- 出演者
- 村上龍 小池栄子
オープニング映像。
東京・港区の人気施設は様々な企業、個人が共有して利用する定額制のワーキングスペース。定額料金で他の拠点も利用可能。珈琲は無料、午後4時からはビールが飲み放題。都心には次々にオフィスビルが立ち、周辺の飲食街にはランチ難民の行列が。これまでにない魅力で急拡大しているランチ店が。昼時に虎ノ門ヒルズにあるその店はカウンターにはできたての商品が並び、客は自分の注文したものを受け取ってオフィスに戻っていく。ここでは昼時でも待ち時間はない。クリスプサラダワークスはサラダのチェーン店。ボリュームたっぷりの健康的な味わいからステーキを雑穀米で食べるプロテインプレートまで。
クリスプサラダワークスは健康目的ではなかなか続かないサラダも続く。季節メニューを含め20種類以上あり、サーモンアボカドシーザーは人気メニュー。アボカドとサーモンを贅沢に入れてアンチョビがきいたシーザードレッシングで食べる。そして、客を次々とリピートさせるのがドレッシング。
スパイシーカレーバイマイはエスニック好きに人気メニュー。パクチーとグリルチキンが美味しいスパイシーバイマイ。ジューシーなマッシュルームをトッピング、これにオススメがメキシカンハニービネグレット。赤ワインビネガーにはちみつ、アドボという辛くない唐辛子を入れている。こんなこだわりのドレッシングが季節限定を含め10種類以上。お昼だけで160食が売れ、同じ規模の店では考えられない数字だという。クリスプは都心のオフィス街に30店舗を展開し進行外食チェーン店として拡大。年商は25億円を突破。
クリスプのCEOは宮野浩史。昼の賑いがひいた所店を訪ねた宮野。注文したのは新商品。
クリスプのチキンは店内で焼き上げた出来立てのもの。宮野は都会の忙しい客たちに美味ししいサラダを提供すべくこだわり抜いている。クリスプが客を呼ぶのは美味しさだけではない。この日やってきたのは紀尾井町にできた新しい店。開店前にはスタッフを集め理念を説明。クリスプの店が客を掴むのは他の外食とは違う戦略が。クリスプを象徴するのが、その商品開発会議にあるという。新商品はエビなどをメインにグリルした夏野菜のサラダを試作。味の感想は一切口にはしない宮野だったが、その商品を印象ではなく様々なな顧客データで語るのが宮野流。毎月コンスタントに売れ行きを伸ばすのがサーモン。青色で示されたシュリンプは売上三ヶ月で低迷。シュリンプがどの食材を売れば同時に影響がでるか?データで顧客と向き合っている。クリスプではどの商品がどんな顧客層に繰り返し買われているかなど、販売直後のデータがリアルタイムで分析可能。これがクリスプのデータ化戦略。
そしてその基盤となる細かい顧客データの収集をしているのがモバイルオーダー。事前にメニューを選択し、スマホから事前に注文。支払いもキャッシュレスで行えるという。そして重視しているのが注文終わりの客の5段階評価。星5つをつけたお客の情報を重視し、メニューや店舗の改善を行っている。
宮野はクリスプサラダワークスの他店舗の違いについて、健康思考でメニューを作りがちでカロリーも制限しがちだが、とにかく美味しいものを作ろうというのがコンセプトだという。またスマホ注文の客は全体の半分くらいの人が使っているという。また大事にしているのは買った人がその後の来店が加速してるか減速しているのかを見るのが大事だと答えた。また会社では熱狂的なファンを作るというのが理念であり、一週間以上に一回以上かつ4回以上今までに来てくれた人は熱狂的なファンとよんでいるという。また店のアンケートでは満点をつけてくれた人についてトップボックスと呼んでいて、熱狂してくれている人を増やして行きたいと答えた。
宮野の人生を語る上で欠かせないものは天津甘栗。天津甘栗で大儲けした過去があるという。その舞台はアメリカ。
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クリスプサラダワークス宮野の新たな挑戦の舞台は有明ガーデン。初めてとなるフードコートへの出店を控えていた。クリスプは今年10軒以上新店をオープン予定。そんな快進撃を続ける宮野は、意外な経歴の持ち主。1981年に千葉県で生まれた宮野は、高校1年の時に中退し渡米。ロサンゼルスである商売を始める。スーパーの前のスペースを借りて買い物帰りの客にホカホカの天津甘栗を販売する。これが大当たりとなったが同時多発テロが発生したのをきっかけに住みにくくなったアメリカを離れ日本に帰国した。その後タリーズに就職するなどし外食の経験を積む。そして業界のある疑問の行き着いた。それは何店舗あってもいい店と思われること。そんな志をもち2014年にクリスプサラダワークスを開店。珍しかったサラダ専門の店には行列ができテレビの取材も。しかし忙しさに追われる中で、客は待ち時間にイライラし、店員も疲弊している様子に、店が繁盛しても誰も幸せになっていないと感じた。その最中、宮野はアメリカからのニュースに惹きつけられる。それは、スターバックスがモバイルオーダーを試験導入したというもの。宮野は先進的な店舗運営を可能にするシステムの開発に挑戦。効率化と顧客支持を実現した。
宮野はアメリカのスーパー前で甘栗を売っていた時の話をし、1日で数十万円売れたという。やめた理由には若かったこともあり栗を売っているのがダサいと思ってしまったという。また天津甘栗についてはその出身地の地域柄駅前にもたまにあったが、人が沢山寄ってきて買うものではなかったという。しかし場所が変化するだけで日本からアメリカに来た人が懐かしいと買っていくという。また経営術についてもカリスマ経営者のように指をさした場所に出店すればそれで儲かってしまうというのはまるで占い師であり、占い者自身は占った結果をディスカッションはしない。カリスマ経営者というのは占い師のように改善はできないと答えデータを重視し、人とテクノロジーの力をかけ合わせ日本外食を盛り上げたいという。
クリスプサラダワークスではスマホの操作だけで働く日時を確定できてしまう。クリスプのこのシステムは30ある店舗のどこで働いても構わない。これが宮野が開発したクリスプワークプレイス。これで人手不足の問題も解決していた。このシステムのおかげで人材配置が効率的に行われている。クリスプのアルバイトの時給は増え続けている。またこの日の店長会では次なる挑戦にスタッフの評価を数値化し、インセンティブとして還元する仕組み。宮野はアルバイトが30店舗の中で500人いるという。また外食に関わっているひとで素晴らしい人とそうでない人がいると答えたが、その素晴らしい人は何倍も会社に利益をもたらしてくれていると答え、その人がいるから行こうという店はある。実際にAさんがいるからお客が沢山やってくるというのもデータ化されているというが、これを定量化し、接客をマネタイズ仕様と考えていると語った。外食をする理由は馴染の店員がいていつものを食べ嫌な気分がなくなっている。そのちょっとしたいいことを起こせるのが外食のあり方がと答えた。
クリスプのサラダを彩るオリジナルドレッシング。かなりマニアックな配合で作られているが、そのレシピは全てネットで公開されている。さらに経営データについても公式ホームページにはクリスプマトリクスと呼ばれる各店舗の注文実績からその単価の推移、顧客の満足度、アルバイトの平均時給まで。
村上は今日の総括に業界的にはデジタル化は進んでいない。宮野さんはそう言う。データやファクトでビジネスするというより、勘と経験に頼って経営しているケースが多いと。クリスプサラダワークスは違う。データを分析したマトリックスがあり、一人の客がどんな傾向でサラダに向かっているかがわかる。マトリックスを見ると、一人ではなく全ての客のデータがる。客だけでなく、働いている人の情報もある。そこにはあらゆるデータをとファクトが詰まっていて。財務状況まで公開されている。こういう企業はなかったサラダだけにはとどまらないだろう。とした。
カンブリア宮殿の次回予告。