2024年1月8日放送 10:10 - 11:23 NHK総合

さわやか自然百景
新春特集 人と自然がつながりあう大地

出演者
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(オープニング)
オープニング

オープニング映像。今回は人と自然がつながりあう大地を特集。

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白山
(さわやか自然百景)
日本の原風景が生きものを育む

日本には人が暮らすために手をかけ自然との調和を続けてきた場所がある。そこは里山。多くの生き物が集まる。日本の田んぼとその周辺環境には6000種を超える生き物が暮らすとされ、世界的にも生物の多様性が高い場所として知られている。環境は人が作物を育てる過程で自然に生み出された。人が生きる環境に手を加えることで、生き物に恩恵をもたらすことがある。新潟・十日町市は、200~800メートルの丘陵が連なっている。棚田で続けられた米作りには、多くの命を育む鍵がある。磯山さやかさんが秋の里山を訪ねた。博物館の学芸員・小林誠さんが案内する。まず向かったのは森のため池。森からの湧き水をため池に蓄えて米作りに利用してきた。ため池ではイトトンボの幼虫などを見つけた。豊富な水草は水質を保つ役割を果たす。この地域の棚田では、田んぼのまわりに水路を作り、冷たい湧き水を太陽の熱で温めてから田んぼに入れる。田んぼが乾く時季に生き物が水路に避難できる。昆虫を狙った鳥もやってくる。

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アカハライモリイトトンボオオサンショウウオキタノメダカクロスジギンヤンマサシバタガメダイサギトノサマガエルマガンヤマアカガエル十日町市(新潟)

棚田の周囲を取り囲む広大な森は、薪・炭・材木などを得るために使われてきた生活の森。ため池から水を引いてくるための水路のトンネルがあり、動物たちには今も利用されている。カメラを設置して撮影したところ、テンなどを見ることができた。冬になると、この景色は雪が大地を覆う。生き物たちはさらに集落のそばへとやってくる。半年近くを雪に閉ざされる。人々の日課は雪下ろし。庭には雪を溶かすため山から水を引いた池が設けられている。この池はたねんぼと呼ばれる。たねんぼは貴重な水場で、ヤマガラ水を飲みにがやってくる。タヌキは冬の間、人の出入りのない納屋をすみかにする。

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タヌキテントラツグミネズミメジロヤマガラ十日町市(新潟)

岐阜・白川郷は世界遺産にという録された合掌造りの集落。人々が大切に守ってきた古い家屋は野生動物の暮らしも支えている。ツバメは茅葺屋根から巣の材料となる茅を引き抜く。巣の材料が豊富な白川郷は絶好の繁殖場所。アナグマにとって、自由に出入りできる床下かっこうのねぐら。伝統的な建物にはすきまが多く、野生動物が住み着くこともしばしば。特別天然記念物ニホンカモシカも民家のすぐそばに現れる。

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渡海に入り込む生きものたち

都会でも無数の命が息づいている。札幌ではビルの立ち並ぶ一角に、野生動物の息づく北海道神宮がある。明治初期に創建された。境内の木々の多くは、人の手によって植えられた。桜の名所もあり、1000本以上が植えられる。桜の花の蜜はメジロにとってこの時期ならではのごちそう。ここではウメと桜が同時に咲く。また、エゾリスが暮らす神社としても知られる。木にはリスの巣があり、巣穴を変える様子もみられる。

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鶴見川では、都市ならではの環境を利用しながら暮らす生き物たちもいる。丸い外灯はオオタカのお気に入りで、この場所で木の隙間から獲物を待ち伏せする姿がよくみられる。この日は食事中のオオタカの姿を確認できた。近年、オオタカをはじめとする様々な猛禽類が市街地でみられるようになった。狩りの形に合わせて都会の環境を使い分けている。チョウゲンボウは茂みだらけの中から小さな獲物の動きを見つけ出す。電柱がチョウゲンボウのお気に入り。川ではアオサギやオオバンが狩りをする。

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番組ではさらに大都市の中心部を利用する生き物を撮影した。札幌の中心部を流れる豊平川にはオオセグロカモメが集まる。海から遠く離れたこの場所で狩りをしている。天敵のワシなどが少なく、街なかのビルを崖に見立てて子育てを行う。

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オオセグロカモメ札幌(北海道)豊平川
失われた絆は取り戻せるか

人の営みにより失われた自然も多くある。高度経済成長期、慣れ親しんだ自然が失われていく危機感から、各地で豊かな自然を取り戻す運動も始まった。葛西海浜公園はこうした自然を再生しようという取り組みを行う。砂浜は人の手で作り出された。大潮の日、干潟は500メートルまで広がり、活動の成果でホウロクシギなどの鳥が戻ってきた。コアジサシは南半球から渡ってきた。自然を再生する取り組みには、住民が先頭に立ち整備を行ってきた場所もある。ハサンベツ里山地区の豊かな森が多くの鳥たちの暮らしを支えている。放棄地だった所を子供たちの自然体験・林業体験・農業体験の場所として再生。再生計画実行委員長の高橋さんは、オオムラサキを増やすため思いを込めてエゾエノキを植えた。20年の時を経てオオムラサキが舞う豊かな林へと成長した。

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林のそばの小川も高橋さんたちが整備して作り出した。以前は大雨が降ると大量の土砂が流れそのたびに生き物が姿を消していた。そこで、地元の人たちが協力して川底の石組みや段差を約2キロにわたって整備した。緩やかな流れの川となったことでその環境を好む生き物たちが集まって来た。トミヨやカワニナが増えた。カワニナが増えたことで、ヘイケボタルの数も徐々に増えてきた。

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(エンディング)
エンディングトーク

磯山さんは今回の放送を振り返り、「元からある自然だけではなくて、人が作り出した自然・建物・環境の中に住みやすい場所を探して過ごしている」「私も身近にある自然というものも、これから大切に生き物たちのことを思いながら暮らしていきたいなと思いました」などと話した。

エンディング

エンディング映像。放送は毎週日曜。

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