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- 村上龍 小池栄子
オープニング映像。
名古屋市のジェイアール名古屋タカシマヤの一階入口では朝から行列が。開店と同時にお客はチョコレート売り場へ。国内最大級のチョコレートの祭典アムール・デュ・ショコラ ~ショコラが行われていた。さらに長い行列ができていたエリアではメゾンカカオというブランドが。売れ筋No.1の看板商品はアロマ生チョコレート。一般的に生チョコレートは、水分量10%以上のチョコをさすが、このブランドは倍以上の25%。味わいも様々で芳醇な香りの洋梨の果汁をあわせたものや、沖縄産シークワーサーの強い酸味を凝縮したものも。メゾンカカオは2015年4月に創業の若いブランドだが唯一無二の存在だという。業界で注目をあびるメゾンカカオ。その創業の地は鎌倉。週末ともなれば大行列に。これまで関東を中心に6店舗を展開していたが去年の12月に東京・丸の内の中通りに7店舗目が完成した。オープン当日にはファンが集まっていた。その店内で客を案内していたのはメゾンカカオ社長の石原紳伍。
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- 2025 アムール・デュ・ショコラ ~ショコラ大好き!CHOCOLATE BANKH CHOCOLATE WORLDMAISON CACAOMAISON CACAO カカオハナレ 鎌倉長谷MAISON CACAO グランスタ東京店MAISON CACAO ジェイアール名古屋タカシマヤMAISON CACAO 鎌倉小町本店アロマ生チョコレートショコラ・コキーユ“バニラ”シークワーサージェイアール名古屋タカシマヤメゾン カカオ ニュウマン横浜店丸の内(東京)全日本空輸即位の礼名古屋市(愛知)官能ショコラ 抹茶洋梨鎌倉市(神奈川)
丸の内の一等地に進出するほど勢いにのるメゾンカカオ。社長の石原は全ての商品の開発にあたるショコラティエでもあり、チョコレートファンの間では有名な存在。チョコレートの祭典でも名だたるブランドを相手に売上トップを競うメゾンカカオ。しかし石原の目標はもっと高い場所にある。
2024年8月、石原が向かったのはコロンビのマニサレス近郊。ルカー・チョコレートのマウイリシオさんと合流した。ルカーはコロンビア産カカオを取り扱う民間企業。いろんな種類のカカオを栽培し農法の研究まで行っている。黄色のか顔は完熟状態で中に入っている白い実がカカオで南国フルーツだという。石原はコロンビアでこのカカオと出会い、人生が変化したという。コロンビア産のカカオ世界シェアは1%にしかすぎないが、香りが良くフレーバービーンズと呼ばれ評価は高い。メゾンカカオはルカーと提携。ルカーを通じて2000軒以上のカカオ農家とも提携している。現地で土地を借り、メゾンカカオ専用の農園も手に入れた。今アフリカの不作からカカオの市場価格が高騰しているが、メゾンカカオは独自に気付いたコロンビアルートで、原料を安定的に入手できる。収穫したカカオは一旦ルカーの施設に運び込まれ、木箱の中で6日間発酵させる。すると白かった果肉は茶色くなり、中の種まで発酵が浸透し、独特の香りがする。こんなやり方で極上のカカオを入手しているのでこだわりのカカオづくりが可能に。
首都ボゴタにあるルカー・チョコレートの本社。発酵後、乾燥させたカカオ豆はこの倉庫に送られてくる。一般的にカカオ豆は、麻袋にいれて船便で輸出。加工まで数ヶ月かかるために時に劣化してしまうことも。そこで石原は別のやり方を取り入れた。用意したのはコロンビア各地から集められたチョコレートの元。様々な品種のカカオからできていてドロドロの状態。これをどのように配合するか、自分の鼻と舌で試しながら決めている。石原が決めた配合に基づいてチョコレート製品の原料となる板チョコにして輸出。なので鮮度の高いカカオのチョコレートが作れるという。ルカー・チョコレートのカミーロ・ロメロCEOは石原の舌に全幅の信頼を置いている。
石原はカカオ以外の果物も信頼する農家からしか買わない。今回は厳選したシャインマスカットを使った生チョコ作りをするという。一つ一つ丁寧に皮を剥いていく。そして実を潰して作った贅沢な果汁を温めた生クリームとあわせ、マスカットにあうようにコロンビアで配合したチョコレートをスタンバイ。このチョコをとかし、マスカット果汁入りの生クリームを投入すると香りゆたかな液状のチョコベースができる。これを丸めて冷やして固めておく。水分量が少なめのチョコで表面をコーティングし、仕上げにカカオパウダーをまぶせば看板商品のショコラ・コキーユの完成。シャインマスカットの香り立つ、極上スイーツに。
スタジオで小池と村上がアロマ生チョコレートCACAO55とショコラ・コキーユを試食。小池はその味を美味しいと絶賛した。果物や食材を選ぶ基準に石原はテロワールと答えたが気候や風土がその果実を育てるのに適しているかどうか、一軒一軒土地に出向いて話を聞き、一素材一農家で決めているという。またスーパーのチョコとメゾンカカオの違いについて石原は鮮度と水分量と答え、現地コロンビアで発酵・天日干しのあとに二週間以内に仕上げ、えぐみや雑味が無く余分な砂糖を加える必要もないので香り高くフルーティーなチョコレートに仕上がるという。しかしそこに行き着くまでには失敗の連続で、有名な学校や専門店で修行したわけではなかったのでチョコレートでそれらを表現するのが大変だったという。
コロンビア北西部の街のネコクリにはメゾンカカオが契約するカカオ農家の多い地域で、石原はメゾンカカオの支援で設立された学校に来ていた。この活動を広めようとメゾンカカオ財団も設立。かつてこの場所は麻薬の原料となるコカの葉の栽培が盛んだった一帯で麻薬中毒が散漫し、子どもたちに悪影響になっていた。一校30人から始めた学校は、今や3校400人規模にまでに成長。石原は1984年大阪市に生まれ、中学・高校時代はラグビーに打ち込み全国クラスの選手として活躍。大学は帝京に進み、レギュラーを目指し猛練習に励んだ。しかし、大学3年の終わりに監督から選手をやめて学生コーチをしてくれないかと打診された。その人は岩出雅之前監督。チームを強くするために何ができるか?と古い体育会の打破に挑んだ。まず1年生にやらせていた掃除や洗濯を4年生が率先して行うルールを作り、その分1年生の身体づくりを強化した。今年1月には帝京は4連覇を達成したが石原の卒業後に常勝軍団になった。石原にはこうしたワンチーム精神が経営のベースに。その後大学を卒業するとリクルートに就職。その後独立し飲食業を模索する中で旅行で訪れたコロンビアで人生の転機に。それはたまたま訪れたカカオ農園にてもぎたてのカカオの実を始めて口にしてフレッシュな味わいが広がったことに驚いた。鮮度をいかしたチョコレート作りがしたいと、帰国後に独学でチョコレートづくりを研究。2015年にカカオのブランド名で鎌倉・小町通りに1号店をオープン。
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2015年にチョコレートブランドを立ち上げた石原は翌年に再びコロンビアを訪ねると、提携企業のルカーのマウリシオさんから家族の一員と言われたことに取引がまだ1年しかないのに家族と言われることに新しいと感じた。その家族のような強さを求めて石原はブランド名をMAISON CACAOとし、家族という意味のMESONを加えた。その結束を高めるために社員とやってきたのは取引先のひとつ。山梨にあるシャインマスカットの果樹園で目的は生産者から直に話をきくこと。実際に話をきくことで伝わってくることもあり、こうして生産から販売まで一つにつなげようとしている。この取り組みは旅するメゾンと名付けられ100回以上実施している。さらにこの日は福岡のいちご農家へ。チョコレートに加えるいちご農家に選ばれたのはあまおう。販売スタッフたちが同行した。帝京大学ラグビー部で1年生を4年生と同じ用に扱ったことはどう経営に生きている?に石原はラグビーは自己犠牲を学べるスポーツで1番しんどいことを率先してリーダーがやるスポーツだという。また社名にメゾンをいれたことには100年続くには生産者の家族も、メゾンカカオのメンバーもそうだが、子どもたちからメゾンカカオで働きたいとそう言ってもらえるようなブランドになっていかなければならないと答えた。さらに生産者から直接話を聞くことはものづくりには必要で、自分たちはチョコレートを販売しているがチョコではない何かを繋いでいる気持ちになっているという。お客から新たな物語を聞かせてもらいそれを励みにしていると答えた。
神奈川県鎌倉市の鎌倉駅の近くにメゾンカカオの別ブランドの店が。CHOCOLATE BANK はカカオの魅力を伝えたいと石原が作った店、カカオの果肉を原料にした希少な一品のカカオビネガーが。今注目を集めているのはカカオニブチョコレート。こうしたカカオの可能性を広げる商品を試している。午後7時に閉店時間になったがスタッフが紙の看板を用意した。外には団体客が裏口から店へ。
神奈川県鎌倉市の鎌倉駅の近くにメゾンカカオの別ブランドの店が。午後7時に閉店時間になったがスタッフが紙の看板を用意した。外には団体客が裏口から店へ。ここはROBBという石原がシェフをつとめる完全予約制のレストラン。前菜はカカオビネガーで漬けた鎌倉野菜のチーズと紅芯大根の酢漬け。他にもカカオバターによるほのかなチョコの香りが味の決めて。さらに刺し身とカカオの意外な組み合わせ料理も。石原は生チョコではスイカやメロンのフレーバがずっと作れなかったが桜エビを食べている味とそうでないアジの味わいが全然違ってくるという。また火入れの仕方を変えたりする中でスイカの味の出し方などひらめきがたくさんでてくると答えた。また世界で愛され求められるそんなラグジュアリーブランドをつくりたいと答えた。
村上は今日の総括にメゾンは、家、家族を意味する。メゾンカカオ、カカオの家、家族を表す。考え抜いた名前じゃないような気がする。ふっと頭に浮かんだのではないだろうか。「家族」「ワンチーム」「旅」などが頭をよぎり、「メゾン」という言葉意外には考えられなかった。コロンビアという地名もロマンチックで、エキゾチックだ。サッカーファンとしては、ヴァルデラマという鬼才がいた。1月20日のAP電では「民族解放軍」との交渉が決裂し、同国北東部からの民間人の避難が続いている。そういう国で独特の甘さの生チョコがある。まさに、世界は、広い。とした。
カンブリア宮殿の次回予告。