- 出演者
- 井ノ原快彦 宮崎あずさ
日本各地には人知れず愛され続ける宝物のような料理がある。様々な味わいがこもった宝メシを求め、全国のNHKが調査。400年続く伝統漁、湖の恵みでいただく漁師メシや海の幸を使った究極の一品などを紹介する。
全国の郷土料理の中には時代と共に消えゆく味もある。そんな絶滅の危機にひんしている郷土の味を紹介する。
広島県海田町を訪問。広島湾の東側に位置し、四国街道の宿場町として発展した。生まれも育ちも海田町だという丹羽邦子さんが残したい大切な味が「さつま」。海田町に江戸時代から伝わるもので、ご飯にかけて食べる漁師飯だという。腐りやすい魚を無駄なく使い、米で満足感が得られるようにと工夫された庶民の味として海田町だけでなく、瀬戸内海沿岸で継承されている料理。しかし、そのさつまが失われつつあるという。作り方はアジを焼き、身をほぐす。魚は他に鯛やトラハゼ、コノシロなどの旬のものを使う。身をとった骨で出汁をとる。黒ごまを煎り、すり鉢ですりつぶす。ごまに焼き味噌を加え、ほぐしたアジも加える。骨で取った出汁はこしてすり鉢に加え混ぜ合わせる。仕上げに酒とみりんで煮たこんにゃくとネギを加え混ぜると完成。この味を守るため海田町 婦人会で地元小学校などにさつまを振る舞う活動を行っているという。
広島県海田町のさつまをスタジオで試食。岸井ゆきのはシンプルにすごく美味しいとコメント。柴田理恵はご飯よりこっちが良いと酒に合わせたいとのジェスチャーをしていた。渡辺隆はご飯に乗っけて、ご飯ごとお酒に行きたいとコメント。
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- さつま
愛知県岡崎市明見町は町のほとんどが森林を占めていて40世帯ほどが住んでいる。400年以上続く祭りのときだけ食べる宝メシがある。創建750年といわれる宮崎神社で行われている「明見のお当」は、12月初頭に出雲大社から帰ってきた神をお迎えする儀式。コロナの影響で4年前から祭りは休止し、町民の高齢化や過疎化の影響で存続の危機に陥っている。こうした中立ち上がったのは明見町の総代・清水松雄さん。町民に呼びかけ祭りの開催を呼びかけた。この「明見のお当」で振る舞われる料理がこの町の宝メシ。メイン食材は大根。町のみんなで大根の下ごしらえを行う。巨大な2つ鉄釜で大根約150本を煮る。調理開始から6時間で中のお湯を捨て、新しいお湯を入れ味付けする。落し蓋の上から調味料をかけ入れるが、これが煮崩れしない方法だという。調味料は赤味噌・ザラメ・だしを入れた特製。「明見のお当」は地元の武士の奥平貞能・信昌親子が武田勢に勝利した際に部下に振る舞ったことが始まりといわれている。調理開始から20時間で「お当大根」が完成。儀式で奉納を終えると集会所に集まりみんなで食べる。かぶりついて食べるのが作法だという。
お当大根についてのトークを展開。岸井さんは「あんなに煮込んで子どもが食べてもおいしいって言っていたんでしょっぱいのかなと思ったけど甘いって言っているので味が気になる」などと話した。岡崎市からの中継では大根を作っている清水さんが登場、祭りを終えられてどうだったか聞かれ「ほっとした。会う人が楽しかったねなどと言ってくれた。今年は楽しくやろうということでみんな集めた。」などと話した。スタジオでお当大根を作法のかぶりついて試食した。
日本人の味覚を築いたといえる食材でうまみ成分が抱負でおいしさの立役者の食材昆布を紹介。昆布は97%が北海道で生産され主な品種は4種類あるということ。やわらかい質感が特徴で煮昆布などにも使われるのが日高昆布は磯の香りが強く淡い甘みがある。日本の最北端利尻島や礼文島でとれる上品なだしが特徴の利尻昆布や薄さとやわらかさが特徴で日本料理の多くに使用される羅臼昆布などがある。主に北国でしか取れない宝食材の昆布が全国に広がった理由は北前船が一躍を担った。江戸~明治時代にかけ日本海の海運で活躍した商船でのちに昆布を運んだ道は昆布ロードと呼ばれるようになったという。北前船の昆布により大きく発展したのが北陸の港町があった。
福井・敦賀市で有名な細工昆布。昆布を丁寧に編み上げ、様々な形をつくっている。その細工昆布が発展していく中で生まれたのがおぼろ昆布。透けるような薄さと食べやすさ、高級な見た目に加え昆布の旨味もしっかり味わえるため贈答品としても重宝された。おぼろ昆布職人は最盛期には600人以上いたという。作業場は昔も今も変わらず自宅で削るスタイル。
地元のおぼろ昆布職人の中でも一目置かれているのが、職人歴65年の別所昭男さん。別所さんの削るおぼろ昆布は薄さ0.01mm。口の中に入れるとホロホロと溶けて無くなるという。それだけでなく、何種類もの薄さに削り分けることもできる別所さん。中でも薄さ0.1ミリの昆布は別所さんにしか削れないもの。「溶けないおぼろ昆布を作ってくれ」という無理な注文から生まれたものだという。そこで約4か月かけて0.1mmの竹紙昆布が完成。0.01mmより繊細な技術を要し、この竹紙昆布に惚れ込んで別所さんを指名する料理人が数多くいるとのこと。その匠の技をこのあとスタジオで披露。
日本唯一の昆布職人の別所さんと弟子の河瀬さんがスタジオに登場した。別所さんは職人歴65年の大ベテランで、河瀬さんは師匠の削り方について「見てる分には簡単そうだが、やってみると中々安定しない」など話した。また別所さんが実際にスタジオで昆布削りを披露し、スタジオからは「皿が透けて見えるほどの薄さで、旨味も香りも凄い」などの感想が出た。オススメの食べ方はしゃぶしゃぶやおにぎりで、昆布の旨味と甘味を感じる事が出来る。今回の宝メシはおぼろ昆布を巻いたおにぎり。
福井県若狭町では、400年続く伝統漁法の「たたき網漁」が解禁され、三方湖で行われているとのこと。三方湖は水深が浅いところが多く、一般的な地引網漁には向いていないとのこと。とれるのはフナやコイといった淡水魚で、特にこの時期の三方湖のコイは臭みが全くなく脂が乗って美味しいという。取材に協力してくれた漁師の村上さんが、コイのお造り・煮付け・あら汁の3品を作ってくれた。漁師さんいわく、三方湖のコイを食べたら他のコイが食べられなくなるほどだという。
VTRで紹介された「コイの煮付け」と「あら汁」をスタジオで試食。村上さんはコイについて「臭みはまったくない」などと話した。スタジオでは「びっくりするくらい品のある味」や「美味しい」などの感想が聞かれた。
炊きたての御飯をほぐして粗熱を取るしゃもじなど、調理器具も食事には大切となっている。秋田・湯沢市にはお餅を削るためのかんなを使う風習があり、大きな模様の入った餅を削る様子から「かんな餅」との名前が付けられている。ボラの幼魚・イナから背骨だけを取り外すいな包丁は愛知・蟹江町でハレの日を祝う「いなまんじゅう」というイナに味噌を詰め込んで焼くグルメに欠かせない調理器具となっている。山に囲まれた福島・喜多方市は魚が流通しない中、新潟から日持ちする身欠きニシンを運んでいたが、こちらは口伝えで味を継承してきたものの、100年以上受け継がれてきた道具がこちらも欠かせないという。
服部さんは大根おろしは普通のものだけでなく、粗く作るための鬼おろしも存在していると紹介した。そして、喜多方市の身欠きニシンは「ニシン鉢」という陶器で作られた鉢が欠かせないのだという。
100年以上代々伝わるニシン鉢で作る宝メシがニシンの山椒漬け。生まれも育ちも喜多方の庄司さんと遠藤さんの親戚コンビが作る。ニシン鉢はニシンだけをつけているという。各家庭で代々受け継がれ、幼い頃から当たり前のようにあったというニシン鉢は東北最古の陶器と言われる会津本郷焼。300年以上続く窯元で作られたニシン鉢は1958年のブリュッセル万博でグランプリを獲得。陶器でできているニシン鉢でつくることでおいしいニシンの山椒漬けができるという。材料は身欠きニシン、山椒の新芽など。ニシン鉢に身欠きニシンを敷き詰め、その上に山椒の新芽と実を敷き詰める。酒、しょうゆ、酢を適量入れ、重しをのせると出来上がり。2~3日漬け込むと完成。ニシンの山椒漬けは道具とともに未来に残したい知恵が詰まった宝メシだった。
ニシン鉢について、ニシンにサイズがぴったりだったなどとスタジオで出演者が話した。ニシン鉢について、ニシン以外に野菜などを漬けたりするのには使わないという。福島県喜多方市に伝わるニシンの山椒漬けをスタジオで試食。匂いがいいなどのコメントが出ていた。八嶋智人は冷やの日本酒が合うなどとコメント。
出演者たちが番組を振り返りトーク。「さつまが本当においしかったです」「継承していく人がいないとかいろんな物語を見ると、採点が難しかった」「行事そのものがなくなると本当に惜しい」など。グランプリはおぼろ昆布のおにぎりに決定。
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- おぼろ昆布のおにぎりさつま敦賀市(福井)
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2024年1月8日(20:00)