- 出演者
- 所ジョージ 阿部健一 佐藤真知子
オープニング映像。
2022年3月から建築家・隈研吾さんが参加。里のシンボルとなる母屋の建築に向けスタートを切ったかがくの里の母屋プロジェクト。隈さんが設計・デザインしたのは里の森に溶け込む茅葺き屋根の家。材料には里山を整備するために切った間伐材や里の入口にあった大きな杉の木などを主に使い、周辺地域に生えていたススキや竹を集め、茅葺き職人が独創的なカーブが美しい茅葺き屋根を葺き、左官職人のたたきという技で里の土を使った柔らかみを感じる土間ができた。今年5月、所さんが初めて対面。建築中の母屋を隈さんが案内した。今回は内装へ。中でも特徴的なのが壁。使うのはかがくの里の隣の市で江戸時代から受け継がれてきた技が茨城県の無形文化財にも指定される伝統の和紙。阿部さんが原料から和紙作りを体験。その作業はかなり地道で超繊細。受け継がれてきた職人技とは。
和紙を壁紙にという案に出演者らは「合いますね」等とコメントした。
2024年2月、阿部さんが向かったのは茨城県常陸大宮市にある「西ノ内紙 紙のさと」。店内にある和紙は原料作りから全て紙漉き職人の手で作られたもの。実は茨城県北西部では紙作りが盛ん。豊富な水と原料となる木がよく育つ寒暖差のある気候が和紙作りに適している。1688年、この和紙に目をつけたのが水戸黄門として知られる水戸藩主 徳川光圀。当時、財政難に苦しんでいたことから水戸藩が生産を保護し、独占的に紙を販売するようになり、紙作りは盛んになっていった。この時、それまでバラバラだった紙の原料や大きさの規格が定められ、紙の品質が守られた伝統の和紙は西ノ内紙と名付けられた。江戸時代から受け継がれる製法で作られる西ノ内紙。その技術は歴史上・芸術上で価値の高いものとして茨城県の無形文化財に指定されている。和紙の原料は楮・三椏・雁皮。この3種類の中で西ノ内紙が使っているのが楮。楮は繊維が最も長く、西ノ内紙の最大の特徴である丈夫さが生まれる。傘や提灯などにも向いているそう。今回は西ノ内紙を壁紙として使う。楮は成長が速く、1年で約3メートルになる。夏の楮は成長途中で繊維が弱いため冬に刈り取る。実は楮の一部しか原料にはならない。私たちが普段使っている紙などは洋紙と呼ばれ、木材パルプという木の幹を細かく砕いた繊維を使うのに対し、和紙は繊維の長い木の皮部分だけを使う。刈った楮は皮を剥きやすくするために作業場で蒸す。樹皮が柔らかくなったところで皮を剥く。1本1本手作業。剥き終わったと思いきや茶色い一番外側の皮が入ると白い紙にならないため剥いて黄色い部分の皮だけを残す。蒸して吸った水分があると皮が腐ってしまうため、皮は天日乾燥させて保存する。これも手作業。
3週間後。乾燥させたこうぞの皮。黒い皮を剥いていくという。水に戻すとのこと。むける量の皮だけ水に戻す。和紙になる原料になる。一本でA4の紙2枚分。20本務機終えた。再び乾燥させる。根気のいる作業だ。
最終段階の紙を漉く工程に入っていく。職人が紙を漉く。乾燥させていた楮の皮は、アルカリ性の水溶液で煮る。煮熟という作業。もうひとつ和紙作りで重要な材料がある。トロロアオイの根っこがある。オクラと同じアオイ科の植物だ。根から抽出される粘液が、和紙づくりには重要だ。茨城県の無形文化財に登録された紙漉きの技。楮とトロロアオイを混ぜた水を均一になるようにかき混ぜる。簀桁という用具を使って縦方向にふる。縦に繊維が並び、横に振って横に並べる。厚さが均一になるように微調整する。熟練の技だ。何層にも重なった紙。翌日、トロロアオイの粘りが消えたところで、圧をかけて脱水。和紙が完成した。紙の大切さが体験できたという。
阿部さんは母屋の壁に和紙を貼るという。壁紙用の和紙を漉いていただいた。
6月、母屋の壁紙が一部出来上がった。畳1枚分の大きさ。表面には皮の模様が入っている。
壁紙を漉く作業を見るために、作業場へ。紙のさとの2人で漉くという。水に楮とトロロアオイを混ぜたものを、流し込む。粘り気をみて、慎重にかつスピーディーに波をたてる。阿部さんは自分が漉いた和紙を母屋に貼りたい。阿部さんも漉いてみる。二杯目を入れるときに捲れてしまっている。商品にはならないという。剥がしてもう一度原料にするという。7回目の漉きでOKになった。
波と光の反射で判断する作業。できた和紙が登場。柿渋が塗ってある。渋柿の実を搾った知るを発酵熟成させた液体が柿渋だ。防水・防腐効果があるという。抗菌効果もある。塗装職人が塗ってくれた。母屋に貼るという。自然由来のもので揃えるとのこと。
所さんの目がテン!の次回予告。