抱えた人たちが続々とやってきたが、受付を済ませ体育館に集合したがそれらを指揮するのは日本赤十字北海道看護大学の根本昌宏さん。16年前からこの演習を行い、災害のたびに問題になる災害関連死を防ぐために避難所の改善を訴えてきた。演習に参加するのは自治体の防災担当者など124名。冬の避難所の環境を知り、各自治体の防災に役立ててもらうのが狙い。極寒の地で大規模地震が発生し、電気ガス水道が断絶した想定で行われ、その環境で生活し改善点を探っていく。最初に全員で体育館の床にブルーシートを張る。まずは毛布一枚で寒さとどう向き合うのか、参加者が考える。ある6人組は網を4枚床に重ね、シートにし身を寄せたって座った。残りの毛布は床にかけて寒さを凌ぐ作戦に。さらに毛布や寝袋を駆使して休んでみても寒いという。実際にサーモカメラで見てみると、ブルーシートの温度は3.8℃で横になれば体温があっという間に奪われてしまう。
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- 北見市(北海道)日本赤十字北海道看護大学
今でも発災直後の避難所では雑魚寝をする姿がよく見られる。これが被災者の健康を脅かすことを根本さんは知ってほしかったという。次に避難所に欠かせないトイレの設置や使い方に関する演習。断水中は水洗トイレとして使えないために専用のバッグを便座の下に取り付ける。使い方は受け皿として設置したバッグの上にポリ袋を被せて用を足したら自分で廃棄。トイレが不便だと人は排泄を我慢し、水分の摂取を控えがち。脱水症状になり、心筋梗塞などの災害関連疾患につながる可能性がある。この演習では快適にトイレを使うために皆で話し合う。仮設トイレでは入った女性がなかなか出てこなかった原因は、ドアが開けにくいこと。災害が発生した時にささいなことで被災者はパニックを起こしたりトイレの我慢につながる。そこで張り紙でドアのあけ方のコツ周知することに。またトイレの入口には、レンガを積んでいき、子どもや高齢者が使いやすいように段差をなくす工夫を行う。足元には照明をつけた。
練習は一泊二日で、実際に眠ることも大事な体験。おなじみの段ボールベッドを用意し、床に雑魚寝はしない。小さな段ボール箱を作り、その箱を大きな段ボール箱にいれていく。6セット段ボールを組み立てて上に天板をおいて、マットレスをおくと段ボールベッドが出来上がる。1台を用意するのに5分ほどかかるが、次に試したのが、折りたたみ式のスチールベッドはフレームを広げるだけの手軽さ。1台30秒で段ボールベッドの半分以下で設置ができる。スチールベッドを導入すれば、避難所設営のコストや手間を大幅に低減できることを実感してもらった。ベッドの上一人用のテントを設置すれば、テントの中を5℃高くできるという。災害時に我慢するのは当たり前という常識を根本さんは打ち破ることで災害関連死を防ごうとしている。すべてのベッドの上にテントが設置され、参加者は寝る準備にとりかかった。この時、暖房を切った体育館の室温は8℃。そんな中根本さんと話しあっていたのは旭川赤十字病院の木下洋平さん。16年前に学生時代に根本さんと共に厳冬期災害演習を立ち上げた。現在は災害が起きた時に被災地で救援にあたる日赤救護班として活動。能登半島地震でも救援活動をしたが、未だに避難所は雑魚寝状態で変わっていないと感じたという。サウナテントは根本さんのアイディアで、暖かさと団らんを提供しようとしている。過ごしやすい避難所を作ることに根本さんは諦めていなかった。
北海道・北見市では16年前から厳冬期の避難所のあり方を経験する演習を実施し、改善点を模索してきた根本さん。8年前に生まれたアイディアは、ポリ袋に足を入れてお湯に浸かる避難所仕様の足湯。災害の時こそウェルビーイングの工夫を。それが根本さんの思い。翌朝、演習二日目は参加者が気づいたことや感じたことを話し合い、発表した。
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白糠町は北海道の太平洋沿岸に位置する。常に津波への危機感と向き合ってきた。村山さんは地元の消防署で43年間勤め上げたあとに去年から町の地域防災支援員として活動している。白糠町が2019年に製作したシミュレーション動画では、北海道が公表した巨大地震モデルや、津波浸水データを元にした予測では、日本海溝を千島海溝沿いの巨大地震が発生した場合に、白糠町には最大16.5mの津波が押し寄せて市街地の全域が浸水の可能性も。そのために町は去年の夏におよそ19億円をかけて津波避難タワー2基を建設。津波から生きのびることを最優先に対策を進めてきた。2月15日に、津波避難訓練が実施され、外の気温は0℃。付近の住民が集まってきて、津波から避難する意識はたかいものの、不安には避難所での生活が不安だという。避難したあとも命を守れるのか?根本さんの演習で多くを学んだ村山さんは危機意識を強めていた。
この日、白糠町役場の危機対策課では、厳冬期災害演習の報告と、それをうけた検討が行われていた。そして村山さんが演習でどれが使えるかなどと伝えたものの、予算の問題が提言された。白糠町では仮設トイレ40基の設置を計画。来年度予算で2600万円を要求した。一基1000万円を越えるコンテナトイレの導入は町の予算と大きくかけ離れている。防災予算の壁がある中で身を守るためにできることはあるのか?
北見市にある日本赤十字北海道看護大学。この日いくつもの段ボール箱が運ばれていた。持ち込んだのは作業服大手のワークマン。商品開発を担当する柏田大輔さんと中野登仁さん。日本赤十字看護大学附属災害救護研究所と連携し、防災服を開発してきた。平時は普段着として有事の際には防災服として活用できるウェアを目指していた。ワークマンと協力する災害救護研究所の曽篠恭裕さん。コラボで生まれたのがXシェルターシリーズという、2024年9月から170万着以上を販売。外気の温度を中には伝えない構造で、着る断熱材とアピール。発熱する綿と通常のガラス5枚分に相当する独自の断熱シートを組み合わせた世界初の技術で、外気温がマイナス10度までなら服の中を30℃前後に保つ。売り上げナンバーワンのアウターだという。今回は部屋着としても使える新モデルの開発を行っていた。その上、マイナス30℃の環境でも服の中を30℃前後に保とうとしている。事前に服の中の温度をチェックし、断熱性を高めた新素材で最大8割の軽量化を目指す。早速屋外に出て検証を行った。災害救護研究所の曽篠さんは暖かい防寒着への重要性を伝えた。マイナス15℃の中で30分、服の中の温度は?
日本赤十字看護大学附属災害救護研究所とワークマンがコラボしたXシェルターシリーズ。新モデルの試作品の性能を検証する。マイナス15度の極寒の中で30分、その服の中の温度は28.8℃。一方で災害救護研究所の曽篠さんからは、首周りも工夫のしどころだと答えた。
非常時にも“日常”をという映像が流れた。
1月下旬、北海道・網走市。オホーツク海沿岸の地だが、全校生徒37人の網走市立第五中学校。そこに、日本赤十字北海道看護大学の根本さんがいた。今年で5回目となる出前授業。根本さんにはある思いがあった。この授業ではライフラインが寸断したことを想定し、カセットコンロを使う。ビニール袋で調理をし、なるべく洗い物をださないにする調理方法も学んだ。根本さんはこうした防災教育を多くの学校で取り入れてほしいと考えている。
東京・台東区にあるワークマンで、北見市での検証から2週間あまりで、施策した改良品が完成した。袖口は手首にフィットするストレッチ素材を加えた。また部屋着としても使えるがそのまま外に出ても、服の中に冷気が進入しないように襟をつけた。初めて導入した施術には、温度によって色が変化する特殊な素材は服の中の温度が最適であることを示している。
「ガイアの夜明け」の次回予告をした。
「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝。
