- 出演者
- 牛田茉友 山下毅
先週、新たな経済対策の裏付けとなる今年度の補正予算が成立。審議の過程で与党側は立憲民主党の求めに応じて予算案の一部を修正。異例の対応を取った。少数与党の状況のもと政策の実現の与野党の協力が不可欠となる中、政治改革や年収の壁、教育無償化などをめぐって協議が続いている。今回は、内外の重要課題について、各党の政策責任者が討論する。
各党の政策責任者によるスタジオ討論。自民党・政調会長・小野寺五典は「野党の皆さんの声も聞けというのが選挙結果だと思いますので予算の審議に当たっては立憲民主党、日本維新の会、国民民主党などを始め多くの野党の皆さんとさまざま意見交換をさせていただいた。本来の国会のあるべき姿、あるいは政策の積み上げの仕方というのはこれが本当だったのでは」、立憲民主党・政調会長・重徳和彦は「異例尽くめ補正予算の審議だった。国会で修正されることは極めて異例で28年ぶり。数字が入った修正は実は69年ぶり」、日本維新の会・政調会長・青柳仁士は「日本維新の会の補正予算に対する基本的な立場は変わっていない。国民負担率が上がっていて給与が増えないという物価高の中、一定のところばかりお金を出していくというやり方は基本的に是としない。教育無償化をしっかり進めていきたい」、公明党・政調会長・岡本三成は「今後も重要な法案を含めてこのプロセスを続けていくのがすごく大切」、国民民主党・政調会長・浜口誠は「3党協議において年収の壁103万円については178万円を目指して来年から引き上げる。ガソリンについては暫定税率を廃止する。これが幹事長間で3党合意できた。政策決定あるいは税制改正のプロセスが見える化したしたのは意義がある」。日本共産党・政策委員長・山添拓は「補正予算は内容そのものに大問題がある。過去最大の軍事費8268億円、能登の復旧復興予算の3倍以上。また特定の大企業を支援することになる半導体事業などへの支援1兆円。今の物価高で何もかも高く賃金も年金も追いつかない。厳しい現状に寄り添うものとは思えない。少数与党が数合わせのために躍起になっている印象」、れいわ新選組幹事長・高井崇志は「総裁選挙の結果、野党案が通せる千載一遇のチャンスなのにしょぼい修正や空手形の合意で誇らしげにしているのは残念。自公政権打倒しようと協議に参加したが、結局れいわの提案は取り入れられなかった」。
スタジオ解説・討論。与野党の間で年収の壁の見直しが焦点。所得税がかかる「103万円の壁」、社会保険料の負担が生じる「106万円の壁」、「130万円の壁」があると指摘されている。「103万円の壁」をめぐっては自民党と公明党、国民民主党が協議を続けている。国民民主党は手取りを増やし人手不足対策にもつなげるとして178万円への引き上げを求めている。これに対し国と政府は国と地方合わせて7〜8兆円減ると試算し自治体などからも懸念の声。自民党、公明党両党は来年度の税制改正大綱で123万円にするとした。自民党・宮沢税調会長は今回の見直しで様々な条件を考慮すると全体で6000〜7000億円の減収になるとの見通しを示している。自民党・政調会長・小野寺五典は「国民民主党と議論する中で課税のラインが30数年間ずっと変わっていない。物価の数字を見ていくと大体2割ぐらいということで123万円の数字を出した」、国民民主党・政調会長・浜口誠は「全く話にならない。123万円では国民の期待に沿うことにならない」、立憲民主党・政調会長・重徳和彦は「130万円の崖になっている。手取りを補填していくことが大事」、日本維新の会・政調会長・青柳仁士は「103万円の壁の突破は賛成」。「年収の壁」の見直しは。公明党・政調会長・岡本三成は「全ての納税者が納得するにはロジックが必要。税制改正大綱の中に3党合意の178万円を目指して今後も真摯に議論を続けていくと書き込んだ。130万円の崖についても議論していきたい。iDeCoをこれまで65歳までから70歳までに引き上げた」、日本共産党・政策委員長・山添拓は「課税最低限の引き上げは必要。今の議論では極めて不十分。消費税減税、廃止を目指していくことこそ必要」、れいわ新選組幹事長・高井崇志は「憲法25条で保障された健康で文化的な最低限の生活を送る収入から税をとらないというもの。178万円では健康で文化的な生活は送れないので300万円ぐらいまでは税をとらないというのが考え」、国民民主党・政調会長・浜口誠は「引き上げることで働き控えが解消され企業にとっても収益が上がり法人税の税収増、消費の活性化にもつながる」、自民党・政調会長・小野寺五典は「社会保障の問題もあるのでしっかり議論していくことが大事」。
政治改革関連法案:政策活動費の廃止、第三者機関の設置、外国人によるパーティー券の購入禁止など。衆議院で可決し参議院で審議中。企業団体献金の禁止を盛り込んだ法案については与野党は主張にへだたりがあることから国会で議論を続け来年3月末までに結論を得る。立憲民主党・政調会長・重徳和彦は「これも異例づくめだった。政策活動費は5年間で50億円もの自民党元幹事長が自由に使っていた。公開方法工夫支出を提案していたが完全に廃止することに至った。野党が一致して押し切った」、日本維新の会・政調会長・青柳仁士は「与党過半数割れの状況を作り出したのは国民の皆さんに応えるのが野党の責任」、自民党・政調会長・小野寺五典は「企業も個人も同じように政治参加の主体。公開性を徹底して次の国会の中では議論していくことになる」、公明党・政調会長・岡本三成は「自民党に加え主要野党は2年前までは億円、千万円単位で使っていたが一切公表していない。一番力を入れたのは第三者機関の設置」。共産党・山添拓政策委員長は「本丸は企業団体献金の禁止の問題かと思う」、国民民主党・浜口誠政務調査会長は「年内に3法案が成立したのは意義がある」、れいわ新選組・高井崇志幹事長は「れいわ新選組は一貫して法案審議よりも裏金議員の辞職や裏金問題の真相究明が先だと言い続けている」、日本維新の会・青柳仁士政務調査会長は「立憲民主党が出した法案は、企業・団体献金の禁止を国会で議論するために必要な法案だったと思う」、立憲民主党・重徳和彦政務調査会長は「大前提として企業・団体献金の9割以上は自民党が受け取っている巨額のお金。政治とカネの問題は自民党とカネの問題」、自民・小野寺五典政務調査会長は「企業・団体献金の禁止について3月末までに結論を得るということで合意をしているが、将来の新たな政治参加を阻害するものであってはならないと考えている」。
政府が閣議決定した来年度予算編成の基本方針。中堅、中小企業などを含め賃上げ環境を整備、新たな地方創生施策を展開、復旧復興に向けた取り組みなど防災減災を着実に推進するなど。来年度予算案、何を重視するのか。日本維新の会・青柳仁士政務調査会長は「教育の無償化、社会保険料について質す。国債発行しているが規制改革が追い付いていない」。れいわ新選組・高井崇志幹事長は「30年のデフレ不況、政府が財政出動、政府出動をしてこなかったこと、消費税の増税をしてきたこと。そのため消費税減税をやろう」。国民民主党・浜口誠政務調査会長は「103万円の壁から178万円へ。ガソリン暫定税率廃止、賃上げを継続することが重要。薬価についてや72項目の予算を精査し対応したい」。共産党・山添拓政策委員長は「暮らしを支える予算を中心に進める」。公明党・岡本三成政務調査会長は「観光、農業についてさらに支援していく、来年は阪神淡路大震災から30年、防災減災、災害関連死などの手当てもしていきたい」。立憲民主党・重徳和彦政務調査会長は「物価高への措置をしていかなければならない」。自民党・小野寺五典政務調査会長は「所得賃金を増やす、半導体、AIなどの分野を押し上げないと日本は世界で劣後していく」。立憲民主党・重徳和彦政務調査会長は「野党が勝ち取った予算は野党が執行についてもしっかりと責任を持ちたいという意味で、能登の復興予算1000億円について我々も関わっていきたい」。共産党・山添拓政策委員長は「自民党政治の歪みを正してこそ新しい政治の展開ができる。少数与党になったことで、自民党政治ではできなかったことを如何に前に進めていくかということが問われている」。れいわ新選組・高井崇志幹事長は「野党が一致できるのは消費税減税。これを予算案審議の最大のテーマにしていただきたい」。公明党・岡本三成政務調査会長は「少数与党だが、多数与党となったとしても、予算や重要法案は野党に意見を伺いながらより良いものにしていく姿勢は大切だと思っている」。日本維新の会・青柳仁士政務調査会長は「数合わせのような感じで予算が通ればいいとうのは国民の民意だろうかと疑問を持っている」。国民民主党・浜口誠政務調査会長は「年収の壁など本予算に向けてしっかり協議していくが、合意に基づいたものになったという感じがなければ本予算に対するスタンスは考えざるを得ない」。自民党・小野寺五典政務調査会長は「選挙の結果もあり、今回の予算編成では主要野党と意見交換をしている。我々全員の共通の目的・責任は、予算を通して国民の生活をしっかり支えることなので、野党の皆さんにはぜひご協力をお願いしたいと思っている」。
来月、米国・トランプ政権が誕生する。韓国では尹錫悦大統領の弾劾を求める議案が可決され混乱が続いている。れいわ新選組・高井崇志幹事長は「東京外国語大学教授・伊勢崎賢治氏は防衛省、石破茂総理大臣、中谷元防衛大臣らと親交が強い、中国脅威論についてはもう少し客観的に見たほうがいいと言っている。アメリカが中国と戦争になった場合、米国本土より日本が戦争になる可能性が高い。米国と同盟関係を維持しながら日本は緩衝国家になるようにしなければならない」。共産党・山添拓政策委員長は「日米軍事同盟は絶対という思考停止の状態から抜け出さなくてはならない」。国民民主党・浜口誠政務調査会長は「日米同盟は大事、トランプ政権でもこれを維持していくべき。その上で、我が国の基本的なスタンスをトランプ政権に言っていくことが重要」。公明党・岡本三成政務調査会長は「日米同盟が最も大切。議員になる前にトランプ社長と仕事をしたことがある。反論は数字を持ってすること、これまで以上に議員外交を進めることが大事」。日本維新の会・青柳仁士政務調査会長は「経済安全保障の強化が大事」。立憲民主党・重徳和彦政務調査会長は「アジアの安全保障にアメリカを繋ぎ止めておくことが大事」、自民党・小野寺五典政務調査会長は「安全保障の基軸は日米同盟。日米関係がしっかりしていることを見せることが抑止力になる」。