- 出演者
- 城島茂
本日は東京・練馬区の日本の食を支える東京の匠を調査する。
最初は麦茶の匠を訪れる。夏の定番の麦茶の意外と知らない製法と匠のこだわりを調査する。やって来たのは、東京・練馬区にある川原製粉所で、都内の高級五つ星ホテルがウェルカムドリンクに使う麦茶を製造しているという。創業86年で、3代目である匠・川原渉さんの目線カメラでこだわりの濃い麦茶の製造方法を探る。そもそも麦茶は原料の大麦を焙煎して製造するもので、ここではその焙煎前にタンクに入れ、麦の中に入っている土や殻など異物を選別し、大麦の甘さや香りを引き出すために特別に古い精米機に入れて表面を削っている。焙煎でも、一般的には熱風を直接当てて短期間で均一に焙煎するが、匠は砂釜焙煎という釜の中の砂をバーナーで熱し、砂の赤外線効果で大麦を焙煎する昔ながらの製法を取っている。手間暇がかかるため、都内では2軒しかないという。1つ目の大釜で30秒焙煎された大麦は、2つ目の釜で1分半ほど焙煎し、そうすることで大麦の中にしっかりと熱を通し、味や香りを引き出しているという。砂の温度は300度で、釜の周りは夏場だと50度を超えるという。そして麦は焦げる寸前が美味しく、釜に入れる麦の量を調節し、温度を低くしたい時は多く入れ、逆に高くしたい時は少なくするなど手作業でしており、焙煎時間も短く、その日の気温や湿度によって常に変化するため、1日に100回以上調節を繰り返しているという。見本があり、焦げる寸前だと麦がくっついてしまうため、すこし薄い程度のものはレーンに戻して黒いものと混ぜたりもするという。
ここで焙煎した大麦は粒が大きく膨らんでいる。問題「焙煎した大麦が膨らんで大きくなる現象を何という?」。正解は「爆ぜる」。砂釜で焙煎した大麦は、中身が膨らみ、殻が割れている。この爆ぜるという現象が砂釜焙煎の特徴であり、これによって麦茶の甘みや香りを引き出している。
匠のこだわりは他にもあり、砂釜だとムラがあるが、これを煎りムラといい、色が薄い部分から麦茶の甘み・色が濃い部分から色や香りを引き出しているという。比率は薄いものが2割、濃いものが2割、中間が6割が、匠が考える黄金比だという。このあと、匠が美味しい麦茶の入れ方を伝授する。
麦茶の匠・川原製粉所の川原渉が、美味しい麦茶の淹れ方を紹介。麦茶は水出し・煮出しの2種類の作り方があるが、今回は煮出しで作っていく。まずはやかんに水1.8L・粉麦茶40gを入れて火にかける。沸騰して吹きこぼれる寸前で弱火にし、約3分ほど煮出して火を止めたら、少し置いて粗熱を取った後、布巾などでこして完成。こうして淹れた砂釜焙煎の麦茶と、一般的な熱風焙煎の麦茶を飲み比べる。砂釜焙煎の麦茶は色がより濃く、深い味わい・甘み・麦茶全体の味わいの3種類の味を感じると城島はコメントした。
今回紹介したこだわりの麦茶”川原製粉所(東京麦茶)”(丸つぶ 200g 490円~、パック 20包入り 630円~)は、工場の直売所・オンラインストアなどで販売されている。川原渉は「この夏をぜひ麦茶で乗り越えてほしい」とコメントした。
港区・六本木で、東京産のこだわりが詰まったものを使用している寿司屋を取材。訪れたのは、六本木の伝説の寿司店「蔵六鮨」で修業した店主がのれん分けをして2012年に開業し、多くのスポーツ選手や著名人も足を運ぶ、完全予約制の江戸前寿司の名店「蔵六雄山」。ここでは、匠がこだわって造った東京産の赤酢・横井醸造の赤酢を使っている。蔵六雄山大将・小高雄一によると、この赤酢は味やコク・クセの強さが独特だが、上手く使いこなすと美味しい寿司ができるという。実際に握ってもらい、まずは下関のマグロをいただいた。城島は、独特な味の奥行きがあり、お米と赤みの一体感を赤酢がまとめているとコメント。小高は、この赤酢は普通の米酢と違い、甘酸っぱい感じが全く無いと話した。続いてアオリイカをいただき、赤酢との相性の良さを城島は絶賛。小高は、「今は店をオープンして15年が経つが、この赤酢がなかったら5年目ぐらいで辞めていただろう」と語った。
やってきたのは江東区新木場。待っていたのは赤酢の匠・横井醸造工業の横井太郎さん(62)。横井醸造工業は1937年創業の老舗食酢メーカー。都内で唯一お酢の製造工場を持つ会社でもある。江戸前の寿司職人達が認める濃厚な赤酢。どうやって作っているのか?工場の中へ入る。お酢を作るにはまず蒸した米に、麹や酵母などを加えて発酵させ日本酒を作る。その日本酒に酢酸菌という菌を加えて発酵させたものが米酢となる。一方、横井醸造の赤酢は日本酒を絞った後に残る酒粕を熟成し、そこから抽出した粕汁に酢酸菌を加えて作る。この製造工程に膨大な時間と労力がかかっているという。城島さんの背丈よりも大きい巨大なタンクがたくさん並ぶ部屋。タンクの中では酒粕が熟成されている。カビが発生しないようにするため職人が足で踏み込みながら空気を抜いて入れるそう。酒粕を長期熟成させることでアミノ酸などが増え濃厚な赤酢に仕上がるという。
「真っ黒になった酒粕の熟成期間は?」という問題の答えは「7年」。
搾り作業では、長期熟成させた酒粕に水を加え、圧搾機で粕汁を抽出する。「酒粕の搾り作業にかかる時間は?」という問題が出された。答えは「約1週間」。搾った粕汁は、発酵槽で赤酢へと変化していく。酢酸菌が粕汁のアルコール成分を酢酸に変化させることで、赤酢が出来上がる。1カ月半~2カ月ほどかけて発酵させるという。加熱処理などをして瓶詰めを行えば完成。
赤酢はお寿司だけでなく、お肉との相性も非常に良く、おすすめレシピとして豚肉の赤酢焼きが紹介された。豚肉に塩コショウをふり、片栗粉を薄くまぶし、フライパンで焼く。次に赤酢・しょうゆ・みりん・酒を大さじ1杯ずつ加え、軽く煮詰めれば完成。試食した城島茂は「めちゃくちゃ美味しい!」と手を叩いて絶賛した。江戸前熟赤酢は150ml972円で、工場の直売所やオンラインストアで販売されている。
続いての日本の食を支える匠さんがいるのは東京都三鷹市の納豆の匠。納豆を手作業で作っていて高級なものだと60gで3000円だという。しかも販売してすぐに売り切れてしまうほどの人気だという。そんな納豆の匠は天草納豆の坂本仁さん(51)。坂本さんが作る60g3000円の高級納豆は発売すればすぐに売り切れる人気ぶりだというが、こだわりが詰まったその作り方とは?匠に目線カメラをつけ、作業の様子を見ていく。匠が見せたのは蒸した黒大豆。この黒大豆の驚きの値段とは?
60g3000円の高級納豆。まず原料となる大豆にも匠のこだわりが。日本で一番高い丹波の黒豆飛切を使用。天草納豆で使う国産大豆は1gで約470円となっているが、この兵庫県丹波産黒大豆は1kg5000円だという。そんな最高級の黒大豆をまずは90分かけて蒸し上げる。
この蒸し具合によって食感や味が変わってくるため、匠はある2本の指を使ってその蒸し具合を確認するという。その方法は力の入りにくい親指と小指で挟んで潰れるぐらいがちょうど良い蒸し具合だそう。実際に潰してみた城島さんは1kg5000円を潰すのはもったいないとコメントした。
次に蒸した大豆にこだわりの納豆菌を加えていく。鹿児島産のわらから抽出した糸が細くて発酵が早いオリジナルの納豆菌を使用。そもそも納豆菌はわらや土壌に生息する菌の一種。善玉菌を助けて腸内環境を整える効果もあり繁殖力が非常に強い菌でもある。そして納豆菌を約40℃のお湯と混ぜて蒸した大豆にかける。
この後、一般的にはよく見る発泡スチロールの容器に入れて発酵させていくが、阪本さんはある特殊なものに入れるそう。それは経木という木を紙のように薄く削った日本伝統の包装資材。経木とは、元々お経を書くために使われいた木で、阪本さんのところでは赤松から作った栃木県那須塩原産の経木を使用しており、この木自体がマツタケが生える木で、木自体がグルタミン酸のうまみ成分を持っているそう。お値段も1枚15円の最高級の経木で、阪本さんはそれを使っているのが「ウチの特徴」と話す。赤松の木を約0.1mmの薄さに削り出す、高度な熟練の技が必要な経木。しかし、高齢化などで職人の数も減っていてかなり希少なものだとういう。
納豆を包む経木を折る方法紹介した後、納豆菌をそれに120グラム前後入れる。経木の厚さによって水分の蒸発が変わるため、包む大豆の量を変えるという。
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経木に包んだ納豆を木箱に並べるが、この時に斜めに置くこと隙間を作り、醗酵に必要な酸素の通り道を作るのがポイントだ。
並べた納豆菌を、醗酵室に入れ、備長炭の炭火で温度を40℃ほどに保ち約17時間かけて発酵させる。臭いの軽減や炭の香りを移すために炭を使っているという。
匠が作る、60グラム3000円の高級納豆は、臭いや粘り気を抑えてあるのが特徴だ。あまり混ぜずに素材の味をいかす食べ方がオススメだそうだ。まずは塩に付けて食べた城島さんは、これをつまみにジョッキいけるなどと話した。黒大豆以外にも100グラム500円~600円ほどで、国産大豆を使った数種類の納豆を店舗で販売している。納豆に入っているナットウキナーゼは熱に弱いため、ご飯を、卵をかけて冷やした上に納豆を乗せる食べ方が店主のオススメだそうだ。また、ご飯にオススメの納豆は「新潟産青大豆の納豆」(100グラム600円)だ。さらにご飯にあるモノを足すと驚きの味になるという。
