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- 豊島晋作 大江麻理子 相内優香 山川龍雄 長部稀
オープニング映像。
日本製鉄による米国の鉄鋼大手USスチールの買収をめぐり、新たな動き。買収の審査をしていたCFIUS(対米外国投資委員会)が判断をバイデン大統領に一任するという結論を出した。日本製鉄は去年、およそ2兆2000億円でUSスチールを買収することで合意。しかし直後に、USW(全米鉄鋼労働組合)が雇用が失われる懸念があるとして反対を表明。米国政府も安全保障上の懸念を示していた。これに対して、日本製鉄とUSスチールは、新たな資本と技術の進歩で、雇用の拡大や事業の存続につながるなどと買収のメリットを訴えてきた。バイデン大統領は15日以内に買収の可否を判断することになった。
日本製鉄によるUSスチールの買収について判断はバイデン大統領に委ねられる。米国・エマニュエル駐日大使インタビュー。大使が引き合いに出したのが、日本でも安全保障上の理由が買収の障壁になってきたことだった。原発事業を抱える東芝が株式の非公開化を含む再編を模索したときなども米国企業などの前に外為法に基づく安全保障上の審査が立ちはだかったと指摘した。同時に米国政府は現在、日本の企業などと契約し、およそ3兆円規模で全米の港湾のインフラ事業などを強化していることも強調。「日米同盟は1つの経済取引よりも深く重い」。「(今回の件は)ビジネスの側面と心理的な側面と安全保障が混在している」。「1つの判断に必要以上の意味を読み取るべきではない。今の日米関係は強固だ」。
日本製鉄によるUSスチールの買収について判断はバイデン大統領に委ねられる。バイデン大統領、15日以内に判断するという。解説・山川さんは「バイデン大統領は買収に反対する可能性。仮に賛成したとしても、そのあとトランプ氏がひっくり返す可能性も高い」とコメント。また、USスチール従業員や首長だけでなく、国防総省なども肯定的な立場となる中でも反対の声は根強いという。全米鉄鋼労組が反対の立場を示す背景には、ライバル企業のクリーブランド・クリフスの立場から見ると、USスチールが立ち直ると困ることもあると見られ、クリーブランド・クリフスも買収を目指しているという。日本製鉄は訴訟も辞さない構えだが、勝訴することは難しいと見られるだけでなく、買収に失敗した場合は違約金も支払う必要があるという。
環境省がきょう発表したPFASの調査結果。病院や社宅など特定の施設で使われる専用水道について、回答を得た1931件のうち、11都府県、44件で国の暫定目標値を超える数値を検出。なかでも福岡県にある航空自衛隊芦屋基地では、国の目標値の30倍に相当する数値となった。専門家会議ではPFASのうち、「PFOS」と「PFOA」という物質について、水道法上の水質基準に引き上げる方針で大筋合意。水質基準となると、自治体や水道事業者は水質検査の実施や濃度が基準値を超えた場合に、改善を求められることになる。基準値は1リットルあたり50ナノグラムで、2026年4月に施行される。
PFASは世界的にも問題になっている。去年からPFASの含有量を検査するサービスを始めた沖エンジニアリング。EU(ヨーロッパ連合)では、すでにPFASの製造使用に関して全面的に禁止する方向で議論が進んでいる。依頼がある企業はEU向けの輸出を多く手掛ける企業が中心だという。検査はPFAS1項目あたり8万円から。
ホンダは1兆1000億円を上限に、発行済株式総数の最大23.7%を市場で買い付けると発表。会見から一夜明けた今日の株式市場で、ホンダ株は寄り付きから急上昇。前の日に比べ、12%以上上昇して取引を終えた。巨額の自社株買いを市場は好感したと受け止められているがホンダの株価は、日産との統合協議が初めて報道された直後に大きく下落。専門家は大規模な自社株買いには、これから始まる統合に向けた協議を株価に左右されたくないという経営陣の思惑もあると指摘する。
自社株買いを行う企業が増えている。大和証券・阿部健児チーフストラテジストは「東証から企業に株価を意識した経営を実現するよう要請が出ていて、経営陣も株価を意識していることをアピールするため積極的に自社株買いを増やしている。この流れはさらに来年も続くと期待される」と指摘している。10月末に発表した東京ガスは、順調に株価を上げていった。一方、KDDIは発表後、株価は上げたものの、その後は横這いで推移。阿部氏は「自社株買いは一時的に株価上昇につながる場合が多いが、予想できない外部環境も影響するので、一様に上がっていくとは限らない」と注意を促している。
次世代半導体の量産を目指すラピダス。製造装置の搬入が進み、いよいよ世界初の半導体の試作に向けて、動き始める。IPA(情報処理推進機構)は経済産業省が所管する独立行政法人。国と民間のサイバーセキュリティやデジタル基盤の整備を担っている。IPAがラピダスに出資し、株主となることでサイバーやデジタルの知見などを事業に反映させる狙いがある。きょう武藤経済産業大臣が、加藤財務大臣と来年度予算案の閣僚折衝に臨んだ。AI、半導体分野で3328億円を計上することで財務省から承認を得た経産省。そのうちIPAによるラピダスへの出資分として1000億円を盛り込んだほか、残りを省エネ半導体などの設計拠点の整備などに充てる方針。ラピダスをめぐっては、債務保証や税制優遇などの支援策も検討していて、関連法案を来年の通常国会に提出する予定。
日銀は10月の金融政策決定会合の議事要旨を公表した。この中で複数の委員が「人手不足のもと、中小企業を含めて賃上げの必要性が当然視される状況」との見方を示していたことがわかった。また、ある委員は「過去3年間の消費者物価の上昇幅に一般労働者の所定内給与の上昇幅は追いついていない」と指摘し、来年の春闘でも「しっかりとした賃上げが実現される必要がある」との認識を示していた。
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自動車の量産に必要な「型式指定」をめぐる不正が相次いだことを受け、国土交通省は検討会がとりまとめた再発防止策を発表した。国がメーカーの生産ラインから新車を抜き取って試験行う仕組みやメーカーに対して経営方針に法令順守を明記するよう義務付けると提言している。一方、不正に対して課徴金を課すなどの罰則は盛り込まなかった。
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サントリーは来年4月に開幕する大阪関西万博の会場で、環境負荷を減らしたビールを販売すると発表した。「水空エール」と名付けたビールは、化学肥料の量を減らすなどして栽培した大麦やホップが原料に使われている。また、製造時の温室効果ガス排出量を通常の商品と比べおよそ2割削減できるとしている。
WBS Xテーマ「世界を目指すJ−POP」。韓国の音楽業界では近年、海外での売上高を右肩上がりで伸ばしていて去年だけでも高い成長を続けている。日本の音楽業界でも世界展開を前提にアーティストを育成するスタートアップの芸能事務所が出てきている。経営者の動きを追った。
韓国ソウル市内のダンススクールには日本人も多く通っているという。背景にはK-POP人気がある。海外で活躍しようと日本を飛び出すアーティストの卵が増えている。日本でも世界を狙う芸能事務所がでてきている。創業4年の芸能事務所BMSGを率いるのは自らも舞台に立ちソロアーティスト・SKY−HIとして活躍する日高光啓CEO。BMSGは従来のアイドルグループとは一線を画し、ダンスや歌唱力の高さが売りのアーティストを次々と育成、主力アーティストBE:FIRSTは3年連続で今年も紅白歌合戦に出場する。創業時は赤字だったが4年でおよそ20億円の純利益をたたき出し都内に自社ビルを構えるまでに会社を成長させた。国内の音楽市場は少子化の影響もあり、今後大きな拡大を見込める状況ではないためBMSGは海外の音楽市場で戦うことを目指すスタートアップ企業だという。K-POPのような音楽が世界を席巻する一方でJ-POPの海外展開は限定的で日高社長は「日本アーティストが継続して海外展開を続けられない理由の一つが時間とお金、日本で東京ドーム2日間10万人が北米で数千、直近2~3年の売り上げ10億円を簡単に捨てられる企業はあまりない。BMSGはスタートアップ、海外展開をやるために会社をつくっていると最初から言っている」とした。
今後の海外展開のカギを握るのがストリーミングサービス。アップルミュージックやSpotifyなど世界中で聴けるストリーミングサービスを活用、所属アーティストであるBE:FIRSTのリスナーはすでに海外が4割を占めている。一方、日本の音楽業界はこれまでストリーミングを通じた海外展開には後ろ向きとされ日本は世界2位の音楽市場にもかかわらずストリーミング市場で7位と低迷している。逆にCDの販売では世界の音楽市場に占めるCDを含むフィジカルディスクの割合が10%にとどまるのに対し日本は35%と高い割合を示している。日高CEOは「CDビジネスがどれくらい音楽業界を真綿で首を絞めるようにしているかという話」と話した。
テーマ「世界を目指すJ−POP」。海外展開を目指すスタートアップの芸能事務所BMSG・日高光啓CEOは日本の音楽業界に変革を起こそうとしている。CD販売に依存してきた日本独自のビジネスモデルは特にファンにCDを多く買わせることでヒットチャートの上位を狙う手法が世界のストリーミング市場への展開を遅らせてきたと指摘、音楽業界関係者向けのイベントでもCD依存からの脱却を訴えた。
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こうした業界の変革を訴える一方で、日高社長の経営にもスタートアップならではの課題がある。人材不足やさらに増やしても良いような成長感があるなどと話した。来年ワールドツアーを控えるBE:FIRSTのチーフマネージャー松尾さんは「ライブを見て印象的だったところは国と地域でバラバラ、戦いづらさは海外プロモーターと話していると感じる部分は逐次ある」とした。アーティストで経営者の日高CEOは独特の立ち位置について「自分がどれだけ慮り権力分配できているとしても権力勾配が傾く立場であるのは間違いない。だから自覚的になること」と話した。
BMSG・日高光啓CEOは海外展開こだわる理由を「世界に通用するクオリティーは絶対に日本に眠っている。エンターテインメントは国を元気にする力がある。国の経済状況を良くする可能性もある。一つの企業を国内のドメスティック企業ではなく、グローバル企業に進出させる力もあるというのは、韓国がもう証明していることだと思う」等と語った。日高社長ロングインタビューをテレ東BIZのアプリやウェブで夜11時から配信する。
臨時国会が閉会。参議院本会議では使い道の公開が必要ない政策活動費の廃止を盛り込んだ政治改革関連法が成立。ただ、企業団体献金の扱いについては折り合えず、来年3月まで結論を持ち越すことになった。一方、いわゆる年収103万円の壁をめぐり、きょう予定されていた自民党、公明党、国民民主党の3党による協議は日程上の都合で延期に。与党側は来年の通常国会でも国民民主党の理解を得たい考えで、今後の協議の行方がカギを握ることになる。
臨時国会閉会。3つの政治改革関連法が成立。政策活動費の廃止が決まった一方で、企業・団体献金の禁止は、結論が来年の3月までに先送り。山川キャスターは「企業・団体献金は表現を変えれば主に自民党議員にとって手取りを増やす政策だと思っている。自分自身の手取りを増やすことには執着するのに、国民の手取りを増やすことに対する情熱が欠けている。来年の通常国会で与野党で激しく議論してほしい」等とコメント。