- 出演者
- 佐々木明子 真山仁
経済小説「ハゲタカ」をはじめさまざまな人間ドラマを描く小説家・真山仁が未来を切り開く開拓者に迫る。今、世界中で大問題になっている食品ロス。本来食べられるのに捨てられてしまう食品の量は日本だけで年間472万tにも及ぶ。テレ東系SDGsウイーク。食品ごみから酒を造る蒸留所に迫る。これまで捨てられてきた酒粕や使用済みのコーヒーのかすなどがおいしい酒に生まれ変わる。更に世界初となる新たな酒造りに挑んでいた。今週は小説家・真山仁が酒造業界の風雲児に切り込む。
オープニング映像。
東京リバーサイド蒸溜所(東京・台東区蔵前)。エシカル・スピリッツ会長の山本祐也は廃棄されるはずだったごみから新時代の酒を造り出す。造られているのは今、ブームとなっているクラフトジン。そもそもジンとはウォッカ、テキーラ、ラムと並ぶ世界4大蒸留酒の一つ。一般的なジンはトウモロコシや大麦麦芽などの穀物が主原料となっている。エシカル・スピリッツではある廃棄食材を加える。正体は酒粕。日本酒を製造する際に使用した米のうちおよそ3割が酒粕になる。これまで酒造メーカーは酒粕の一部を食品や畜産の飼料などに活用してきたが、その大半は廃棄物。エシカル・スピリッツは捨てられるはずだった酒粕をジンの主原料として使用。一般的なジンは香り付けとしてジュニパーベリーをはじめハーブやスパイスなどを加えているが、エシカル・スピリッツでは香り付けにも食品廃棄物を用いる。JALでは羽田空港国内線ラウンジだけで年間1.8tものコーヒーのかすが出ていた。扱いに困っていたJALから声がかかり、コラボが実現。さらに、サントリーともコラボ。ワイン造りで出たブドウの搾りかすを活用。企業の環境意識が高まる中、その課題解決にエシカル・スピリッツのジンが一役買っている。蒸留所の2階に併設されたバーでは自社製造したさまざまなジンをたしなむことができる。カカオ豆の30%を占めるハスクは香りが出にくくジンの原料としても不向きだが、エシカル・スピリッツは独自の製法でカカオの香りを抽出することに成功した。
エシカル・スピリッツ会長の山本祐也に、小説家・真山仁が迫る。さまざまな食品ごみを使う理由について「世の中で廃材とされているものも、そうでないものと同等以上の価値がある。シンプルに”一番おいしいジン”を造る、そのためには今までの素材じゃ足りなくて、今まで見向きもされなかった素材が主役級の働きをしているから、結果として消費や利活用が増えて市場性が高まるという考えをしていきたい」などと語った。エシカル・スピリッツでは廃棄食材以外も活用。内藤とうがらし(東京・新宿)、京の黄真珠(京都市)など地域の特産品を香り付けに使ったご当地クラフトジンである。
食品ごみなどを使い、クラフトジンを製造してきたエシカルスピリッツ・山本祐也会長は今、更に高い壁に挑もうとしている。世界初となる木の酒の量産。日本の林業は1990年頃をピークに生産量は減少傾向にある。間伐材の利用が広がらないため森林の手入れが進まず、環境保全が難しくなってきた。山本は間伐材を酒の原料として使うことで新たな価値を生み出し、日本の森林に息吹を吹き込もうとしている。木は主にセルロースという繊維でできていて、アルコールの原料になる。セルロースから抽出した液体に酵素と酵母を加えると酒になる。エシカルスピリッツはこれまでになかった木の酒の製造に本気で挑もうとしている。商品化に至るまでの壁は、量産と設備投資。木の酒を製造する拠点は茨城・つくば市の廃校になった小学校の体育館。木の酒の量産は世界初で、来年の夏に始まる予定。大阪関西万博にも出品するという木の酒は海外進出も視野に入れている。社員は15人。山本は起業前は証券会社や投資銀行で働いていた異色の経歴の持ち主。
エシカルスピリッツ・山本祐也会長のブレイクスルーとは「隠れた宝石を発掘し価値を引き上げること」。
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