2025年9月26日放送 22:15 - 23:09 テレビ東京

ガイアの夜明け
【緊迫!獣害と闘う】鉄道会社が「逆転の発想」で害獣駆除に挑む

出演者
長谷川博己 
(オープニング)
オープニング

オープニング映像が流れた。

緊迫!獣害と闘う
イノシシ 大量出没で危機

栃木県の南端から埼玉・茨城・群馬に広がる渡良瀬遊水地。山から遠く離れたこの観光スポットに最近異変が起きている。夜に道を進むとイノシシがいた。10年前まではほとんど見かけなかったイノシシが住み着き急増し、今では1000頭以上になっていた。生い茂る草の奥深くにねぐらを作り、夜になると出てきて地域住民の生活が脅かされていた。農業を営む小堀貞雄さんは収入源だったサツマイモをイノシシに掘り起こされ、わずか数日で食べ尽くされていた。渡良瀬遊水地の周辺は清らかな水を使った米作りも盛んである。米農家の石川義夫さんは150万円をかけて防護柵を設置したが、それでもイノシシの侵入を防げないという。イノシシは体についたダニなどを取るため、転がり回って稲をなぎ倒す「ぬた打ち」を行っていた。たとえ収穫できたとしても大きな問題があり、イノシシの臭いが残って普通なら一等・二等だが等外になってしまうという。栃木市役所にはイノシシ被害の相談が連日寄せられていた。野生動物による農作物被害は全国で年間164億円であり、一方でハンターの数はかつての半分以下・20万人ほどとなっていた。60歳以上がおよそ6割を占め、高齢化も進んでいる。栃木市役所からの依頼でイノシシの駆除を請け負っている関口淨さんが所属する猟友会では去年1年間で30頭を捕獲していた。自治体からは1頭につき1万6000円の報奨金が出るが、人手は足りていない。動物が引き起こす獣害は農作物被害に加え人への危害や交通事故・感染症を広めるおそれなどその脅威が私達の身近に迫ってきている。

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動物園の境界線

長谷川博己は動物園を歩いていき、檻という境界線などについて話していった。

鉄道会社がイノシシに挑む

神奈川県・小田原市にも境界線を超え、人間の生活を脅かす鹿やイノシシが急増している。一方で駆除を担うハンターは慢性的に不足。そこで始まったユニークな取り組みを取材した。その名も“ハンターバンク”で狩猟に関心がある人を募り、指定された有害鳥獣の駆除に力を借りるというものである。ハンターバンクを運営するのは新宿と小田原を結ぶ小田急電鉄である。沿線には田畑や山間部があり、野生動物との接触事故で電車が止まるなどの経済的な損失が出ている。ハンターが不足する中、獣害対策をどう実現するのかハンターバンクプロジェクトの有田一貴さんは狩猟体験をビジネスにすることで持続可能な仕組みを作ろうと考えていた。ハンターバンクでは参加者が小田急に付き1万5000円の会費を支払い、小田急は罠や監視カメラなど狩猟道具を貸し出し行政手続きのサポートなどを行う。そして参加者は3か月に渡って捕獲や解体を体験するという。ハンターにお金を払って駆除するのではなく、狩猟の参加者からお金をもらい駆除を手伝ってもらおうという逆転の発想である。現場には狩猟免許を持つ現地パートナーが同行。有田さんが発案し、3年前に始まったハンターバンクはこれまでに約700人が参加している。参加者は当初の予想以上に増え続けており現状はまだ赤字だが、来年での黒字化を見据えているという。この日罠にかかったとの連絡があり、駆除の現場に立ち会うことができた。駆除が終わり肉は参加者が持ち帰るとのことだった。

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イノシシ小田原市(神奈川)小田原駅小田急電鉄新宿区(東京)新宿駅

9月、埼玉・秩父郡横瀬町に小田急電鉄・有田さんの姿があった。埼玉県で初めてハンターバンクを開催し、有田さんは小田急の沿線以外にも事業を広げようとしている。定員いっぱいの21人が集まり、駅から近い現場へ。参加者の多くは埼玉と東京の在住者であり、開催場所へのアクセスはビジネスとしての大切な要素である。有田さんは今年に入り、ハンターバンクの開催場所を東京・千葉など7カ所にまで広げていた。

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横瀬町(埼玉)
女性ハンターの“極上シカ肉”

一方、札幌市すすきのでは北海道グルメの定番であるジンギスカンの激戦区に連日満員の繁盛店がある。エゾシカ肉が人気の理由であり、臭みのない上質な赤身や栄養価が高く低カロリーで旨味がたっぷりだという。ジビエとしての評価が高まっているエゾシカに着目して起業した女性ハンターがいた。高野沙月さんは以前は東京のデザイン会社に勤めていたが、地元の北海道の上士幌町にUターンして狩猟免許を取得し地域おこし協力隊として働きながら猟友会に所属した。全国のデータを見ても20代・30代の狩猟免許取得者は増加傾向となっていた。高野さんは若手ハンターを活用すれば駆除がビジネスになると考えていた。北海道では近年エゾシカの個体数が増えすぎ、農作物被害や交通事故が深刻化して有害鳥獣に指定され多くの地域で駆除が続いている。しかし食用として施設に持ち込まれるのは3割を下回っていた。そこで高野さんは6年前にハンターと飲食店をつなぐ「Fant」という会社を起業し、駆除したエゾシカの肉を飲食店におろしている。先ほどのジンギスカンの人気店もその一つである。高野さんが始めたのは誰でも簡単にジビエ肉を購入できるサービスで欲しい動物をタッチするとロースやモモなど部位を選択できる。納品希望日と数量を打ち込めば注文は完了し、肉は宅配便で到着する。飲食店に限らず個人でも購入可能であり、注文があると登録しているハンターにFantから連絡が入る。対応できる場合はスマホを通じて返答し、今回は鈴木克弥さんが引き受けた。

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ハンターに密着…シカを美食に

北海道で農作物などの被害を防ぐため、有害鳥獣に指定されているエゾシカは年間15万トン以上が駆除されている。鈴木さんはその肉を有効活用しようとするベンチャー企業「Fant」の登録ハンターで、肉の発注を受け現場に出ていた。狩猟現場は基本1人きりで2時間後に鈴木さんが茂みから出てきた。駆除したエゾシカは100キロを超える重さで岸に上げるのも重労働となっていた。そして時間がかかると臭みが出て商品価値が下がるため、仕留めてから2時間以内に食肉処理施設へ運んでいた。またFantは食肉処理の専門家も手配していた。高野さんがFantを立ち上げて6年、今では1800人のハンターと400の飲食店が登録している。この日は札幌市内で取引先周りをしていた。訪ねたのはフレンチのビストロであった。エゾシカ肉を定期的に仕入れてくれるお得意様である。店の看板メニュー「エゾ鹿ロースのロースト」や新しいメニューも考えていた。

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檻の外と中

長谷川博己はシカは本来は山に生息している動物だが人の暮らしの領域に踏み込み被害をもたらした瞬間、害獣という呼び名に変わるなどと話した。

千葉で出没…キョン9万頭

千葉・いすみ市でも害獣がおり、住民たちの悩みの種は今急増している“キョン”であった。シカの一種でマダニを運ぶ危険が指摘されている。行川アイランドはいすみ市の隣・勝浦市にかつてあった動植物園で1964年に開園すると、フラミンゴショーが人気を博し房総半島の観光名所になった。海外から来た動物の中にキョンもいて2001年に経営難で閉園すると放し飼いにしていたキョンが園内から脱走し、野生化したといわれている。今では千葉で9万頭以上に繁殖して、最近では茨城や埼玉でも目撃情報があり生息域が首都圏全体に広がることも危惧されていた。千葉県は特定外来生物にも指定されているキョンの撲滅を宣言し、年間およそ1万頭を駆除している。

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キョン急増…駆除体験に密着

いすみ市でキョンの駆除を続ける石川雄揮さんは被害に悩む住民に頼まれ罠を仕掛けていた。石川さんは自治体や住民の依頼を受けこの10年で約600頭のキョンを駆除してきたが、そこには葛藤もあった。石川さんの前職はジャーナリストでアフガニスタンやリビアなど紛争地に飛び込み、現地で生きる人々を取材し命の尊さを伝えてきた。そうした中で獣害対策の駆除に立ち会い、それが転機に。狩猟免許を取りいすみ市に移住した石川さんは7年前に「ハント・プラス」を企業。グランピング施設を営みながら害獣駆除の狩猟体験を始めていた。狩猟についての基本知識は教えるが、目的はあくまで駆除される動物の命に向き合うことである。今回学生に参加を勧めたのはゼミの教官である安藤昌也教授であった。キョンは参加者自身の手で処理されその肉をいただくこととなっていた。

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キョンハント・プラス千葉工業大学
初めて知った“命の重み”

狩猟体験の締めくくりには参加した学生が感じたことをぶつけ合っていた。石川さんはただただ耳を傾けていた。

(エンディング)
エンディングトーク

長谷川博己は動物と害獣の違いはこの境界という一本の線から生まれるなどと話した。

次回予告

「ガイアの夜明け」の番組宣伝をした。

(番組宣伝)
ワールドビジネスサテライト

「ワールドビジネスサテライト」の番組宣伝をした。「ニュージーランド生産認可に「待った」」など。

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