- 出演者
- 広内仁 斉田季実治 佐藤真莉子 星麻琴 竹野大輝 吉岡真央
ノルウェー・オスロの中継映像。ノーベル平和賞の授賞式が行われる会場の様子を紹介。会場は、ノルウェーの首都・オスロの市庁舎。ことしは被爆者の立場から核兵器の廃絶などを訴えてきた、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)が受賞する。被団協・田中熙巳代表委員、田中重光代表委員、箕牧智之代表委員の3人が登壇する予定。
ノーベル平和賞の授与や演説の様子、現地からの生中継を交えて紹介。世界で核の脅威が高まる中、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)はどのようなメッセージを発信するのか。授賞式で演説する日本被団協・田中熙巳代表委員が、NHKの取材に応じ「核兵器は絶対に存在させてはいけない」と語った。1945年の8月、広島と長崎に相次いで投下された原子爆弾。その年だけで21万もの命が失われたともいわれ、生き残った人々も熱線や爆風、放射線によって体をむしばまれた。日本被団協はその11年後、被爆した人たちの全国組織として結成。それから68年。被爆者たちの訴えとは裏腹に世界で核使用への懸念が高まる中でもたらされた今回のノーベル平和賞。田中代表委員さんは、演説に向けた決意を「被爆者が後ろにいるんだという気持ち。“ちょっと間違ったらどこかで(核兵器が)使われ、いくつか使われたら人類の破滅に行く”と被爆者たちは言っている」と語った。授賞式に合わせて、ノルウェーの首都オスロには、日本全国から被爆者や被爆2世が集まっている。現地時間の9日、50人余の一行が、オスロ大学の植物園を訪問。広島で被爆したイチョウの種を植物園の責任者に手渡し、広島県被団協・佐久間邦彦理事長は「平和な核兵器のない世界を一緒に築いていこうではないか」と呼びかけた。被爆地・広島の原爆資料館ではきょう、被爆体験の証言などを続けてきた被爆者たちが思いを語った。15歳のときに被爆した95歳の女性は「平和を守るための歩みを止めてはいけない」と訴えた。東京でも、核廃絶に向けた地道な活動がきょうも続いている。御茶ノ水駅前に集まったのは、東京の被爆者団体のメンバー。みずからの被爆体験を語り、核兵器廃絶を訴えた。今回の受賞にあたっては、日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)の活動を引き継ぐことの意義も強調された。今回、現地のノルウェー・オスロには高校生平和大使として活動する4人も同行。現地の高校生と交流した。その1人、長崎県「高校生平和大使」・津田凛さんは、これまでも国内外の同世代の前で、原爆について話してきた。みずからは体験していない79年前の惨劇をどんなことばで説明するべきなのか考え続けてきた。今回オスロを訪れるにあたり、たどりついたのは最も身近な被爆者である祖父の姿をありのままに伝えることだった。津田さんは、祖父が今も複数のがんを患っていること、原爆投下から79年たった今も苦しみ続けていることを話した。
ノルウェー・オスロから中継。授賞式は先ほど始まった。長崎の被爆者で日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)・田中熙巳代表委員が、日本被団協を代表して約20分にわたって演説する。日本被団協の役員の中で最高齢の92歳の田中代表委員は、これまで国内外で核兵器の非人道性を訴える活動や核兵器禁止条約の批准を求める活動を続けていた。田中代表委員は、自分と同じ世代で積極的に運動を続けてきた仲間のほとんどがすでに他界してしまい、さみしいと話し、被爆者なき時代が刻々と近づいていることに危機感を抱いている。一方で、核兵器による威嚇が繰り返される今の国際情勢の中で、ノーベル平和賞の受賞は本当に核兵器をなくす世界的な運動の出発点だと話していた。核兵器の廃絶に向けて、倒れるまで役に立ちたいと語る田中代表委員の演説が、オスロから世界に向けて、まもなく始まる。
国会では衆議院の特別委員会で、政治資金規正法の再改正に向けた議論が始まり、各党がそれぞれ考え方を表明。衆議院予算委員会では、補正予算案の実質的な審議もスタート。予算の規模などを巡り、論戦が交わされた。衆議院予算委員会。自民党・井之上元万博相は「規模ありきではないかという批判が寄せられている。成長経済に移行させていく正念場で、十分で適正な規模が必要」とただし、石破首相は「補正予算にふさわしい緊要性が必要。デフレ経済から脱却、地方創生の再起動、能登半島の復旧・復興を本格的なものにする。規模ありきということでは全くない」と述べた。立憲民主党・重徳政調会長は「(予算規模は)10兆円を超え、コロナの前と比べて異常な事態。31の基金に3.5兆円が積み増され、成果の検証は何もされていない」とただし、石破首相は「積み上げの結果としてこうなったもので、規模ありきで考えたものではない。緊要な事態と判断しなければ、補正(予算案)に載せたりはしない。検証はしていると承知している」と述べた。衆議院予算委員会。企業団体献金を巡って、立憲民主党・米山隆一衆院議員は「企業献金の禁止自体が違憲であるように言うが違う。立法政策の問題。憲法に反すると思うのか」とただし、石破首相は「憲法上の根拠は憲法21条。『表現の自由』ということで、企業団体献金を禁ずることは少なくとも憲法21条に抵触すると思う」と述べた。保育士の処遇改善を巡って、自民党・国光文乃衆院議員は「賃金は低く、人手不足に困窮している。国が率先してできる賃上げは確実にしていく。その姿勢が民間への大きな波及効果も示していくと思う」とただし、石破首相は「大幅な処遇改善を行った。でも全産業平均より低い。苦労にふさわしい報酬が払われる。これをきちんと実行する」と述べた。衆議院の特別委員会では、政治資金規正法の再改正などに向けた議論も始まり、各党が考え方を表明。自民党・牧島元デジタル相は「渡しきりによる支出としての政策活動費を法律上、明確にすべて廃止。企業団体献金は徹底した透明化や公開が大切」、立憲民主党・落合貴之衆院議員は「企業団体献金は禁止しなければならない。政策活動費は例外措置を設けることなく、全面的に禁止すべき」、日本維新の会・池下卓衆院議員は「政策活動費の完全廃止と企業団体献金の完全禁止。今国会中に何としてでも成し遂げたい」、国民民主党・長友慎治衆院議員は「(野党共同で)政策活動費の廃止法案も提出した。企業団体献金は、全党と全会派が一致できる共通点を見いだしていく」、公明党・中川康洋衆院議員は「政策活動費の法律上の廃止と第三者機関の設置について、各党、各会派と議論を深め成案を得たい」、れいわ新選組・高井幹事長は「企業団体献金は禁止しないと主張する自民党には“恥を知れ”と申し上げたい」、共産党・塩川国対委員長「政治改革の根幹は企業団体献金の禁止」、衆院会派「有志の会」・福島伸享衆院議員は「利益誘導型政治から脱却するための『令和の政治改革』の1丁目1番地は、企業団体献金の廃止でなければならない」と述べた。特別委員会の理事会が行われ、あさっての委員会で、各党が提出した法案の審議を始めることで、与野党が合意。政治改革についての法案提出の動きはきょうも。公明党と国民民主党は、政治資金をチェックする第三者機関を国会に設置するための法案を共同で衆議院に提出。公明党・中川康暢衆院議員は「特に権限や大使において、(国民民主党の案に)非常に近い思いを持っていた」、国民民主党・古川代表代行は「今の政治不信を払拭する責任は与野党関係なくある」と語った。立憲民主党と社民党も、法案を共同で衆議院に提出。政治資金収支報告書への不記載などがあった場合の議員の罰則強化や政治資金をチェックする第三者機関の設置などが盛り込まれた。各党の主張に隔たりがある中、今の国会で法改正が実現するのか。会期末までは2週間を切っている。
政治資金規正法の再改正に向けた議論の主な論点。「政策活動費」は、野党各党や公明党が廃止を主張しているのに対し、自民党は廃止する一方で、外交上の秘密に関わるなどの支出として「公開方法工夫支出」を新たに設けるとしている。意見に大きな隔たりがあるのが「企業団体献金」。立憲民主党や日本維新の会、共産党、れいわ新選組が禁止を主張しているのに対し、自民党は維持すべきとしている。公明党は有識者に意見を聞き、議論を深めていく立場で、国民民主党は、国会で有識者を交えて議論することを提案。今回、政治改革に関し、これまでに与野党から衆議院に提出された法案は9つある。各党の法案には、共通する部分がある一方相違点もあり、今の国会の会期内に一致点を見いだし、政治の信頼回復につながる法改正を実現できるかが焦点となる。
神奈川・川崎市にあるスーパーマーケット。この店舗で野菜の加工などを担当する女性は、今も年収を106万円以内に抑えている。年末年始にかけて人手不足が想定され、店側も頭を悩ませている。「106万円の壁」と呼ばれる、厚生年金に加入できる賃金の要件。これを撤廃する案が、社会保障審議会の部会で了承された。パートなどで働く人が厚生年金に加入できる要件は、従業員51人以上の企業で、週20時間以上働き、月額8万8000円以上、年収換算で106万円以上の賃金を受け取っている学生以外の人。きょうの案では、賃金の要件を撤廃。最低賃金の引き上げに伴い、必要性が薄れているとしていて、時期は2026年10月を想定。すでに方針を確認している企業規模要件の撤廃時期は、2027年10月を想定。新たに加入する人は、将来受け取れる年金の額は増える一方で、保険料負担が必要となるが、労使が折半となっている保険料について年収換算で156万円に届かないうちは、企業側がより多く負担できる仕組みを導入し、負担が増えることになる企業に対しても支援を検討する。取材したスーパーは、働き控えをする従業員が減ることを期待。きょう動きがあった「106万円の壁」は、社会保険料の負担に関わるものが、税金の負担に関する「103万円の壁」の見直しを巡っても協議が続いている。あす以降、与党と国民民主党の間で隔たりがある、控除額の引き上げ幅や実施時期で合意できるかが焦点となる。
ノーベル平和賞の授賞式について社会部・宮下大輔デスク、国際部・小宮理沙デスクがスタジオで解説。ノーベル平和賞の授賞式が行われている、ノルウェーの首都・オスロの市庁舎のでは現在ノーベル委員会・フリードネス委員長が、授賞理由について説明。このあとメダルと賞状が授与される。宮下デスクの解説:出席者について「日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)からは、田中熙巳代表委員、田中重光代表委員、箕牧智之代表委員の3人が登壇。会場には、ノルウェー王室の国王や王妃、皇太子も出席」、スケジュール「フリードネス委員長から、3人の代表委員が賞状とメダルを授与される。音楽の演奏後、田中代表委員20分間の演説を行う」。受賞した被団協は、広島や長崎で被爆した人たちの全国組織。核兵器廃絶を願う被爆者の声を68年にわたって、世界に発信してきた。賞状とメダルが3人に授与された。宮下デスクの解説「メダルは18金製。表にはノーベル賞創設のきっかけとなったアルフレッドノーベルの肖像が刻まれている。裏にはラテン語で人類の平和と友愛のためにと刻まれている」。
広島・原爆資料館では、パブリックビューイングが行われていて、被爆者たちも受賞の瞬間を見守った。国際情勢が厳しさを増す中、高齢化する被爆者たちが求めているのは、核兵器廃絶に向けた具体的な前進。
長崎・長崎市でも、市役所でパブリックビューイングが開かれ、田中代表委員が授賞式の演説で、核兵器廃絶への思いを世界にどう訴えるのか、大勢の人が注目している。長崎の人たちにとっても、今回のノーベル賞受賞は、79年前のあの日を見つめ直す大きなきっかけとなる。
東京都内でもパブリックビューイングが開かれている。集まっているのは、首都圏在住の被爆者や、平和問題などに取り組む若い世代。ある被爆者は「被爆体験を語ることで差別される時代もあったが、今日私達被爆者の話を世界が聞いてくれるのは平和への大きな一歩」など話した。
ノルウェー・オスロ市内の図書館の地下にあるミニシアターで開催されている授賞式のパブリックビューイングの様子。現地住民も含めて、100人ほどが詰めかけている。被爆者や被爆2世など、約50人が日本から来ている。「ノーモアヒロシマ、ノーモアナガサキ」の横断幕を掲げながら、授賞式の様子を見守っている。
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日本被団協・田中熙巳さんの演説。田中さんはロシアによるウクライナ侵攻やパレスチナ情勢に触れ、「核のタブーが軽視されていることに悔しさを感じる」などと話した。当時の被害を振り返り、「たとえ戦争であってもこのような傷つけ方をしてはならない」などと話した。日本被団協は1956年に組織され、核兵器廃絶を訴え続けた。しかし日本政府は亡くなった被爆者への償いを未だに行っていないとのこと。田中さんは「核兵器は一発たりとも保有してはならないというのが被爆者の心からの願い」とし、どうすれば核兵器を無くすことができるのか世界中で話し合ってほしいとした。そして「核兵器は人類と共存させてはならないという考えを広げ、核兵器も戦争もない世界を目指していきましょう」などと呼びかけた。
田中熙巳さんの演説について。宮下氏は「長崎で13歳のときに被爆されたときの壮絶な体験を丁寧に語りかけるように説明されていて、改めて核兵器の脅威・恐ろしさというものが本当に実感できる内容だった。自身の被爆体験などをもとに、核兵器がもたらす被害・被爆の実相について伝えたうえで、核廃絶に向けたメッセージを世界に向けて語った。口調を強めていたのは、ロシアが核兵器使用の構えを見せるなど、核を取り巻く現状への強い危機感。核の被害を防ぐためには核兵器を前提とした核抑止論ではなくて核廃絶なんだと強く訴えていた。その上で核兵器をなくしていくためにはどうしたらいいのか、世界中で共に話し合って実現を求めてほしいと呼びかけた。最後に人類が核兵器で自滅することのないように“核兵器も戦争もない世界を求めて共に頑張りましょう”と呼びかけ、会場は大きな拍手に包まれていた」などと解説した。
小宮氏は日本被団協が受賞した意義について「非常に意義は大きい。ウクライナ情勢を巡っては侵攻を続けるロシアが核による威嚇を繰り返し、中東も核兵器を保有するとされているイスラエルや開発が疑われるイランを巡る緊張が続いている。東アジアでも北朝鮮が核・ミサイル開発を推し進めている。中国も核戦力を拡大させているのではとされている。ノーベル委員会・フリードネス委員長のスピーチでも“世界は新たなより不安定な核時代を迎えようとしている”として“核兵器がどのようなものか思い出す必要がある”と指摘。核兵器が本当に使用されてしまうかもしれないという懸念が高まる中で、長年核廃絶を訴えてきた日本被団協が平和賞を受賞。核は使ってはならない、核は廃絶しなければならないという強いメッセージを世界に発信していくことができた。一方で核廃絶・核軍縮の取り組みに対するノーベル平和賞の授与というのは今回が初めてではない。今回こそ核廃絶の実現に向けて実効性のある取り組みを国際社会としてどう進めていけるのか、それが問われている」などと解説した。
石破総理大臣は「長年の核廃絶に向けた発信とその努力が報われたものだ。本当にご苦労さまでしたと申し上げたい。その思いを実現するためこれから先も活動いただきたい」と述べた。政府関係者は「日本政府も核兵器廃絶という同じ目標を目指している」としている。一方で日本政府は国際情勢が厳しさを増す中、核抑止力を維持・強化して安全保障上の脅威に適切に対処していくことが大前提で、核兵器のない世界に向けては現実的で実践的な取り組みが必要だとしている。このため核保有国と非保有国の双方が参加するNPTの体制の下で、核兵器の不拡散と軍縮が進むよう各国に働きかけを続けていく方針。日本も世界も田中さんのメッセージを受け止め、核廃絶に向けてどう取り組んでいくのか問われることになる。
OECDが行った国際成人力調査の結果が公表された。今回が2回目の実施で、31の国と地域の約16万人が参加し、日本からは無作為に選ばれた5000人余が解答した。社会生活で求められるスキルを、読解力・数的思考力・状況の変化に応じた問題解決能力の3分野で測る。日本の成績は、状況の変化に応じた問題解決能力ではフィンランドと並んで1位。読解力と数的思考力ではいずれも2位と世界トップレベルとなった。今回の調査結果について文部科学省は「学校教育の充実を進めてきた結果だと見られる」としている。調査を行ったOECD・教育分野の責任者は「日本は昔から質の高い教育が行われてきた。全世代でよい結果だった」と語った。
国際成人力調査の回答者の「仕事などへの意識」をあわせて聞き取り調査した結果、日本では「自分のスキルの一部が仕事に必要なものより低い」と回答した人の割合が29%で、OECDの平均の3倍近くに上っている。さらに日本では「最終学歴の専攻が自分の仕事に最も関連する分野ではないと」答えた人が46%で、これは専攻した学問と現在の仕事が合っていないと感じている人が多いという結果。専門家は「大企業などではジョブローテーションで専攻とは関係がない分野の仕事も行う。こうした日本型雇用の特徴が結果に表れている」と分析し、「仕事とスキルのミスマッチを解消することで個人の能力を発揮し、労働生産性の改善にもつながるのではないか」としている。
老後の資金を確保するニーズが高まる中、政府は来年度の税制改正で、税の優遇措置がある個人型の確定拠出年金「iDeCo」について、掛金の限度額を引き上げる方向で与党側との調整に入った。企業年金との合計の限度額を月額7000円引き上げ、6万2000円とする案などを検討している。
JR東日本はモバイルSuicaについて今後10年かけて機能を拡充する計画を発表した。再来年秋をめどに、コード決済や個人間送金の機能を新たに加える他、決済の上限額を今の2万円から引き上げる。また2027年春をめどに、現在は首都圏と主に県ごとに分かれている利用可能エリアを統合し、今後10年以内に位置情報や顔認証技術を活用した改札の導入で全線で利用可能にする計画。
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