- 出演者
- 村上龍 小池栄子
オープニング映像。
愛知県名古屋市といえば手羽先。その名古屋発の店といえば世界の山ちゃん。国内69店舗、海外に13店舗存在している。金曜の夜は満席状態に。看板メニューは幻の手羽先。甘辛い醤油ダレに秘伝のスパイスの胡椒がかかっている。作り方を覗いてみると、冷凍してある手羽先は開店前の仕込みで素揚げにしている。一度揚げておくことで外はカリッと中はジューシーに。一日3000本以上出る日も。注文が入るともう一度揚げて醤油ダレなどで味付け。その方法は企業秘密。胡椒についても作り方は門外不出。複数のスパイスを独自に配合しているが、社内でもごく限られた人しか製造方法を知らない秘伝の胡椒。世界の山ちゃんの前身は1981年、看板のキャラクターのモデルの創業者の山本重雄が一代で作り上げたが2016年に突然自宅で倒れ亡くなってしまう。その創業者の跡を継いだのはエスワイフードの山本久美代表。エスワイフードは世界の山ちゃんを運営する会社で、創業は夫だという。結婚以来専業主婦として夫をささえていたが、夫が亡くなった2016年に急遽会社を継ぐことに。コロナ禍で売り上げは落ちたがV字回復。過去最高を更新し絶好調。その要因は脱会長だった。
長野県豊丘村の 南信州とよおかマルシェは年間100万人が訪れる人気スポットに。この日道の駅にやってきたのはキッチンカー。販売を始めるとたちまち人々が集まる人気ぶり。利用者は店舗以外でしか食べられなかったが山本はそのタブーを破って店の外でも楽しめるようにした。現在4台の車が北海道から沖縄まで全国を駆け巡り年間400件以上の出店以来が。そのキッチンカーが楽天モバイルパーク宮城へ。スタジアムの横にはひときわ目立つ長蛇の列が手羽先だけでなくキッチンカー限定メニューの幻のチューリップも販売。片手で手軽に食べられるためにアウトドアにもうってつけ。山本は門外不出の全国の手羽先をスーパーでも買えるようにしたところ、約4年で122万袋を販売する大ヒット商品に。今では自慢の胡椒を武器に関連商品を次々に打ち出している。
この日、本社の厨房では商品開発が行われていた。様々な新商品の候補が並ぶこの会議の名前は「打倒手羽先の会」。手羽作を超える商品を作ろうと模索しているという。ホッケをアクアパッツァ風にしたものや、胡椒の五平餅など。さらに山本が大きく変えたのはデザート。商品開発部の元パティシエの田中は山本が採用した。デザートに力を入れているというが、これまでの山ちゃんのデザートはバニラアイスなどのシンプルなものばかりだったが、山本は、女性や子どももターゲットにするためにデザートを強化。田中が作っていたのは秋にむけての新商品冷やした石の器にぶどうをのせたストーンミックスアイス。客自身が混ぜて楽しむアイス。サクサクした食感を出すためのチョコクリスピーがポイント。シメに頼む客が急増したという。また以前は座敷中心で、大衆居酒屋っぽい内装だったが、最近オープンした店は女性や家族連れがきやすいファミレスのような印象に。
さらに新しいコンセプトの店も。東京・有楽町の店舗では行き交う新幹線が見ることができ、高級な雰囲気に。キッチンで焼いているのは旬の魚。店の名前は 山 ワンランク上の世界の山ちゃん 有楽町店。通常の山ちゃんでは提供していないこだわり抜いた食材が楽しめる高級路線の店。追いついた雰囲気もあり商談にも使用できるという。一番の特徴は客に見えるところで魚を焼く原始焼き。
山本社長は居酒屋山ちゃんからみんなの山ちゃんへと取り組んでいる。
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山本は世界の山ちゃんという店名についてはとある従業員が電話対応のときに冗談で世界の山ちゃんと名乗ったことからついたという。 会社を継いだ時に会長のしてきた事を脱しようと掲げたというが、山本はその時の心境に、会長はカリスマ経営者で会長のことを社員は慕っていたという。しかしなにかと会長だったら？という言葉が散見され、これからは自分たちで考えるべきだと掲げたという。また社員はキッチンカーをしたいと言い出したが、会長がダメと言っていたとは知らずOKと言ったという。しかし社員は会長がダメと言ったと返してきたが挑戦をしたいならするべきだと答えたという。
山本には20年以上続いている趣味がある。四季折々の野菜を庭で農薬を使わずに育てる、家庭菜園。これが息抜きに。1967年に静岡県に生まれた山本は活発な女の子だった。子どもの頃から熱中したのは、バスケットボール。小学校から大学までバスケに明け暮れてキャプテンとして全国優勝したことも。大学卒業後は教員になり、ミニバスケットで男子を指導し、三度の全国優勝を果たした。重雄とは友人の紹介で知り合い、結婚を機に教師をやめて専業主婦になり、子どもができた。子煩悩な父親だった。
2016年に山本の夫が自宅で倒れ、その日のうちに亡くなった。会社からは跡を継いでほしいと言われたが何も受け入れられない状態だったために断ったという。その後も何度も断り続けていた。しかし代表になった理由に、てばさ記という瓦版通信。夫に進められて書くようになったが、結婚直後から25年以上続き、今も山本が毎月1人で作っている。中でも特別な思いで書いたのは、夫が亡くなった直後のもの。夫と会社を思いながら書いていると継ぐことが自分の運命に感じたという。専業主婦がいきなりトップになることに危惧する声も。自身も不安を抱えながら代表になった。
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創業者が倒れ、社長を引き継いだ山本。引き継ぐことになる要因には代表となった1ヶ月後に、夫の友人の経営者が訪ねてきた。次第にビジネスの話になると素人に会社経営はできないと面と向かって言われ、涙を流したという。しかし発奮し、腹が座ったというがそれまでのトップダウン型から社員の自主性に重きを置くボトムアップ型に転換。するとオリジナルメニューが生まれた。浅草橋限定でお子様プレートを提供。
山本はスポーツの指導が役に立っていると答え、社員の声の懸け方も大事にしているという。さらにてばさ記という瓦版通信を紹介。始めた発端は食事の提供が遅くなり会長からクレームが出る前に気を紛らわせるような読み物がないかという提案があったという。また夫であり創業者の夫が亡くなった時も書いたというが、夫の思いを書きたかったという。
山本は、静岡銀行が主催した講演会の「事業継承」をテーマにした講演をおこなっていた。こうした講演を年60回以上行っている。山本は専業主婦から経営者になり、その講演をすることに、社員に新しいことに挑戦しようと声をかけていたのに自分がやらないということにこれが新しい挑戦と思い始めたという。またキャリア教育が小中学校絵は盛んであり働くとう意味を伝える形で行っていると答えた。
山本は先行き不透明な時代、サバイバルに必要なことには変化と答え少しずつ変わっていくことと答えた。
村上は今日の総括に、小柄な人だった。小学校から大学までバスケットボール部だったと資料にあったのだが、ポジションはポイントガードだった。チームの司令塔だ。そんな人が、夫の急逝後、会社を継ぐ。「わたしは経営も飲食もわからない。みなさん、協力してください。年を取った新入社員だと思って一から教えてください。みんなでいっしょに会社を育てていきましょう」夫の死後、2週間後に社員に言った。後継者たる人の言葉として、それ以上のものはない。「幻の手羽先」を店舗以外で売った。店のためにできることは全部やったのだ。とした。
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